【ご報告】第3回放課後グローアップ研修「安心して働ける職場を目指して」開催
今年度、私たちは全4回にわたって、全国の放課後現場スタッフの方に向けた様々な勉強会・集いを開催しております。
1月21日(金)に開催した第3回では「安心して働ける職場を目指して」をテーマに、全国から100名以上の放課後現場の皆様にご参加いただきました。
子どもたちに寄り添う大人自身が安心して働ける職場を目指して、私たちが実際に取り組んでいる事例も紹介させていただきながら、皆様と共にそれぞれの職場の運営や環境について考える時間となりました。
▼第3回目のご案内はこちら
https://npoafterschool.org/archives/news/2021/12/34882/
ご参加いただいた皆様には、「参加することでモチベーションアップにつながっている」「ヒントとなる情報がたくさんあり、是非とも活用させていただきたいと感じました。」など嬉しいお声を多数いただいております。ありがとうございました!
【研修ダイジェスト】
■第一部:講演 島村友紀(放課後NPOアフタースクール事務局長)
第一部では、放課後NPOアフタースクール事務局長の島村より、試行錯誤しながらも安心して楽しく働ける職場作りを目指し取り組んできたことや、そこから分かったことなどをご紹介させていただきました。
この仕事のやりがいと悩み事
まず、働く上で大切な“やりがい”については、私たちの団体内で毎年行っている働き方アンケートからは、「子どもの成長実感」「自分の成長を感じる」「チームメンバーと喜び合う」の3つが挙げられ、今回の研修参加者の事前アンケートでも同様のものが挙がっています。
同じ思いで日々働いている仲間が日本中にいることを改めて感じました。
また、事前にお寄せいただいた悩み事では、
・コミュニケーション(連携・意識を揃える・関係性)に課題を感じる
・人事制度(質を担保・向上する仕組み)をどうしていくべきか悩んでいる
という声が目立ちました。
島村からは、「私たちは、団体のビジョンである『放課後はゴールデンタイム』という”願い“に向かって、”どんな人でもここに居て良い”という安心安全なベースを確保するという根本を大切にしている。そして「多様な人がいる豊かさ」や「一人ひとりの得意や個性が輝ける環境」、「チームで思いを重ね、共に歩む」ことができるように意識し組織を作っている。」
「私たちも正解はもっていないけれど、常に向上心をもって団体内外問わず高め合っていけたら。」という願いもお伝えしました。
▼参加者の感想
働くスタッフが感じること
第一部の最後には、スタッフインタビュー動画をご覧いただきました。
大学生4年生のスタッフは、指導に迷うことがあり、日々試行錯誤しながら勤務に臨んでいるという話がありました。「大学で教育方法は習っても、実際に実践する場はアフタースクールのような場なので、とても勉強になっている。」と目を輝かせて話してくれました。
また、勤務歴7年になるベテランのスタッフは、勤務年数を重ねるごとに自分の中の棘がなくなり、気持ちの余裕をもって対応できるようになったとのことでした。勤務を始めたばかりの頃は、自分の子育て経験とはまた違った大変さがあり、一度に多人数の子ども達を対応しなければならないので、苦労も多かったそうでしたが、チームメンバーでサポートし合ってきました。
様々なバックグラウンドをお持ちの方がそれぞれの特技や長所を活かして働くことが、そこで過ごす子どもたちにとってもとてもいい影響を与えているなと再確認できた時間でした。
■第二部:分科会
グローアップ研修には放課後現場のスタッフはもとより、自治体の担当職員の方やボランティアで関わっている方など、様々な立場の方がご参加くださいます。
第二部では、できるだけ参加者の立場や知りたい情報に合った内容がお届けできるように、3つの分科会を設定しました。
分科会1(自治体担当者・運営者向け):持続可能な仕組み・体制づくり―事例紹介―
分科会1では、自治体や学校との連携が取りにくく、本当に行いたいことの実現が難しいという現場の切実な声も耳にしました。
本来は子どものためをいちばんに考えた事業であり、そのために連携協力しなければいけない大人がなかなか一つになれていない状況は我々も日々痛感しているところではあります。
その部分のハードルを一つでも多く乗り越えていけるように、この研修を通して繋がれたことが何かのきっかけになって協働できる形を模索していきたいと確認し合った時間にもなりました。
分科会2(チームリーダーや拠点主任の方向け):みんなで考える「チーム運営の悩みどころ」
このグループでは、アンケートで事前にいただいた内容を題材として取り上げ、あなたがチームリーダーだったらどうするかという視点で考えました。
・仕事内容や責任のもち方をスタッフ全員で共有するにはどうする?
・それぞれの意見を尊重しつつ、目線合わせをしていくためのアクションはどうする?
実践例として、現場責任者の渡部より「スタッフ同士の目線合わせの仕方」や「マインドセット」についてご紹介させていただきました。
KJ法を使って個人がもつ“願い”や“想い”を重ねる作業を行ったり、ケーススタディを通して具体的な対応法を検討したりする中で、個々がもつ不安やお互いに感じる相違を払拭したりしています。
また、ミーティングや日頃のコミュニケーションについて、質よりも量!という話が出ました。毎日どこかでコミュニケーションができる時間を作り、常にコミュニケーションを取り続けていくことが重要だと感じます。
現場運営のリーダーとして日々責任ある職責を担っている方々が集い、向上心をもって考えられる皆様の姿に頭の下がる思いがしたのと同時に、諦めずよりよい放課後をみんなで作っていこうという姿勢に明るい未来を感じた時間でした。
分科会3(現場スタッフ向け):自己理解を深めて、コミュニケーションに活かす工夫
いちスタッフとして働いていると、同僚や上司との意見が異なったり、大事にしていることが違ったりなど、いろいろな場で悩みながら子ども対応をしているという話を耳にすることも多くあります。
そんな中で私たちが今年度取り組んできた「感情の奥にある『願い』」について考えるワークを一緒に行いました。
例えば、臨機応変な対応を迫らせる場面に遭遇した際、「自分はいつもこんな風に動いてしまうな。また周囲の人の動きに対してこんな感情を抱くかも。」と、それぞれの動き方やそこに起きた感情は様々です。
そんなときに大切なのが、もともと持っている自分のメンタルモデルがどのようなものなのか、そしてその感情の奥には自分は相手にどうしてほしいと願っているのかということに気付くことです。
ワークを通して自分自身を見つめ、共有することで、とても充実した時間となりました。
■第三部:振り返り
振り返りの時間は各分科会での様子を全体に共有させていただきました。
今回の研修を通して、子ども主体の活動や安心安全な居場所作りには、子どもたちと日々一緒にいる大人自体が主体性をもって楽しく安心して働けることがベースになっているということを色々な角度から考えました。
このテーマについていろいろな立場の人が集い、考えることができたことは大変有意義だったと感じています。
▼参加者の感想
「働いている私たち大人が楽しくないと、子どもも楽しくないですよね。」
あるスタッフがつぶやいた言葉です。
子どもたちの近くに寄り添う私たち大人一人ひとりが、それぞれ形の違うピースを持ち寄ることで、一つの大きな絵が完成できます。大人自身も多様性を受け入れ、個々を活かした日々の運営を目指していきたいです。
さて、次回の3月16日が今年度最後のグローアップ研修では、放課後事業に新しく従事される方が知っておくとよい基本的な子ども対応や心構えなどを「講義×ワークショップ形式」で学びます。
皆さんとまた会えることを楽しみに、そして新しい方のご参加も心待ちにしております。
▼第4回グローアップ研修の詳細はこちら!
https://npoafterschool.org/archives/news/2022/02/35596/
これからも一緒に頑張りましょう!すべては子どもたちために。
文・事業開発チーム/村﨑
本イベントは、日本財団様の助成により開催いたしました。