【シーンづくり編/Day1】物語で想いを伝えるプロジェクト #千駄木act
子どもと大人が対話を重ねて地域の課題や可能性を自分ごと化し、小学生と高校生が協力してイマジネーションを膨らませながらショートフィルムを制作することで、みんなが願う未来の形を10代ならではの視点で社会に提案する「物語で想いを伝えるプロジェクト」がついにスタートしました。
物語が始まる初日の様子を私、すずきかおりがお伝えさせていただきます。
文京区の公立小学校の放課後に、今回参加してくれる子どもたちがやってきました。
「みんなこの場所どこかわかる?」
一斉に手をあげる子どもたち。
「団子坂!」
大正解!
「じゃあ、なんで団子坂っていうか知ってる?」
また一斉に手をあげてくれるみんな。
「昔だんごがコロコロころがったから!」
「坂の下にお団子屋さんがあったから!」
なんと大正解。どちらの説も言われています。
みんなこの街が好きなんだね。
これから3日間かけて、みんなの街の未来をみんなで考えるよ。
ここで生まれた物語を高校生のお兄さん、お姉さんたちが映画にします。
子どもも大人も楽しい未来にするための物語になるように力を貸してね。
まず始めにアイスブレイクの時間を作りました。もともと放課後に行なっていた活動として地域の情報を地図に子どもたちが書き込んでいく素敵な取り組みがあり、それと連携して街のウワサ話や伝説を子どもたちに挙げてもらいました。
「この学校の校庭にサギがでたことがあるよ!土の子もいる!」
「この通りのかどにはちょっと怖いおばちゃんが出ます」
「公園の中にみんなが使えるトイレがある」
面白素晴らしい!
会場となった図書室の温度も上がったのでそろそろ本題に。
(ちなみに図書室の壁に「ようこそ物語の世界へ」という掲示がありました。セレンディピティ)
ここからはお話づくりのプロフェッショナル、ヤスさんこと田村祥宏さんにバトンタッチ。物語のベースをつくる小学生編から本物の映画制作をする高校生編までそのすべてをご一緒いただきます。
この日は地域の大人の皆さんがきてくださっていますが、お話を聞く前に大事なポイントを子どもたちに伝えてくれます。
「相手のことを大切に思って心に耳を傾けて聴こう」
具体的にどういう姿勢がいいかなど傾聴のポイントをいくつか教わります。
みんなできるかな?
この日来てくださったのは地域で暮らす4名の大人の皆様
地域で長く青果店を営まれている鈴木さん。
旧家の保存活動をされていらっしゃる仰木さん。
地元で注目の本屋さんを営む笈入さん。
千駄木近隣の環境を守り続けている小川さん。
皆様からの一言一言を、子どもたちは受け止めました。
ご自身の仕事にどう向き合っているのか、地域とどのように関わっているのか。
そこにお店があることは知っていても、知らなかったお話や、この街がずっと大事にしてきたものを言葉に載せてプレゼントしてもらいました。
また、この日はあいにくの大雨。東京も河川近隣地域では避難警報が発表されるほどでしたが、学校の近くは大きな影響は出ませんでした。
大昔の木々が地面に根を張り、かつて川だったところを埋め、私たちはその上で暮らしていると小川さんが教えてくれました。
するとそれを聞いた子が「自然が人々を守っている」とメモをとっていました。
昨今の度重なる自然災害に自然は脅威と捉えられることが多く、またそれも正しい一面かもしれません。
しかし、歴史の営みの中で私たちがどれほど自然に守られてきたのかを小学生が気づいた瞬間でした。
大人たちの言葉には様々な願いも。
「元気な子どもたちの声で時間がわかるような街であってほしい」
「みんなが長く暮らせて、人も自然も増えていって欲しい」
「時代の変化と共にきっと生きにくい部分もあるし、人が追いつけるスピードならいいけれど、住めなくなってしまう人もいるかもしれない。それでも子どもと大人がいて、お祭りがあって、自然があって、たくさん自慢できるところがあるんだよ」
その後も子どもたちから質問を重ねてさらに深くお話を聞き、その中から見えてきた街の課題や可能性をワークシートにまとめていきます。
最後は発表!
「この街は空が広い」
「古いものや街の目印が少しずつ減っている」
「本が好きな人が多い」
「この街を一言で表すと『輪』」
生茂る木々と隣り合わせで空飛ぶ車を描き、「変わっていくスピード」と表現してくれた子もいました。
さぁ、物語はどのように作られていくのでしょうか。
今日はここまで!Day2をお楽しみに!
<感謝を込めて>
子どもたちを愛情深く見守り、今回素晴らしいお話をお聞かせくださった皆様に心からの感謝を申し上げます。
往来堂書店/笈入様、NPO法人たてもの応援団/仰木様、千駄木の森を考える会/小川様、金杉青果/鈴木様
本当にありがとうございました!
文:放課後NPOアフタースクール/すずきかおり