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【団体初】放課後事業と地元企業のコラボレーションで、その地域ならではの企業プログラムを開発~津島市の毛織物~

行政協働

放課後NPOアフタースクールは、2021年度より愛知県津島市と協働して、市内の放課後子ども教室のさらなる活動充実を目指したサポートをしております。

★協働についてのプレスリリースはこちら

今年度は津島市の皆さんと一緒に、自治体と市内の企業がタッグを組んで、地域オリジナルの企業プログラムを開発し、子どもたちに届けるという新たなチャレンジをしました。

毛織物が地域の基幹産業として発展してきた津島市。
しかし、今は工場が少なくなり、地域の大人にとっては耳なじみのある織機の「ガッチャンガッチャン」という音も聞く機会が少なくなってしまったといいます。
自治体担当者の方は「津島の毛織は今も産業として頑張っているのに、学校では『衰退した』と学ぶことも。それだけではもったいないから放課後で伝えることができたら」と考えていらっしゃいました。
また、津島毛織工業協同組合の方は「地域の子どもたちに毛織物を知ってほしい。そして身近に感じてもらい、次の世代につなげたい」というお気持ちを共有してくださいました。

そこで、これまで様々な企業様と協働し、コロナ禍においてはオンラインプログラムの開発も積み重ねてきた放課後NPOが、津島市の皆さん自身で津島市オリジナルのプログラム開発ができるように、そのノウハウをお伝えする研修を実施しました。

津島市社会教育課、津島毛織工業協同組合、山栄毛織株式会社、高台寺小放課後子ども教室スタッフという立場が違うメンバー(以下、開発メンバー)が集まり、子どもたちに津島市の毛織物の魅力を伝えるオリジナルプログラムを企画・開発するという、大きな挑戦がスタートしました。

■プログラム開発研修
9月から約3か月をかけ、子どもたちにも人気の高い「クイズ形式プログラム」の開発ノウハウをお伝えしました。企画や制作、ファシリテーション(進行)など様々な観点を盛り込んだ全6回の研修です。
子どもの興味を引くクイズの作り方やプログラム全体の構成、テーマの絞り方、スライドの作り方、声の出し方や惹きつけ方など、日頃私たちが気をつけているポイントを共有しました。

そんな研修の中で、何度も立ち返った問いがあります。それは「子どもたちに何を伝えたいのか、どんなことを持ち帰ってほしいのか」ということです。
この問いに対しては特に丁寧に話し合いを重ねました。「津島の魅力」の毛織を知ってもらい、興味を持ってもらうことをゴールに、内容のブラッシュアップを続けました。


10月には、プログラムで流す動画にご協力いただくことになった山栄毛織株式会社の工場を見学させていただきました。
開発メンバー全員で、毛織の機械や布、工程、産業の歴史を直接見聞きしたことで、ウールの魅力や地域企業の活躍を改めて発見できる機会となりました。
「実際に布に触れる体験も組み込みたいね!」というアイディアも出て、プログラムの内容がさらに深められました。

研修後半にかけては、伝えたいことが溢れ、絞り切るのが難しいという壁にぶつかることもありました。
しかし、「子どもたちに一番伝えたいことは何か」を改めて考えたことで、1本の軸が見つかり、子どもたちに伝わりやすい内容と構成に仕上げていただきました。

予定の研修を終えたあとも、相談会やリハーサルを重ね、いよいよ子どもたちに届けるトライアル実施日を迎えました。

■初めて子どもたちに届けたトライアル
2022年12月14日、開発した「つしまのみりょく 大発見!」プログラムのトライアル実施をしました。
開発メンバーで最後のリハーサルや最終確認をしたのち、子どもたちを迎えていよいよスタート!

「毛織物とは何か?」「羊から布になるまで」といったテーマに沿って準備した、動画やクイズを使って楽しく子どもたちに伝えていきます。

子どもたちは「バリカンを使うの!?」「羊、刈られて痛くないのかな?」など前のめりで参加してくれました。

毛織物が羊の毛からできていることがわかったところで、高台寺小の近くに工場がある、山栄毛織株式会社さんの工場の様子を動画で見ていきます。

「ガッチャンガッチャン」という音や、見たことがない機械に子どもたちは興味津々!
開発メンバーの一人、山栄毛織株式会社の社員さんが子どもたちに丁寧に解説をしてくださいました。

プログラム後半は、様々な布に触ってみるワークショップを実施!

「見てー!糸の太さがちがーう!」「縦横だけじゃなくて斜めにも縫われてる!」「これはふわふわしてあったかいから好き!」「これはつるつるしてる!」など、それぞれの布の違いをよく観察しながら、自分の「好き」を見つけてくれました。

多くの子どもたちが今回のプログラムをきっかけに毛織物を初めて知ったそうで、
「学校の近くで作っているのにびっくりした」
「津島の有名なものが毛織だと初めて知った」
など、新しい発見をしたという感想が多く聞かれました。

「子どもたちに毛織物を知ってほしい」「津島の魅力だと知ってほしい」という願いをもってプログラムを開発してきたメンバー。その想いがしっかりと子どもたちに伝わっていました!

▼開発メンバーの感想

「緊張していたけど子どもたちが楽しそうにしてくれて引き込めたときに、わたしも楽しくできました」
「みんなで開発したことで当日も『みんなで一緒に盛り上げる』いう想いが行動に表れていた」
「子どもたちの興味が続くように工夫したおかげで子どもたちが最後まで集中していた!」
「新しいことにチャレンジしていくことの大切さとともに、毛織が子どもたちにとって身近になることが大事だと改めて感じた」
「まさにチームワークの成果で毛織を津島の魅力として子どもたちに伝えられた」

■これからも地域の皆さんの力で
初めての挑戦で、最初はどうなるか不安だったという皆さん。
プログラムを開発する中で、地域産業の現状を知ったり、仕事として携わっているものがやはりこの地域の魅力であると再認識できたりなど、大人同士の学び合いも多くあったという感想をいただきました。

子どもたちだけでなく、大人も学びと発見があった本プロジェクト。
子どもたちのリアルな反応と表情を見た開発メンバーの皆さんの、”プログラムの開発から実施までを無事完走した達成感”と”子どもたちに伝わったという喜びの表情”が印象に残っています。

「他の放課後子ども教室の子どもたちにも届けたい」
「津島の魅力といえば『毛織物!』と子どもたちから言われるようになるのが今後の夢」
とこれからのチャレンジや想いなどをお話くださった皆さん。

本プログラムの展開とブラッシュアップだけでなく、「つしまのみりょく」として市内の他の企業とのプログラム開発にも挑戦していきたいということで、これからどんなコラボレーションが生まれるか非常に楽しみです。

地域の企業と自治体が連携してプログラムを開発し、地元の子どもたちに届けた取り組みは、今後に向けての大きな一つの事例になったと感じています。
今後もこのような取り組みを広く発展させていきたいです!

文・事業開発チーム/野田

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