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【ソニーグループ 感動体験プログラム】子どもも、大人も。可能性を拡げた、新しい挑戦だらけの半年間

企業協働

2023年10月から2024年3月の半年間、宮城県多賀城市内の放課後児童クラブにおいてソニーグループ(以下、ソニー)の感動体験プログラム「長期プログラム」を実施し、20名(のべ146名)の小学生が参加しました。

長期プログラムは、子どもたちに体験機会を継続的に提供することで、子どもたちの創造性、好奇心などの非認知能力の向上をサポートすることに加え、スタッフに向けた研修をセットでお届けすることにより、プログラムが終了した後も継続的に体験活動が行われる居場所になることを目指して、2021年より継続的に実施している取り組みです。

さらに、今回は新たな取り組みとして、長期プログラム終了後の継続的な体験機会創出に向けて、プログラム後半の3か月間は、児童クラブのスタッフの皆さんがプログラムを立案し、実践しました。
奮闘する中で見えた子どもたち、そしてスタッフの皆さんの様子をこちらのブログでご紹介します。

2023年10月末。スタッフの皆さんとの顔合わせも含めて、“大人対話会”からスタートしました。
大人対話会とは、この長期プログラムの目的を理解し、子どもの体験活動について共に考えていくための対話の時間です。
普段、スタッフ同士でゆっくり対話することが難しいのが、多くの放課後現場の実情です。ですが、同じ子どもたちを見ているスタッフにとって、対話は現場をより良くしていくための大切なポイントです。
初回では“体験活動”が子どもたちにどんな学びや成長をもたらすのか?そのためにスタッフはどんな関わりをしたらいいのか?ということを考え、向き合う時間となりました。

 

約1週間後の11月上旬。ワクワクした面持ちの子どもたちへ、プログラムの提供が始まりました。
11月はソニーのプログラミングブロックのMESH™を使用したワークショップを2回行いました。
初めて使うプログラミング教材に、大人だったら恐る恐る、となるところですが、子どもたちの吸収力は抜群です。

使い方の説明を聞くと、あっという間に自分たちで使えるようになっていきます。
使い方を学んだ後は、発明です。
楽しい気持ちになり、誰かの役に立つような発明品を2人1組で考えていきます。
児童クラブに置いてあるおもちゃや備品を活用して、それぞれの豊かな発想で、時間も忘れるほど夢中になって作品づくりに取り組みます。

ジェットコースターのおもちゃの降下時に声が鳴る仕掛けをしたり、
ぬいぐるみにセンサーを付けて、毎度違う言葉をしゃべる仕掛けにしたり、
片付けをスムーズにするために箱にモノを入れると声がする仕掛けを作ったり。
自分たちが真剣に取り組んだからこそ、お友達のアイデアや発表にも興味が湧いたようでした。
真剣に耳を傾け、感想を伝えあう時間は、とても熱量のある時間となりました。

第2回の大人対話会では、1か月間の子どもたちの様子について振り返りました。
「今まで見たことのない姿が見えた!」や、「スタッフが声をかけなくても、自ら行動するようになった。」などの感想が上がりました。
また、第1回の対話会で考えた、大人の関わり方について早速実践してみたというスタッフもおり、「こちらの声掛け次第で、子どもたちの反応が変わりました!」という経験をシェアしてくれた方もいました。

これらをふまえて、「参加している子どもたち一人ひとりが、より主体的になるにはどうしたらいいか?」を考えるワークをしました。
子どもたちの現状の分析および、現状から一歩前進するために必要なことはどんなことか?を考える対話では、日々子どもたちを見ているスタッフの皆さんだからこその観点がたくさん出てきました。

その中で、“他者との交流・協力”という点において、まだまだ伸びしろのある子どもが多いという傾向も見え、体験活動を考える際の重要項目として考えよう、という共通認識が生まれました。

 

子どもたちの方は、11月からソニーのロボット・プログラミング学習キットのKOOV®を使った体験活動が始まりました。
見た目もカラフルで、楽しそうな教材に興味津々です。
たくさんあるパーツの中から、必要なものをお友達と協力しながら探し出し、レシピに沿って作っていくと、シャッター音のなるカメラや動く車の完成です。

パーツを正しく順番通りに組み合わせていくことで、おもしろい作品が完成することがわかると、作ってみたいレシピを見つけ、どんどん完成させていきました。
少し苦手そうな表情の子にはスタッフがサポートし、徐々にやる気を取り戻していく様子が見られました。
うまくいかない原因が、ほんの少しのパーツの向きの違いだったり、取り付ける場所が違うだけだったりすることが分かると、子どもたちもじっくりレシピを見る、という姿勢が身についてきているようでした。

KOOVの基本操作と併せて、タブレットでの動画の作り方も学びました。
動画視聴に慣れている子どもたちは、文字や音楽を効果的に入れることもすぐに理解でき、どんどん取り入れてオリジナリティのある動画を作っていきます。

自分たちの作った作品を動画にして発表する最終回では、全員で動画を見て、・KOOV賞(KOOVの作品自体がよかった)・作品賞(物語や動画の作り方が良かった)を送り合いました。
自分への拍手が起こると、少し恥ずかしそうな、でも充実感に満ちた表情があちこちで見られました。

MESH™とKOOVを活用した約2か月半のプログラムが終了すると、1月下旬から3月にかけては、いよいよスタッフの皆さんが考えたプログラムの実施期間となります。

第3回の大人対話会では、具体的にどんな体験活動を実施していくか、2グループに分かれて考えました。
その中で“承認”というキーワードが両グループから上がってきました。
・自分が承認されること
・他者を承認すること
この2つがあることで、子どもたちの言動がより主体的に変化していくということをこの2か月半で感じ取り、その点を強化する体験活動にしたいという想いから出たキーワードでした。

どんな活動にすれば、その観点を取り入れられるのか?スタッフ同士で対話を重ねた結果、MESH™やKOOVを取り入れた“からくり仕掛け装置”を作るという体験活動に決定しました。
仕掛けをいくつか作ることができるので、自分の作りたいものを制作でき、また仕掛けを組み合わせることで、誰か1人の意見に縛られる必要がないということが、“承認”を達成できるという観点に合致したのでした。

子 ども達に伝えたい想いと、体験活動のイメージはできたものの、「本当に、自分たちにできるの?」そんな不安の声も聞こえる中で、活動準備がスタートしました。

2月から始まるスタッフによるプログラムの初回までに、スタッフの皆さんは子どもたちにプログラムの内容に関する事前アンケートをとり、プログラムでの作品作りに取り掛かれそうな子どもたちには計画を立て始めてもらうなど、時間の使い方を工夫していました。

しかし、参加する子どもたち全員が事前に同じ準備をしておくことは難しく、スタッフの皆さんは限られた時間の中で、どう進めたらいいかということに頭を悩ませていました。
放課後NPOスタッフやソニー仙台の社員は伴走者として、その悩みを聞き、対応について提案すると、スタッフの皆さんは自分たちにできる方法を見出していました。

見事だったのは“承認”の観点を常に意識した声掛けと、ゴールの明確化です。
「このグループはこんな工夫をしているよ。」 「こんな素敵な作品ができたよ。」と、全体に声をかけることで子どもたちを承認し、やる気を高める声掛けをしていました。
また、”今日のゴールは何か“を冒頭ではっきり示すことで、子どもたちの制作を急かすことなく時間内に終えられるレベルにすることができました。

ドミノが倒れる途中で MESH™ が動きを感知して光り、ゴールするとKOOVで作成したプレゼントが開くという作品や、KOOVで作った車から球がおちるとブロックで作ったトンネルを抜け、レールを走るといった作品をはじめ、全チームが大人の予想を超えた作品をつくり、それを堂々と発表する子どもたちの姿がありました。

半年間にわたる長期プログラムを通して、子どもたちはどんどん自分の可能性を広げていくことができました。
発想の豊かさや新しいことへの柔軟性は、多くの子どもたちに既に備わっている力です。

ただ、きっかけがないと、なかなかその力が発揮されません。
子どもたちに提供する体験が、“子どもたちの中にまだまだ眠っている力を発揮することにつながる”ということを知っておくこと、それだけで体験活動への意識が変わってくると思います。
児童クラブのスタッフの皆さんは、対話会を経てその意識を高め、目的を持った体験活動を実施してくださいました。

子どもたちにとってはプログラミングを活用した作品づくりという“挑戦”であり、スタッフの皆さんにとっては、具体的な目的に沿った体験活動の実施という“挑戦”の半年間でした。
子どもも大人も、挑戦の中でどんどん変化していく姿に勇気をもらい、同時に、体験活動の意義と可能性を改めて感じた時間でもありました。

 

実施した児童クラブが、これからも変わらず温かく、挑戦に満ちた場所でありますよう心より願っています。

参加してくれた子どもたち、児童クラブのスタッフの皆様、多賀城市の皆様、本当にありがとうございました。

 

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