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放課後から社会を変える〜全国一斉臨時休校がもたらしたこと〜

先日、突然の全国一斉臨時休校発表を受けた私たちの激動の1週間を記事にしてお伝えいたしました。※前回の記事はこちら

あれからまた2週間近くが経過し、当時は目の前のことに精一杯だったところから少しずつ落ち着きはじめ、また世の中の動きも変化が見られるようになってきましたので、改めて今の状況をお伝えさせていただきます。

臨時休校開始から現時点までの政府の動き
2月27日(木) 全国一斉臨時休校発表
3月2日(月) 多くの学校で休校開始
同時に厚生労働省は学童保育や保育所の原則開室を依頼。朝から開室する学童保育への支援金は当初1万200円/日(子ども40人を朝から受け入れる場合)で、私たちのみならず業界全体がこの金額に愕然としましたが、全国学童保育連絡協議会による要望書など運営者の声、また報道を通じた世間の声が後押しとなり、支援金額は3倍近くに増額されました。

3月14日(土)に安倍総理による会見が行われ、休校中の子どもたちの活動についても言及。換気の悪い密閉空間、人の密集、近距離での会話や発声を避け、健康のために屋外での運動も心がけるよう呼びかけられました。

全国各地の実態と現場の声
現在、これまでにご縁のあった全国各地の放課後児童クラブ等に緊急アンケートを実施しています。今必要な支援は何か、困っていることはないかをヒアリングし、私たちにできることを探しています。まだ回答募集段階ですが、その一部をご紹介させていただきます。

開室状況については、私たちが運営するアフタースクール同様、多くの放課後児童クラブが低学年の子を中心に、やむを得ないご家庭に向けて休校開始と同時に朝から開室をしており、利用者は平均10名〜20名程度です。運営に当たる人員数は地域によって差があり、常勤1名、非常勤も3名以下で週5日間、9〜12時間開室しているクラブも多くありました。

そこから聞こえてくる現場の皆様の声は、胸が苦しくなるものも多く見受けられました。

「学習時や食事の時は間隔を空けて着席していますが、遊びの時はどうしても接触が多くなってしまい、これで子どもにとって安全な居場所と言えるのかと不安です。子どもたちのストレスは非常に大きく、エネルギーを持て余しています。少人数ならではの関わりの濃さでトラブルもいつになく多いです」(福井県/放課後児童クラブ)

「この時期に無理して働いています。苦しさを誰に言えばいいのかわからない。余裕がない中でこのような状況となり混乱しています」(秋田県/放課後児童クラブ)

一方で、「マスクを寄付してもらってうれしかったです!」「学校の教室をお借りし、人員が足りない日は先生方が入ってくださり本当に助かりました」等、保護者や学校など地域の協力に対する感謝の想いも多く寄せられており、前向きにこのピンチをチャンスに変えていこうとする仲間たちに勇気をもらっています。

ちなみに回答いただいた団体の多くが、株式会社ローソン様が行っていた学童保育施設へのおにぎり無償配布が非常に助かったと記載していました。学童保育に対する支援を多くの企業様が展開されていますが、ネット環境等が整備されていない現場が多い中、オンラインコンテンツ等はややハードルが高いこともあります。お昼ご飯やおやつとして子どもたち、学童施設、保護者それぞれにとってうれしいおにぎりは今回本当に現場のニーズとマッチしたように思います。

ピンチをチャンスに〜放課後から社会を変える〜
日本の学童保育は、共働き家庭の子どもに対する社会福祉の観点から始まった制度で、それゆえに十分なキャパシティや人員を整備したものではありませんでした。また福祉的な観点を重視したものとして成り立っていきました。

かつて子どもたちは自由に公園で遊ぶ中で社会性を育んでいきましたが、地域の中にそうした場が減り、また共働き世帯が一般化するなど、時代の変化と共に学童保育が担う役割が拡大してきています。

放課後児童クラブ(学童保育)の運営基盤がまだまだ脆弱な背景には、
・十分な人員配置をできる補助金がない
・共働き世帯が一般化する中、利用希望者を受け入れられる場所を確保できない
・より多様な活動を必要とする小学生へ対応できる人材の不足

などが挙げられます。

先に述べたように、受け手は変わってきた一方で制度が追いつかず過渡期にあり、それが今回の初期支援額1万200円に現れていたように思います。

しかし今回、実態を見たときに世の中に必要な社会インフラとして認識されたために費用が加算されました。
これを機にその認識がされたことを私たちは歓迎したいと思いますし、安定的な運営を確保した上でさらに質の向上を目指していきたいと考えています。

放課後に窮屈な思いをしている子どもたちが日本中にたくさんいます。
かけがえのない放課後の時間をどう過ごすのか、社会全体で見直す時です。

友達と思い切り遊んでほしい。
地域社会の中でいろんな人に出会い、自分の可能性や世界を広げてほしい。
失敗するチャンスがたくさんある。

今しか出会えない遊びや学び、宝物のような放課後の時間をすべての子どもたちに届けたい。私たちはそう願っています。

社会からの支援〜共に未来を創る〜
運営しているアフタースクール現場では、引き続き衛生管理を徹底し、徐々に開室拠点を増やしております。全国の仲間たちと同じように不安や緊張がありますが、変わらず支えてくださる保護者の皆様からの労いや感謝のお声かけ、学校や地域の支えをいただきながら日々を過ごしています。
子どもたちは時々ケンカもしますが、それも嬉しくてつい笑顔になってしまう程、友達と過ごす楽しさをたくさん感じていて、手洗いなどもしっかり行いながら自分と友達との時間を守ろうと頑張っています。

そして現在多くの企業様より、ご寄付や物資で応援をいただいております。

心強い応援に多大なる勇気をいただいており、本当に嬉しくて感謝に絶えません。「子どもたちのためにぜひ使ってください!」と託してくださった企業様の想いを私たちは子どもたちにも伝えています。

私たちの団体だけでなく、より支援が必要なところにも届けられるよう、引き続き声やご支援を集めております。
日本中の子どもたちの健やかな日々が1日も早く帰ってくることを願い、これからも自分たちの役目を邁進してまいりたいと思います。

最後に改めて、子どもたちに安心と笑顔を届けてくださった企業様に、団体一同心より深く深く感謝を申し上げます。
本当にありがとうございます!!

文:放課後NPOアフタースクール/広報 鈴木香里

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