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【シーンづくり編/Day2】物語で想いを伝えるプロジェクト #千駄木act

子どもと大人が対話を重ねて地域の課題や可能性を自分ごと化し、小学生と高校生が協力してイマジネーションを膨らませながらショートフィルムを制作することで、みんなが願う未来の形を10代ならではの視点で社会に提案する「物語で想いを伝えるプロジェクト」

物語のベースとなるシーンづくりに挑む小学生編。その2日目の様子をお伝えいたします。

前回は地元の大人の皆さんと子どもたちが対話をし、現在の千駄木について深く知ることができました。今日は千駄木の未来に目を向けていきたいと思います。


お話の聞き方、みんな覚えているかな?


「相手のことを大切に思って心に耳を傾けて聴く」
傾聴のポイントを振り返ります。


子どもたちを少し先の未来に連れて行ってくれるのは、文京学院大学まちラボセンター長の古市太郎先生です。

古市先生は支援を必要としている方々の視点でまちづくりを考え、地域の方々、さらにあらゆるセクターと共に居場所づくりを中心とした活動に精力的に取り組まれています。
また大学という場を使って地域にできることを学生の皆さんと実践されており、今年開設された「まちづくり研究センター」(まちラボ)もまさにその1つ。
大学に開かれた地域食堂は他世代交流の場として、また訪れる人がそっと心を寄せられる場所として利用されています。

「みなさんは学校と家以外に、自分の基地・居場所はありますか?」

先生が子どもたちに最初に訊ねた質問です。


ちょっと考え込む子どもたち。

「そこにいると安心するとか、好きなことができる場所を書き出してみて」


川、公園、図書館、習い事の教室、布団の中、野球場、トイレ、一人で乗るエレベーター・・・

自分だけの場所もあれば、友達と過ごしている場所も。

「みんなの年の頃に大事にしている場所を大人になるまで守ったり、こんな未来になったらいいなと思ってたことを実現できるようになってくるのが大学生くらいから。ちょうどみんなの2倍くらいの年になってくるとできることがどんどん広がってきます。みんなは10年後の未来とか考えられるかな?」


「彼氏をつくってデートしていると思う!」「お茶の先生になる資格をとってるかも!」


「私も好きな人がほしい。あと友達が増えているといいな」「戦争や自然災害がなくなってほしい」


「大型台風とか地震が増えていると思う」「子どもも今より減っているんじゃない?」


「水質汚染で魚が食べられなくなるとかいうよね」

"こうなっているといいな"という願い、ちょっと不安な社会のこと。いろんな意見が出ました。10才〜12才の子どもたちが見ているほんの少し先の未来の姿に触れました。


続いて!ヤスさんこと田村さんにバトンタッチ!子どもたちによるストーリーテリングの時間です。

・ストーリーテリングとは?
伝えたい思いやコンセプトを、それを想起させる印象的な体験談やエピソードなどの“物語”を引用することによって、聞き手に強く印象付ける手法。(コトバンクより)

近年、ビジネス界でも様々な面で活用されるストテリを小学生たちがやってみました。
3人1組になって、聞き手・語り手・書き手に分かれ、聞き手は語り手が自分自身の体験談を答えられる質問をします。
質問し終えたら役割を変えて別の子が答えます。
書き手は答えた内容のメモではなく、語り手のストーリーの中からその人の素敵なところを見つけて書き留めていきます。

ここでも相手を応援する気持ちで傾聴することなどのポイントに気をつけて行いました。

む、難しい...!子どもたちにとって初めての挑戦だったのでお話を聞いて内容を把握するだけでもハードルがありました。
聞き手と語り手がお互いに心地よいテンポで会話をするのは大人でも難しいですし、書き手は相手を思って情報を漏らさぬようにと聞いた答えだけを書いてしまうのでその時に感じた相手の素敵なところを逃してしまいがちです。

このワーク、それぞれの素敵なところをプレゼントしてこの先どんな自分になりたいかを見つけていくのですがこのままだとちょっと難しそう。


田村さんが子どもたちに近づいてフォローに入ります。
「これから頑張りたいことは野球か〜、なんで野球を頑張りたいの?」と一つひとつの質問をたくさん掘り下げて、きっかけやエピソードなど彼だけが持っているストーリーをさらに引き出していきます。
他の質問の答えを聞いた子が彼の素敵なところに「真面目」と書いて渡していました。
最終的に見つけたなりたい自分は「僕は将来プロ野球選手になりたい。真面目なのもいいけれどそれだけじゃなくて、周りの人を明るく元気にできるようになりたいから好きな野球でそれを叶える人になりたい」

「好き」の始まりや「なりたい私」は人との出会いの中で見つかる。まさにそれを目の当たりにした瞬間でした。

他にも素敵だったのが、「今までで一番悲しかったこととそこから学んだことは?」という質問に、友達とよく喧嘩をして悔しくて泣いてしまうと答えた子がいました。
でも本当は仲良くしたいし、泣かないようにしたいと思っている自分に気づいたというのが彼女の学びでした。
このエピソードだけでも素晴らしいのですが、書き手の子が「あなたには自分を変えたいと思う意志があって素敵」と感動的な贈り物をしてくれたのです。

日々、放課後に子どもたちを見ている現場スタッフの方はこのやりとりを見てとても感激していました。

大人があれこれとアドバイスを送るよりずっと力強く、友達の一言の方が彼女の世界を救ったのです。


運営側としては、子どもたち一人ひとりの表現の仕方やテンポに合わせきれなかった反省のDay2でしたが、誇らしげに帰っていく子どもたちの姿にとても救われました。ありがとう。

この日、ご一緒くださった文京学院大学 古市先生に心から感謝を申し上げます。子どもたち一人ひとりを愛情いっぱいに見守ってくださいました。
「子どもの立派な行いや輝かしい取組みに人は目が行きがちですが、そういうところにはうまくハマれない子たちにどう安心の場がつくれるのか。どう自分を表現できるのか。一人ひとりと向き合うためにこういう時間がすごく大事だと思っています。地道に続けていくことが大切です。とても大事なことです。」とエールをいただきました。

この企画を通し、心がたくさん動くのを感じています。物語はどこへ続いていくのでしょうか。いよいよ次回は小学生編のラスト。Day3をお楽しみに!

▼Day1の様子はこちら!
https://npoafterschool.org/archives/blog/2019/10/25265/

▼Eposode0〜プロジェクトに込めた想い〜はこちら!
https://npoafterschool.org/archives/blog/2019/10/25181/

文:放課後NPOアフタースクール/すずきかおり

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