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イベント報告:第4回企業×NPO共創フォーラム「最新事例から読み解く“こどもまんなか社会”実現に向けて企業はなにができるか?」

こんにちは!今日は7月25日(火)に東京とオンラインのハイブリッド形式で開催した企業向けフォーラム「最新事例から読み解く“こどもまんなか社会”実現に向けて企業はなにができるか?」をレポートします。フォーラムでは、次世代への取り組みを推進する企業3社の事例を紹介したあと、トークセッションにて “こどもまんなか社会”の実現に向けた重要キーワードを読み解いていきました。当日はとても暑い日でしたが、企業のサステナビリティ推進業務に従事される方を中心に、東京会場、オンライン会場合わせて70名以上の参加がありました。ご参加くださった皆様、ありがとうございました!


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<目次>
●各社事例紹介
・丸井グループが“将来世代”とつくる共創
・教育格差縮小に向けた取り組み「感動体験プログラム」
・食育体験を通じた社会課題解決とファンベースドマーケティング
●トークセッション

●参加者からのコメント
●編集後記:こどもまんなか社会にむけて、一緒にチャレンジしたい企業の皆様へ

丸井グループが“将来世代”とつくる共創
株式会社丸井グループ 経営企画部 将来世代共創担当 課長
鈴木 伸啓さん

株式会社丸井グループ(以下、丸井グループ」)は、「すべての人が『しあわせ』を感じられるインクルーシブな社会を共に創る」をミッションに掲げ、小売事業やフィンテック事業においてステークホルダーとの「共創経営」を展開されています。2021年には、ステークホルダーと何を成し遂げたいかを「インパクト」として設定し、インパクトと収益を両立させる経営に向けて、持続的な企業価値向上と社会課題の解決に積極的に取り組んでいらっしゃるそうです。

鈴木さん:インパクトは我々が今後成し遂げていきたいメッセージです。「将来世代の未来を共に創る」、「一人ひとりの幸せを共に創る」、「共創のエコシステムをつくる」これらを、ステークホルダーの方々と我々で叶えていきたいと思っています。また、丸井グループはステークホルダーに将来世代を明示し、アドバイザーとして将来世代のアドバイザー・パートナーを招いているほかに、ピッチイベント「Marui Co-Creation Pitch」や、「Future Accelerator Gateway」、「アプリ甲子園」など、将来世代とつくる共創の取り組みを行っています。将来世代は自己肯定感が低いというデータはありますが、私は担当になって2年間、彼らは世の中にむけて取り組んでいきたいという思いが強いと肌身で感じています。ですので、個人的にも、将来世代の事業創出を応援したいと思っています。


教育格差縮小に向けた取り組み「感動体験プログラム」
ソニーグループ株式会社 サステナビリティ推進部 CSRグループ シニアマネジャー 
森 悠介さん

ソニーグループ株式会社(以下、ソニーグループ)は、「For the Next Generation」のスローガンのもと、国内外でさまざまな社会貢献活動を実施されています。国内の取り組みの一つが、放課後NPOアフタースクールも協働させていただいている「感動体験プログラム」です。「感動体験プログラム」では、ソニーグループの製品やコンテンツ、技術などを活用し、STEAM分野(科学、技術、工学、芸術・リベラルアーツ、数学)に関連したワークショップを通じて創造性、好奇心を育む体験機会を提供し、子どもの教育格差縮小という社会課題の解決に取り組まれています。

森さんはご出張中の海外からリモートで参加してくださいました

森さん:「感動体験プログラム」では、実施の結果どういう効果があったか、第三者に依頼してインパクト評価を実施しています。評価にあたっては初期・中期・長期のアウトカムを整理したロジックモデルを策定し、実際に目指しているアウトカムが得られているかを評価するため、15のコンピテンシー指標を設定しています。このコンピテンシー指標を用いて、ワークショップ実施前後にアンケートやインタビューを行い、定量的・定性的評価を実施し、プログラムの効果を確認して次への改善を行います。(2021年度社会的インパクト評価はこちら。)

「感動体験プログラム」に一定の効果を感じていますが、体験格差の縮小はソニーグループ一社だけの力では到底解決できず、様々なパートナー、他の企業の取り組みと合わせて、大きなムーブメントにする、コレクティブインパクトが非常に重要だと強く感じています。ぜひ今日の機会を通じて、コレクティブインパクト拡大の部分でご協力いただければと願っています。


食育体験を通じた社会課題解決とファンベースドマーケティング
カゴメ株式会社 マーケティング本部 広告部宣伝グループ 主任 管理栄養士 
瀬本 あゆみさん

カゴメ株式会社(以下、カゴメ)は、2025年のカゴメのありたい姿「食を通じて社会課題の解決に取り組み、持続的に成長できる強い企業になる」の実現にむけたアクションの一つとして、カゴメの社会貢献意義や価値観に共感するファンを増やすコミュニケーションを促進し、ブランド価値向上を図っておられます。その一環として2022年からは、野菜を育てる、収穫する、収穫した野菜を調理するといった一連の“植育”体験を通して、食や自然への好奇心や感謝を育む「植育から始まる食育」を開始。放課後NPOが協働する「おいしい!野菜チャレンジ」も取り組みの一つです。

瀬本さん:ファンベースドマーケティングとして、食育に取り組んでいるのは珍しいという声も伺いますが、カゴメの食育は、カゴメブランドを体験していただく機会と位置付けています。例えば、トマト苗栽培相談会やイベント、学びに繋がるツールのご提供などを通して、カゴメがお客様と栽培~食卓まで伴走するコミュニケーションを行うことで、お客様にカゴメのバリューチェーンを疑似体験していただき、カゴメを感じていただけると考えています。

また、野菜を学ぶ、魅力を知るといった体験型の授業として、放課後NPOさんと取り組んでいるのが「おいしい!野菜チャレンジ」です。クイズや実験、ジュース作りなどを通して、野菜ジュースのパッケージを見るのも嫌がっていた子が、いつの間にか「あ!美味しいじゃん!」と言ってくれる、そんなプログラムとなっています。プログラムは社員参加型で実施しており、インナーブランディングにも効果があると考えています。社員は普段接することのできない生活者と直接会うことで、生活者に伝える経験や、その方の反応を生で見る経験を得ながら、自分の仕事を見つめ直す機会になるなど、社員のスキルアップや自社ブランドの理解にも繋がっています。当社社長も毎年参加しています。私自身も定期的に「野菜先生」として参加し、子どもたちと触れ合うなかで、毎回新たな発見があり、コミュニケーションの改善に繋げています。もっと社内外にこういった取り組みが広がればと願っています。


トークセッション

トークセッションでは、登壇の丸井グループ鈴木さん、ソニーグループ森さん、カゴメ瀬本さんとともに、放課後NPOアフタースクール代表理事の平岩がモデレーターを務め、参加者からの質問に沿ってトークセッションが行われました。

Q:プロジェクト開始や進行にあたり、社内上申や経営層の理解はどう得るか?
瀬本さん:まず企業のなかで取り組もうとされていることの位置づけが、どのステージにあるかにもよると思います。当社の場合、食育を「ファンベースドマーケティングへの変革」として中期経営計画の基本戦略のアクションの一つとして2022年から位置付けております。経営層に対してはこれまでの総括、評価を報告しています。また、トップも食育のイベントに来てもらうなど、実感をしてもらうのは良かったと感じています。
鈴木さん:当社の場合、トップ自ら入り込んで、将来世代とどういう共創ができるのか対話の機会があります。一緒に考えるというかたちで、色々提案させていただいき、「とりあえずやってみたら」と進めさせてもらえるので、実験を繰り返せていいなと思っています。
森さん:教育支援は創業時から実施していることもあり、トップやマネジメント層の後押しはあると思います。一方で、社会貢献活動を「なぜやるのか?」というところを、経営層の理解だけでなく、社内への発信や、様々なパートナーを通じて社外に理解していただくことも重要だと思っています。

Q:プロジェクトはどのように社内に浸透していくのか?
瀬本さん:当社の場合、トップが関与、参加する機会を作っています。社長がプログラムに参加したことを社内報や社内向け社長ブログで発信することや、メディアが取り上げてくださることで、社内外にプロジェクトへの理解と共感が得られると感じます。また当社では、プログラムに社員が参加すると昇格要件ポイントが貯まるという仕組みを取り入れています。入口はそこからでも、子どもたちの純粋な反応に触れ発見を得ること、スキルアップと体験ができることから、リピート参加に繋がっています。

Q:協働・コレクティブインパクト創出への展望や課題は?
森さん:いかにコレクティブインパクトを出していくのか、正直いま悩んでいるところです。企業やNPOの方はもちろん、国や自治体、もっと幅広い方々と協働しなければ、携わっている社会課題は解決できないのではないかと感じています。
平岩さん:日本の子どもの課題は奥深くなってきています。子どもの人口が半分になると言われて、本当に危機的状態です。一つの企業、一つのNPOで取り組むのでなく、業種を超えて取り組まねばと思います。日本中の企業が子どものために小さいことでもいいから何かやっているという社会をデザインしたいと願います。

Q:あらためて次世代・子どもたちの活動へ取り組む意義は?
瀬本さん:子どものときから体験を通じて野菜に親しむことで、野菜を好きになり、野菜の摂取量が増えることがわかっています。それを続けていくと、健康寿命延伸、環境や命の大切さを考えることに繋がると考えています。自然の恵みへの感謝に子どものころから触れることは大変意義があり、皆さんと取り組んでいければと思っています。
森さん:社会課題の解決には中長期的視点でコミットするのが一番重要だと思っています。そのうえで、コレクティブインパクトを拡大するために、どのように様々な方と協働するか考えていきたいです。サステナビリティについては企業同士が共にできることが沢山あると思うので、大きい枠組み、イニシアティブをもって子どもたちの社会課題に取り組めたら良いのではと考えています。
鈴木さん:私たちがやりたいことは将来世代の未来を共に創るというインパクトの実現です。この先2050年、2070年の主役は将来世代で、いま将来世代が歩を進めるのであれば、しっかり伴走していきたいです。彼らがやっていくことが社会を変え、地球環境が良くなることに繋がると思います。社会課題解決企業として、カゴメ様、ソニーグループ様、皆様と一緒に世の中変えていきたいなと思っております。

平岩さん:皆様、ありがとうございました。

フォーラムのまとめは、放課後NPOスタッフが
グラフィックレコードとして会場で書き上げました!(拡大版はコチラ) 


参加者からのコメント

トークセッション終了後、東京会場はネット―ワーキングの時間となり、参加者、登壇者、放課後NPOスタッフが交流し、閉会の時間になっても、会場では多くの方が歓談されていました。イベント後のアンケートでは、8割超の方が「フォーラムにとても満足」「満足」と回答くださいました。

参加者のコメント(抜粋)

  • 少子高齢化の中で、この世に生を受けた子どもたちが満足して生きていけることにフォーカスが当てられていると感じました。また、各社様とも未来の顧客の獲得にもつなげられていると思います。
  • インナーブランディングへの影響もなるほどと思いました。経営計画や社員含めた社内浸透の考え方や活動も参考になりました。
  • 優良企業は子どもの少子化に敏感であり、将来の日本の在り方に関心が高いと感じました。
  • 各社の実際の取組みを具体的に知りたかったので、非常にありがたい機会でした。
  • 社会課題に取組むことと、企業として利益を上げることが両立できるしくみを作りたいと改めて思いました。


編集後記:
こどもまんなか社会にむけて、一緒にチャレンジしたい企業の皆様へ

今年上半期は、子どもに関する取り組み・政策を中核に据えた「こどもまんなか社会」の実現にむけた動きが加速しました。この動きが一過性に終わらないために、行政だけでなく、企業や私たちNPOも、もっと出来ることがあるはずだと、フォーラムを通じて改めて感じました。放課後NPOアフタースクールと一緒に何かしたい!という企業の方は、以下サイトもぜひご参照ください。
https://npoafterschool.org/social-design/
(上記ページの下部にお問合せフォームがございます)

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