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【ご報告】第6回放課後勉強会「子どもまんなか!私たちで描く、これからの放課後」新年度に向けて、子ども支援の基本と実践

研修

放課後NPOアフタースクールでは、放課後に関わる方や子どもの居場所づくりにご興味のあるすべての方を対象として、オンラインにて放課後勉強会を開催しています。第6回目のテーマは新年度に向けて、子ども支援の基本と実践

団体培ってきたノウハウの中から、現場運営に活かせるケーススタディの共有や実践方法にポイントを絞って展開しました全47都道府県の各地より過去最多お申込総人数1,700名以上、100か所以上でサテライト視聴という結果となり、放課後の子どもの居場所に対する関心の広がりにとても勇気をいただきました。

第6回放課後勉強会ご案内

▼第6回目のご案内情報はこちら
https://npoafterschool.org/archives/news/2024/01/41085/

当日は、以下のプログラム構成にて勉強会を実施しました。本ページでは当日の概要をご報告いたします。 

はじめに「私たちの仕事で大切にしたい価値観」
◆メインパート「明日から役立つ!実践事例とケーススタディ 」
 1.子ども支援の基本と環境づくり
 2.安全管理とリスクへの対応
おわりに「放課後での子どもの育ちと私たちの成長」


◆はじめに「私たちの仕事で大切にしたい価値観」

当団体代表の平岩が、放課後&長期休みの時間のほうが学校で過ごす時間よりも長いこと、学校と放課後では過ごし方が異なり、双方が力を合わせることでより子どもの力が伸びることが期待されることを、データを交えながら語りました。

学校と放課後の子どもの居場所それぞれで過ごす時間(小学校低学年
学校で過ごす時間よりも、放課後&長期休みの時間のほうが長い

学校にいる時間(年)=1,200時間、放課後や長期休み(年)=1,600時間。

学校と放課後の子どもの居場所、それぞれ過ごし方が違う
学校・放課後の子どもの居場所双方で力を合わせることで、より子どもの力が伸びることが期待される。学校で必要とされる能力が主に認知能力に対し、放課後の子どもの居場所では主に非認知能力が必要とされる。そして放課後の価値を「居場所」と定義づけ、以下の調査データご紹介しました。

<居場所の数と自己肯定感・将来への希望は比例する>

居場所の数と自己肯定感・将来への希望の関係

最後に平岩より「居場所の数が子どもたちに好影響を与えるのであれば、家庭、学校が第1、第2の子どもの居場所と仮定した場合、放課後で第3以降の子どもの居場所をつくっていくことで、子どもの幸せがより増えていくのではないでしょうか。私たちも放課後から子どもたちが幸せになるために、取り組んでいきたいと思います」とまとめ、オープニングトークを終了しました。


◆メインパート前半「子ども支援の基本と環境づくり 」

勉強会に先立ち、参加申込みの皆様に「ご自身が必要と思われる研修内容」について事前アンケートへのご協力をお願いしました。当日は、その結果として多かったトピックス「子どもへの支援」「安全管理」を取り上げています。具体的ケースを取り上げて皆様と意見交換を行った後、当団体の現場スタッフより実際の取り組み例をご紹介しました。

こんな場合どうする?
子どもがたたかいごっこをしたいと言い出した時、あなたならどうしますか。

参加いただいた皆様から、たくさんのコメントがチャットで寄せられました。以下はほんの一部です。

・防具(鎧、盾など)も製作出来たら最低限のルールの中でやらせてあげる。
・チームの共通理解のもと場所を2分して過ごさせる。
・どうしたらケガをしないでたたかいごっこができると思う?と聞いてみる。
・基本的に当たっても痛くない素材で作らせてあげる。
・「お互いの体には触れない」など安全面のルールだけ提示して、進め方や子どもが考えたルールをまず聞いて、一緒にどうやったら考える。
・一緒に段ボール怪獣を作って、それを順番に倒す戦いごっこを提案して一緒にやる。
・ルール決めと場所の提供さえできれば行えるのではないか。工作で使用する材質も吟味する。
・ケンカになることを想定してついつい「やめて」と言ってしまいそう。
・「たたかうのは、おすすめできないな~。ゲームにするならいいよ。それとか、作ったものを見せ合うのはどう?」
・まず肯定する!その次に場所や気を付けることを一緒に考える。

当団体現場スタッフの石井からは、「0か100の二択ではなく、解決策にグラデーションをつけるよう心がけています」とお伝えし、団体での取り組み事例から以下のポイントを紹介しました。

 1.言葉をそのまま受け止める
 →気持ちをそのまま受け止めるため。例)「たたかいごっこがしたいんだね。」

 2.話を聞く
 →言葉の裏に隠れている気持ちを知りたいから。例)「単に戦いたい!」
  「作ったもので遊びたい!」「発散したい!!」等々。

 3.対話して解決策を探っていく
 →対話ができれば「0か100」の二択から1~99の解決策が生まれてくる
  その際に気をつけているのは以下3点:
①「できること」「できないこと」を伝える。
②①の範囲内で最大限できることを子どもと話し合う。
③対話してくれたことへの感謝を子どもに伝える。

「納得感があるところに着地させるべく対話を行うこと。見つけた解決策がその時はベストな解説策。正解はひとつではないと思います」とまとめ、最後に、事前にご質問いただいた内容に対して当団体での取り組みをお伝えしました。ここでは一部をご紹介します。

Q:個別の対応が必要な子に対して、周りの子が「どうしてあの子だけ」ということがあります。どう対応すべき?
A:質問してきた子に対して状況説明と理由を伝えます。それで納得しない場合は裏の理由が隠れている可能性が高いので、質問の理由を探ります(「ずるい」「私も実はあれをやりたい」等々)。それに対して回答することで、子どもに納得感を持ってもらえるよう心掛けています。Q:「ひまだなー」「何もすることがなーい」という子たちにどんなアプローチをすればよいでしょうか?
A:環境づくりの工夫で解決を図ります。

<取り組み例1:その日の流れや活動場所などをホワイトボード等に表示>

直接の子どもへの関わりだけでなく、環境づくりも大切な支援。

<取り組み例2:できることの視覚化>
活動場所に名前を付けて、できることを視覚化する。


◆メインパート 後半「安全管理とリスクへの対応」

当団体安全管理担当の時田が、安全管理とリスクへの対応について語りました。

<こんな場合どうする?>
子どもが頭から地面に落ちてしまった。意識はあり、大きなけがではないがどうする?

前半同様、参加いただいた皆様からたくさんのコメントがチャットで寄せられました。

・必要な応急処置をしたのちに、保護者に連絡する。
・部屋にいるスタッフに応援にきてもらう とりあえず冷やす。
・頭から墜ちているので、医者の診察を受ける。
・いったん落ち着ける場所へ行って観察。
・別室へうつし、様子観察、保護者へ連絡。
・教室に連れ帰る。責任者に報告。状況を見て、保護者に連絡、ケガがあれば消毒など。
・頭から落っこちたなら動かしてはいけない応急救護の基本。
・まわりの子どもたちにも安全について声かけ。
・まず指導員同士の連携と頭を打ってる場合は保護者に連絡。
・一人はその場について確認、一人は他のスタッフを呼んでもらう。

時田より、「活動していればケガはおこります。予防とチーム対応で大きなケガにしないことが大事だと思います」と前置きし、自身が心掛けていることを以下のようにまとめました。

・予防で心掛けていること

1.死角を作らない見守り体制
→複数人で対応する場合はお互いの役割分担を明確にすること。
各スタッフの力量に合った役割分担を心掛けること。

2.全体把握から個別への意識を持つ
→新年度は、子どもとの関係性構築のために子どもの遊びに入り込みがち。
でもスタッフの役割は全体把握。できるだけ俯瞰的に見守るようにしたい。

3.子どもの人数と遊びに内容に合った場所の確保
→コーンで運動場を仕切る。稼働式衝立や家具等で室内を視覚的にゾーンを分ける。

4.ルール作りを子どもと一緒に行う
→遊ぶ時のルールを子どもと一緒に作ることで、ルールへの意識づけができる。

5.クールダウンできる場所を用意
→子どもの視覚にスタッフ以外が入らない場所を用意しておく。
場所の確保が難しい場合はスタッフが壁を背にして子どもと向かい合わせになると、子どもは「自分だけの場所と感じることができる。

6.トラブルに対応する際のアイデアを共有する
→慌てていても確認できるよう、スタッフ名札の裏に入れておく。

7.チーム対応
→スタッフミーティングを頻繁に具体的事例を用いて子ども対応の目線合わせ・共通認識を持つこと。気になる子どもについては、対応記録を随時共有すること。

8.第2・第3・・・の連携先を作る
→学校・子ども家庭支援センター・児童相談所等、各所との連携ができると一気にサポート体制が広がっていく。

◎トラブル発生時にやるべきこと
<現場対応の流れ>
1.応急処置:子どもの意識とケガの状態確認。外傷がなければアイシング。
2.安全な場所の確保:他の子どもから離して落ち着ける場所に移動し、二次被害を防ぐ。
3.他のスタッフに共有:できれば複数人で対応することで対応のスピードアップ。

<確認すべきポイント>
1.ケガの範囲:
子どもが訴えている部位以外の変化の有無。
2.トラブル発生時の現場状況:二次被害につながるものがないか確認。
3.トラブル発生の要因把握:いつ・誰が・何をしていて・どんなきっかけで等、詳細な情報収集に努めること。

<事後対応>
1.病院へ連絡:大きな変化がない場合でも首から上の事故は念のため病院へ(迷う場合は各地域の相談窓口に連絡。
2.継続して様子を観察:急変の可能性に備える。
3.保護者へ連絡:必ず行うこと。その際、確認した事実を詳細かつ正直に伝えること(クレームになりづらい)。

最後に時田より、「安全管理は大変だと捉えられがちですが、安全の土台の上に楽しい放課後があると思います。子どもは禁止=自由がないと捉えてしまうので、放課後の意義を大切にするためにも活動の制限はできるだけ避けたいですね。子どもと一緒にルールを決めることで最適解を見出し、お互いに安全管理に取り組んでいくことで、楽しい放課後がつくっていけたらと思います」と、安全管理への思いをお伝えし、メインパートを終了しました。


◆おわりに「放課後での子どもの育ちと私たちの成長」

お申込みいただいた方から事前に寄せられた、皆様の現場でのエピソードを共有して勉強会を終了いたしました。

コロナ禍の三密回避の活動から一気に以前の児童クラブの活動ができたこと。遊びをテーマに各児童クラブが挑戦して取り組んだ活動が、異年齢交流という児童クラブだからこその活動ができました。活動の幅を広げることで子どもの笑顔とスタッフの充実した笑顔を得ることができました。(滋賀県)

 

4月当初、自分の気持ちを大声で叫んだり、暴力で表現するしかできなかった1年生の男の子が、2月に入ってから、じっと話を聞けるようになり、自分の思いを少しずつ言い表せるようになってきた。保護者と学童と、その子に必要な手助けは何なのかをしっかり話し、職員にかかわり方の共有をし続けてきたことで、職員のかかわり方も、「やりにくい子」扱いではなくなってきた。(兵庫県)

 

鬼ごっこやドッジボールなどの集団遊びをする際に子どもたち同士でルールや約束を相談するようにしてもらっています。何年か続けているうちに子どもたちの中で、遊ぶ前には、まず相談する、ことが定着してきました。 今では支援員がいなくても遊ぶ前には必ず相談をしている様子が見られています。大人から教えてもらうのではなく、子どもたち同士で教え合ったりしていく姿が素敵だな、と思い嬉しくなりました。(千葉県)

 

いつも憎まれ口を叩き、なにか話すことと言えば「俺は将来ヤクザになる」「引きこもりニートになって、ずっとゲームをして20代で死ぬ」ということばかりを言っていた男の子。ある日、わたしとその男の子、一対一でキャッチボールをしていると、「おまえってさあ、酒飲むの?」との男の子からの投げかけ。「めっちゃ飲むよ~(笑)」と答えると、「じゃ、いつかおまえと酒を飲みに行くわ」とポロリと漏らしたことがあった。 日々の実践で迷ったり、傷ついたりすることもあったが、とても嬉しかった。大人同士の人間関係で悩むことも多い職場だが、11年後のその日を夢見て、同じ児童クラブで働き続けることを決めた日になった。(島根県)


2023年のこども基本法の施行、こども大綱の決定を踏まえてより一層「こどもまんなか社会」の実現が求められる2024年度を迎え、放課後の活動や子どもの居場所づくりにおいてもその実践力の向上が必要になります。今回の勉強会では、まさにそのど真ん中で日々活躍されている皆様の意欲と熱い思いをひしひしと感じました。

次回、第7回放課後勉強会は秋を予定しております。続報をお待ちください。

文・放課後NPOアフタースクールスタッフ/長友


日本財団

本研修は、日本財団様の助成により開催いたしました。

▼これまでに実施した勉強会のレポートはこちら!
第1回:https://npoafterschool.org/archives/blog/2022/07/36561/
第2回:https://npoafterschool.org/archives/blog/2022/12/38145/
第3回:https://npoafterschool.org/archives/blog/2023/03/39051/
第4回:https://npoafterschool.org/archives/blog/2023/07/39854/
第5回:https://npoafterschool.org/archives/blog/2023/12/40633/

【本件および研修会等のご依頼に関するお問い合わせ先】
特定非営利活動法人 放課後NPOアフタースクール 事業開発チーム
Mail: kaihatsu[at]npoafterschool.org
※[at]を@に変換してください。

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