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【ご報告】第2回放課後勉強会「子どもをまんなかに!私たちで描くこれからの放課後」 -子どもの発達や特性に応じた関わり方・場づくりを考える-

研修

放課後NPOアフタースクールは、日本財団様の支援の元、放課後の時間に子どもに関わる多様な支援者の方々を主な対象に、年間3回の放課後勉強会を開催しています。
合言葉は「子どもをまんなかに!」。第2回目となる今回は「子どもの多様性」をテーマに、子どもの発達や特性に応じた関わり方・場づくりを考える時間となりました。


※イラストは第1回に登壇くださった きしもとたかひろさん の描き下ろしです

▼第2回目のご案内情報はこちら
https://npoafterschool.org/archives/news/2022/10/37677/

前回に引き続き、各方面からご関心をお寄せいただき、35都道府県と1か国(なんとイタリアから!ありがとうございます)の地域、総勢500名以上の方々にお申し込みをいただきました。

今回も、民間や公設の放課後児童クラブ運営に携わる方が最も多かったのですが、次いで保護者の方のご参加が多かったことは、前回と大きく異なる点でした。
「子どもをまんなかに」と考えたときに、保護者の方々とのパートナーシップは欠かせないことだと感じており、私たちにとっても貴重な機会となりました。

その他にも、地域で子どもと関わる方、学校関係者など多様な所属の方が集い、学びを共にする時間となりました。勉強会の輪の広がりを実感しております。

【テーマ設定の背景】
私たちが日々現場運営に取り組む中で、個別最適な放課後の時間だからこそ、一人ひとりの子どもたちに丁寧に向き合おうとすればするほど「やりがい」や「充実感」の一方で、「しんどさ」や「やりきれなさ」を感じることが、課題意識の一つとしてありました。

前回の勉強会においても、特に子どもの問題行動やトラブルについての相談や質問が数多く寄せられていました。その背景を探っていくと、発達の凸凹や個人の強い特性ゆえに、自由な放課後の時間の中で困難さが生じてしまう子どもの姿、またそれにどのように関わってよいか戸惑う支援者の方々の姿が見えてきました。

そのような悩みについて一緒に考えたいと思い、「子どもの発達や特性に応じた関わり方・場づくり」とテーマを置くことにしました。
勉強会の前半は、特別支援教育のスペシャリストである川上康則先生(特別支援学校教諭・公認心理師・臨床発達心理士)の研修、後半は私たちNPOの実践事例も報告させていただく形で実施しました。


【放課後勉強会ダイジェスト】
■パート1:研修「放課後での子どもの発達や特性に応じた関わり方を考える」
(特別支援学校 教諭 川上康則氏)

パート1の川上先生の研修では、「子どもたちの前でできるだけ穏やかに過ごしたいというのが大人の本音ですよね。」という優しい語りかけから始まりました。

でも、実際、どんな温厚な人でも穏やかにいられなくなるようなシーンがありますよね。
大人側のこれまでの経験で築き上げられたラインに子どもの姿が達していないと、気持ちの余白を失い、解決しなきゃ!と焦ってしまいます。ついつい許すか許さないかの2項対立の判断になってしまいがちで、極端な対応になりやすいことを、支援者の心の中で起きているメカニズムとして指摘してくださいました。

その上で、今日の目標を「笑顔と機嫌のよさをキープできるようになること」としてお話が進んでいきます。この話に至る時点で、参加者の方々も運営事務局もうなずきやメモを取る手が止まりません。

なかでも特にご紹介しておきたいのが「ちゃんとの呪い」のお話。
私たち支援者が余裕を失ったとき「ちゃんと」させたくなってしまうという傾向があり、この言葉が現場の中に過剰に溢れてしまうと、どんどん窮屈な場所になってしまいます。

川上先生は、この呪いからは私たちは逃れられないとしつつも、自分自身や仲間同士で「とらわれないで大丈夫」と唱えよう、声を掛け合おうとシンプルな向き合い方を提示してくださいました。

私たちに日々付きまとう「モヤモヤ」の正体が垣間見えたような感覚で、事後アンケートでも「ちゃんとの呪い」に気を付けたいという声が大変多く寄せられました。先生の言葉は、魔法のように私たちの日々の回想とともに頭の中にしみ込んでいきます。

こういった状況への処し方として、関わり方の基本的な心構え・子どもたちへの褒める言葉かけの仕方・お試し行動や暴言への向き合い方・暴れる子への安全な落ち着かせ方など、実際の子どもの事例も交えながら具体的にお話をいただきました。

私がなかでもこれはすぐにいかせそう!と思ったのは、「あいうえお」でほめるということです。「ああ!(納得)、いい!(賞賛)、うん(同意)、えっ!(驚き)、おお!(感動)」。今すぐどんな場面でも子どもたちとの関わりにおいて実践でき、不慣れな時でも関係性をつくるために使える技だと思いました。

■パート2:実践報告「放課後でのインクルーシブな場づくりを考える」
パート2の実践共有では、放課後NPOのスタッフで、公設の放課後事業の運営を担っている斎藤さんと春山さんにお話いただきました。

齋藤さんからは、多様な子どもたち一人ひとりが心地よく過ごすことができるような「自己選択の許容度をできる限り広げる環境づくり」と「専門家や学校、外部機関との連携」についてお話しました。

特に放課後の現場は、ボランティアの方々で運営されることも多く、子どもたちの発育発達について専門的な知見を持ち合わせていないケースもあります。対応が難しいケースは、外部と連携することも重要視しています。


春山さんからは、「子どもたちへの個別のサポートや特性に対する配慮」「『個』での関わりと『集団』での関わりの工夫」など、実践的なアイデアや寄り添い方についてのお話をしました。
子どもたちのクールダウンについては、「段ボールにパンチ」「新聞紙をビリビリに破く」など、まさに実践知な共有でした。

最後に代表の平岩が、全体の振り返りとこのような学びあいの場を持てることへの感謝をお伝えさせていただきました。その間もチャットへの感想コメントが止まらず、興奮冷めやらぬ閉会となりました。


事後のアンケートは、100件以上の回答。満足度は100%、特に「とても満足」が96%と大変高い評価をいただきました。

感想コメントの一部を紹介させていただきます。

・川上先生のお話で、いかに大人本位の考えに囚われていたのか気づくことが出来ました。また、拠点運営スタッフ様の実際の工夫を聞いて、自施設でも参考にさせていただきたいと意欲が湧いてきました。

・子どもの対応に関して戸惑ったり、言葉かけについてどうしたらいいか分からなくなる時があるのでその時にすぐに解決しようとしなくていいんだと少し安心しました。 私だけが周囲の目を気にして子どもたちの喧嘩の仲介をちゃんとしないといけない、と考えていたので他の皆さんも同じような考えであることに嬉しく感じました。私は初めての参加だったのですが、とてもためになる内容だったので次回も参加したいと思いました。

・子どもをまんなかに!という合言葉を持つ事によって子どもたちの成長を一番に考えて行動していけるようになると思う。

私たちの放課後の実践に完成はないかと思いますが、学びを通して今後も全国各地の皆様とつながっていきたいと思います。ご参加くださった皆様、本当にありがとうございました!

第3回「私たちでつくる放課後の未来」〜実践事例とこれからの放課後〜(仮)は、2月を予定しております。

文・事業開発チーム/渡部岳


本研修は、日本財団様の助成により開催いたしました。


【本件および研修会等のご依頼に関するお問い合わせ先】
特定非営利活動法人 放課後NPOアフタースクール 事業開発チーム
Mail: kaihatsu@npoafterschool.org

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