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【南あわじ市:放課後事業全体研修レポート 】「子どもが自ら遊ぶ」に大人はどう関わり、どう環境をつくる?

行政協働

南あわじ市の放課後事業の支援を始めて4年目になりました。
私たちは、年3回、市内13拠点の放課後児童クラブ(学童クラブ)、放課後子ども教室、(両者を一体型にした)アフタースクールの拠点向けに全体研修を実施してきました。

本日は、2022年11月29日、30日に開催した研修の様子をお伝えいたします。
毎年この時期には、「プログラム体験会」を実施し、まずは大人が体験の楽しさ、市民先生から学ぶことのおもしろさを実感する機会を提供してきました。
しかし、今年で4年目を迎え、主体的にプログラムを企画・運営をする現場のスタッフさんの様子を見て、我々がプログラムの体験会を開くフェーズはもう終わったのではないかと感じました。

そこで、今回は「プログラム」以外の「遊び」の時間、「子どもたちが自ら遊ぶ」にどのように大人が関わるか、その基本を学ぶ機会をあらためてつくることにしました。


講師として、一般社団法人TOKYO PLAYの嶋村仁志さんをお招き。嶋村さんは、子どもが遊ぶ環境をつくる方ですが、南あわじ市の放課後でも活用していた「子どもの放課後にかかわる人のQ&A50」の著者のお一人であることもあり、実施に至りました。


ここからは、当日の様子をレポートします!
当日は、研修開始前からみなさん立ち歩きながら会話。最近拠点間留学をしていたこともあってか、拠点を越えてお話をされている方が多く見られました。
開始の時間に声をかけるまで、お話は止まりませんでした。

全体研修のタイトルは
『「子どもが自ら遊ぶ」に大人はどう関わり、どう環境をつくる?』

大きく以下の流れで進んでいきました。

(1)なんで「遊ぶ」って大切なの?「遊ぶ」って何?
(2)子どもたちの「遊ぶ」に関わるお作法、環境づくりは?
(3)子どもの遊びと危険

嶋村さんから最初に話をされたのは、「遊び」と「活動」は分けて考えるということ

よく聞く話として、現場でみんながプログラムをしていたら「これ終わったら遊んでいい?」と子どもに聞かれた、と。

その子にとってそのプログラムは遊びではなかったんですね。

嶋村さんからは、
「遊び」は、その子がやりたい方法でやりたいように
「活動」は、きっかけを渡す、意識して行う
と整理して話してくださり、今現場で行っているものがどちらのものなのか、改めて考えるきっかけをいただきました。

そして、そもそも「遊ぶ」ということの大切さ、「遊ぶ」に関わる大人は、すぐに反応する前に「まず立ち止まって」「よく観察して」「よく聞いて」それから反応するという関わりを学びました。

3時間みっちりの内容ですが、1時間ごとに楽しいワークが組み込まれ、ワークの内容に「えー!?」と反応しながらも楽しそうに取り組む皆さん。
ワーク中は、子どもになりきって遊ぶ様子やお絵描きする姿が。当たり前に過ごしていた時間が子どもにとってどんな意味があるか、そこにどう関わるのがいいか、基本を学び直す時間でした。


参加した方からの感想を少し紹介します。

・遊びの定義、その内面に隠れていた遊びの重要性を今回のように深く考えたことがない自分を発見。遊びから学び取れる各々の子どもの方向性がいかに大切でいかに育てられるかを、認識させられました。
・子どもにとって遊ぶことがなぜ大事なのか、時々考えていた疑問だったが、それを深く知る事ができました。

今後自分の拠点で取り組んでみたいことには、こんな意見がありました。

・研修でたくさんいい事を学びましたが今私が出来るちょっとした事からこころがけたいです。例えば自由遊びの時つい口をはさんでしまうのをやめようと心がけます。
・子ども達に危険なことを注意する時、一呼吸おいて、考えてみたいとおもいました。
もう少し、自由な遊びを増やせるようにみんなで、考えたい。
・遊びとは、〜その子が自分で自分を育てていく〜ものである事を念頭に。自分がどうさせたいか!より、その子に寄り添うということを大切にしながら関わることが、必要以上にならない為にもひとまず立ち止まって考えたり、敢えて何にもしない、なんにも言わないシーンも大事だって考えたり、とにかく丁度良いところを捜すことを目指して実践していきたいです。今日のお話しから、大切なことだと思いました

そして、この研修には続きがあり、全体研修の翌日に
拠点の主任さんとエリアマネージャーさんを集めて応用編「実際現場で実践してみるとしたらどうか」という研修を続けて行いました。

前日に聞いたことに対して、「そうは言っても、難しい」とか「やりたいけどどうやってやったらいいかわからない」をリアルに話し合う時間をとりました。

各拠点からの課題や不安がわーっと出た時間では、以下のようなことも話されました(一部)
・いろいろな個性を持った子がいて、特に特性のある子たちの対応はどのようにしたらいいか
・学校施設を借りている以上、学校の予定が優先で、なかなか使用が難しいこともある
・遊びの途中でお迎えがきちゃうこともある
・怪我をさせないようにと思うと、危険に神経がいってしまう

これに対して、嶋村さんやみなさんとこんなやりとりが生まれました。

・揺らぐことができるのはとてもいいということ。揺らいだ先に、どうできるか考えていけるから、まず揺らぐことができる力があるのはいい

・「○○が難しい!」となった時、何が難しいかを考えて、その難しいものがどう変えるとできるようになるか、一つ一つできる方法を考えていく

最後には小グループでテーマを決めて話し合いました。
「小さなチャレンジを考えてみる」というテーマにたくさんの人が集まり、大きな一歩はハードルが高いけれど、小さなことからだと考えてみたい!という人がたくさん出たのは嬉しいこと。

ちなみに、翌週に実施した別の研修では、自拠点の取り組みでその小さなチャレンジを発表してくれた方もいました。

(研修参加者の方より)
「先日の全体研修の内容を受けて、小さなチャレンジをしてみました。今までは危ないからとグルーガンを使わなかったけど、使ってみたらボンドより早くくっついていいね!となりました。今後も小さなチャレンジを続けていきたい」

南あわじ市の放課後事業では、「小さなチャレンジ」をずっと繰り返してきたなと思っていますし、最近では、スタッフさんたちがイキイキと今月はこんなことしてね!と話すのをお聞きするのがとても楽しいです。

時に今回のような学びの機会を持ちつつ、目の前の子どもたちの場をつくってくださる皆さんに、南あわじの放課後はとても素敵なスタッフさんがいるなと実感する全体研修からの出来事でした。2日目に出てきた課題はすぐには全て解決はしないですが、今後も放課後NPOアフタースクールでやれることがたくさんあると思わされる時間でもありました。

全体研修にご協力いただいた嶋村さん、大野さん、南あわじ市の皆さん、参加してくれた皆さん、ありがとうございました。
そして、引き続きよろしくお願いいたします!

文:南あわじ市担当/秋山千草

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