【開智アフタースクール】子どもたちの芽吹きは今この瞬間にも
こんにちは!開智アフタースクールの河本です。
今年の私たちのビジョン(願い)は「Hotできる放課後」。
子どもたちの自発性を応援しながら、「挑戦はアツク、人にはあたたかくの気持ち」で、大人も子どももほっとできる居場所づくりを目指しています。
ある日のこと。
一年生の男の子が、「うわぐつがみつからない」と声をかけてきました。
どうやら校庭に遊びに行ったあと、友達のくつが並ぶところに一緒に置いたら、自分のくつがどれなのかわからなくなってしまった様子。 まわりにいた子どもも大人も、一緒に探し始めました。
しかし、どれだけ探しても見つからず、とうとう帰る時間に…。
「見つけたら知らせるね」と伝えると、彼はとても悲しそうな顔をして玄関に向かいました。 そんな彼の姿をみた私たちスタッフは、ギリギリまで探し続けました。
ひとつひとつ確認していると、名前が消えかかったくつが一足。
それを急いで玄関に持っていき、くつをなくした男の子に「このくつかもしれないから、はいてみよう」と声を掛けました。
「ぴったりだ!ぼくのくつだよ!!」 男の子はとても嬉しそうに言いました。
「このくつね、名前がもう消えちゃいそうなの。だからもう一度書いておこうよ」
そう提案すると「うん」と答えてくれました。
「ここのかかとの部分に名前かいておくね」と私が右片方のくつに名前を書いていると、男の子も自分の筆箱から名前ペンを取り出し、「ありがとう!じゃあぼくはこっちのくつに名前をかくね」といって、左片方に自分で名前を書き始めました。
両くつを合わせると、彼の字と私の字が並んでいました。
彼はそれを見て「ぼくのくつ~!よかった~ありがとう。これでもうなくならないね!」と嬉しそうに言いました。
すると「あ!」と言って、くつの真ん中のところを引っ張り出しました。
「ねえねえ、ここのうらの白いところにもかいとこうかな!ここならきえないし、もうなくならない!ぼく、ここにもかくね。」といって書き始めました。
私は「え!すごい!ほんとだね。じゃあ私も同じところに書いとこうか!」といい、一緒に書きました。
4か所に書かれた名前を見て、「これでぼくのくつはなくならない。よかった。ほんとうにありがとう!」と言って、下駄箱にしまいました。
スクールバスに乗り込むとき、後ろを振り向いて大きく手を振って帰っていきました。
ものをなくしてしまったり、忘れることは誰しもよくあること。
次に同じことが起きないためにはどうしたらいいか、子ども自身がきちんと向き合って考えてくれたこと。名前を書くことも、スタッフに名前を書いてもらうだけではなく、「片方は自分で書いてみる」と挑戦し、さらに裏側にも書いて、「消えないようにする」という新しい第二の策を考え実行したこと。
思いがけない出来事から、子どもがひとつの芽をだし、さらに葉を大きく広げていく瞬間を垣間見れたことは私には想定外のことだったので、感動した気持ちになりました。
子どもと過ごしているとあっという間に時が過ぎていきますが、少し立ち止まり、目をとめてみると、子どもたちの芽吹きの瞬間はそこらじゅうに溢れています。
今しかない、この芽吹いていく瞬間を、これからもひとつひとつ大切に、見届けていきたいと思います。
文・開智アフタースクール/河本