【研修レポート】全国の放課後に関わる250名以上と放課後の価値を再確認!
2021年3月12日(金)、放課後現場の運営に携わっている方を対象にオンライン勉強会を開催いたしました。
新年度スタート前、放課後の在り方を再確認し、安全管理の基本や子ども主体の活動事例などをお伝えした本勉強会は、定員枠100名を大幅に上回る300名近くのお申込みをいただき、当初予定していた新任の方だけでなく多くの放課後に関わる方々にご参加いただきました。
▼研修会の内容はこちら
https://npoafterschool.org/archives/news/2021/02/31461/
「“学校は知識 放課後は知恵”。なるほど!と思いました。先の見えない時代を生き抜いていく子どもたちの“生きる力”を支援していきたいです」(放課後スタッフの方)
「保護者でも先生でもない大人が、子どもにとって大切である遊びを支援する活動は大事!と聞けて、肯定されたようで自信を持てました。」(放課後ボランティアの方)
「日本の子どもの未来創造という観点から充実した放課後づくりのために、これからも切磋琢磨させていただけると幸いです。」(放課後事業者の方)
企画冥利につきる嬉しいお声をたくさんいただいております。多くの方の放課後への関心と共に、皆様とのつながりを感じられる時間となりました。ご参加いただいた皆様、本当にありがとうございました、そしてこれからもよろしくお願いいたします!
▼気になる勉強会のダイジェストをお伝えします!▼
【第1部 放課後の現状と価値】
冒頭は代表平岩による講義。放課後の持つ価値と意義、いかに放課後が子ども達にとって大切な未来を育む場であるか、そこで果たす我々の役割を確認する時間となりました。
これから放課後の価値がますます高まる3つの理由
1つ目:放課後の時間が学校時間よりずっと長いこと
2つ目:子ども達の自己肯定感を上げられる要素がそろっていること
3つ目:VUCAの時代に求められる力が放課後に培われ得ること
自分の個性やいいところを伸ばせる放課後の時間に、人生のきっかけを見つけた人も多い。
柱時計を分解して遊び、"ワクワクした経験"がソニー創業のきっかけとなったと語る井深大氏、少年時代に昆虫を追い求めたことがアフガニスタンに行くきっかけとなった中村哲医師の話など交えながら放課後の時間ならではの価値を分かち合いました。
一元的な価値や評価になりがちな学校教育とは異なる放課後の時間に、子どもたち一人ひとりの良さに気づき、寄り添い、伸びていくきっかけや環境を用意する。そうです!私たち放課後の出番です!なんと重責且つ、意義ある役割でしょうか。
■VUCAの時代とは
VOLATILITY (変動性)
UNCERTAITY(不確実性)
COMPLEXITY(複雑性)
AMBIGUITY(曖昧性)
子ども達はこうした環境の中でこれから未来に向かって生きていくということ。
様々な状況・変化に対し、多様なメンバーと話し合いながら納得解を導くことや自ら決めて解決していく力を育める環境がまさに放課後。
"正解"を求めがちな学校授業とは全く異なる、放課後時間のもつ素晴らしいポテンシャルです。ここを消すような放課後の過ごし方を私たちはしてはいけない、いかにこれを実現できるか、やはり私たち放課後スタッフの腕の見せ所、出番ですね!
▼代表平岩による"必ずテストに出る"放課後の価値まとめはこちら!
皆さん覚えておきましょう!
【第2部 子どもの対応と安全管理の基本】
第2部は、アフタースクールの責任者を経て、地方支援や拠点エリアマネジャーを務める村﨑理恵から、団体内で実施している新入職者向け研修を、ケーススタディを交えてぎゅぎゅっと(相当)凝縮した形でお届けしました。
私たちスタッフの安全管理は大人が指示命令する管理主義ではなく、放課後の価値を最大限活かしながら行うことが基本。実際はなかなか難しいですが、そのためには“子どもたち一人ひとりをチームで見る"ことが重要です。
明朗な解はない、でもみんなで話し合って納得解を出す。
<一人ひとりのいいところを伸ばす>を胸に、アフタースクール現場ではケーススタディを日々重ねて皆で認識を合わせることを運営の要としています。
▼ケーススタディ
このセクションではご参加者の皆様と深く議論したいところでしたが、想定以上のご参加によりあまり皆様のお話を伺うお時間が取れませんでした。
(そんな中、「自分の現場に置き換えながら聞くことが出来ました」というお声をいただき恐れ入ります)
次回以降、ケーススタディは今後よりもっと皆さんと「話しあい・学び合える」時間にしていけるよう構成を見直してまいります。
また、本セクション内で発達障害やインクルーシブ教育などについても、入口だけではありましたが基本レクチャーをいたしました。放課後は本当に多様な子ども達と様々な活動があります。全ての専門家である必要はないかもしれませんが、放課後の時間を担う私たちは、多様な価値観、考え方、生き方に毎日向き合っていく必要あります。これもまた難しい面は多くありますが、素晴らしい個性を持ったスタッフ一人ひとりが知恵や経験を結集し、"一人では難しくともチームでみる・対応にあたる"を放課後NPOアフタースクールでは常に胸に置くようにしています。
【第3部 子ども主体の活動・プログラム設計】
第3部は、理事・チーフマネジャーである正村絵理より、子どもの自主性を尊重しながら豊かな時間にしていくための活動事例紹介を、現場責任者の渡部岳と共に行いました。
”コロナ禍だから”の制約を今回は封印し、”放課後の主役は子ども達“をテーマに、いかに現場で実践しているかをご紹介。
開校1年目の公設放課後子供教室の事例では、スタッフが子ども達と決めた「えらぶ・きめる・つくる」が徹底されていることが紹介されました。
この拠点では、子ども達が<放課後の仕事を大人と一緒にする>ことを目的に子会社を設立。(心意気は本物)
毎週、放課後の居場所をどうしたら自分たちでより良くできるのかや、お互いの関係性を豊かにしていくことをテーマに会議も行っています。
子どもたちによる会議の様子
会議ではそれぞれの得意を活かすため、責任者の岳さん(渡部)はパソコンで「議事録係」を担っています。
「考え方ひとつで公設でもこんなにワクワクする事が出来るんだと感じました!」と運営事業者の方よりコメントをいただきましたが、本当ですね。
子ども達はアシスト次第で大人の想像や大人自身をはるかに超えていきます。そこを目の当たりにできるのが放課後現場の醍醐味の一つだなと私たちも感じています!
また子ども達発案・主導の雑誌づくりやそこで起きたジェンダーに関わる話題など他拠点の事例も紹介しました。
▼私たち大人が子ども主体活動をする中で心がけていることはこちら
入職2年目(しかも新卒入職!)のアフタースクール現場スタッフがまとめてくれた、“子ども主体の活動成功への五原則”です。
勉強会当日、「最後までやり切らせるのも必要では」というご質問もありました。もちろんそれはとても大切ですよね。あきらめ癖がついてしまうことは本意ではありませんが、それでも子どもたちのペースを最優先しています。本人の興味が他に移ることもあったり、不意にやる気が戻ってきたり。そんな右往左往も大事にしたい。大人は斜め後ろあたりからそっと見守り、折をみて声をかけています。
放課後は“子ども達がやりたいことを決める” 同じことでも大人に言われてやるのと自らやるのでは、向かい方が違います。やりたくないことを無理やりやらせることはしないように心がけています。
ここでも繰り返しですが放課後のスタッフ同士、保護者の方々、そして学校と子ども達を取り巻く大人と、チーム一丸となって連携していくことをお伝えしました。言うは易しで日々の運営に向き合うとなかなか難しくなる目線合わせも、私たちの団体では年間を通じて時間を設け、チームでのビジョンを創ったり話し合いをすることに重きを置いています。
ダイジェスト版ではお伝えきれない凝縮の2時間半、ご参加いただいた皆様はいかがだったでしょうか。
アンケートでは大変満足の声もたくさんいただいた一方、「短い時間で追いつかなかった」「2日くらいでやってほしかった」といったお声も。
私たちも同じ時間をご一緒くださった皆様と放課後の素晴らしさ、可能性を存分に分かち合いたく、ついつい盛り込みすぎてしまいました。
ぜひ、学び合い・集いの場、高め合う場をこれからもつくっていきたい、つながっていきたいと思っております。
皆さんで放課後の価値をあげるムーブメントを起こしましょう!
来年度も勉強会などでまたお会いできることを楽しみにしております。
■ハッシュタグで一緒に放課後の価値を発信しましょう!
皆様の「放課後」に対する熱い想いを乗せて、「#放課後をゴールデンタイムに」とハッシュタグをつけてSNSで発信してください◎
日本中の子どもたちの成長を応援する社会を目指して、一緒にアクションをお願いいたします!
▼今後の予定
学びあい&つながりを深める勉強会を今後も予定しています。
(5月・9月・1月・3月頃を目安に年4回程度予定)
※スピンオフ会(集い)も検討中。
★企画や日程が確定次第、順次HPに掲載してまいりますのでぜひご注目ください。
本当にありがとうございました!
文:理事 チーフマネジャー/有坂絢子
本勉強会は、日本財団の助成により開催いたしました。