Jリーグ村井チェアマンが語る”共創”とは?「第3回企業×NPO共創フォーラム」開催!
2019年9月6日、「第3回企業×NPO共創フォーラム」をCity Lab Tokyo(東京・中央区)にて開催しました。村井満氏(日本プロサッカーリーグ理事長)の基調講演や、アフタースクールに通う子どもたちからの声をもとにしたワークショップ、放課後NPOが企業と行っている協働事例紹介を実施し、企業とNPOの「共創」で生まれる「コレクティブ・インパクト(集団的影響)」について約70名の参加者の皆さまと考える機会となりました。
基調講演では、村井満氏(日本プロサッカーリーグ理事長)が地域との協働における次世代育成のあり方について、「日本プロサッカーリーグ(Jリーグ)」で実践された共創事例をもとに講演を行いました。
Jリーグは「豊かなスポーツ文化の振興及び国民の心身の健全な発達への寄与」を理念の中心に据え、地域に密着して施設開放や交流活動を行ってきました。
「それでも野球人気には勝てなかった。だから視点を変えました。これまでは“Jリーグが持っている施設の開放や選手との交流活動を提供するかわりに、サッカーを好きになってね、よく思ってね”という価値交換モデルでやってきた。でもこれからは“Jリーグを使ってみんなで社会課題を解決しようよ”という共創モデルの形にしたんです。」
と村井氏は語ります。その効果は絶大で、多様なセクターから300個を超える様々な案が上がり、そこから実際にプロジェクトとして「あたまがよくなるスタジアム」が立ち上がりました。
これは地域の学生やサポーターが、宿題を持ってやってきた子どもたちの面倒を見てあげるという取り組みです。Jリーグのスタジアムという場を使って、地域の人々が新たなつながりを得ることができました。
価値交換モデルでは富の取り合いになってしまい、そのまま続けていては限界を迎えてしまいます。そこで見出した新たなモデルは、様々な立場の人たちが共通の課題を前に、同じ方向を向いて手を組むというもの、つまり「共創」でした。
「Jリーグもプレイヤーの一人となり、各々の強みを活かした共創モデルで課題を解決する」。
これが村井氏の出した答えだったのです。
ワークショップでは参加者の皆さまそれぞれが、放課後NPOと一緒にどのようなプログラムを共創できるかを考えました。自分が所属する企業の理念や強みと、実際に子どもたちから上がってくる「やってみたい」の声や「好き」の声を踏まえたプログラムを同団体のスタッフと一緒になって議論しました。
ある班では、つみ木にはないビルの強みとして「中に入れること」を見出し、建設中のビルに潜入してモノの質感や重さを感じるプログラムや、誰もいない建設直後のビルを懐中電灯で探検するプログラムを考案しました。
別の班では、「人間の体の中に入りたい」という声や「子どもたちは虫が大好き」というスタッフの助言を活かして、小型カメラで虫の視点を体験するプログラムのアイデアが出ました。
事例紹介やトークセッションでのインプットを受け、皆さまアウトプットに前向きに取り組み、子どもたちへの教育に向き合っていました。
「子どもたちのことはあまりよくわからないので、自分の会社のリソースをどう活かしたらいいかわからない」という課題感に対して、弊団体は強みを発揮します。実際に子どもたちから上がってくる声はもちろんのこと、日常的に関わっているからこそわかる子どもたちの反応の違いを踏まえてプログラムを作ることができるからです。
トークセッションでは、株式会社セールスフォース・ドットコム様、ソニー株式会社様、楽天株式会社様と放課後NPOで新たに取り組む「放課後STEAMラボ」をご紹介しました。「STEAM」とは、科学(Science)、技術(Technology)、工学(Engineering)、芸術(Art)、数学(Mathematics)の頭文字を取った教育用語です。STEAMラボではタブレットなどのデジタルなツールや木工・工作のためのツールなどを用意。子どもたちが遊びながら探究することでこれらの分野を横断的に学び、クリエイティビティや課題解決能力を育むことを目指しています。
放課後STEAMラボによって、子どもたちにより深い探求学習を提供することができます。これからも皆さまとの共創によって、子どもたちの力を伸ばしていければと考えています。
AI時代、人生100年時代と言われる新時代を生きる子どもたち。そんな時代を生き抜く力を育むことに対して、企業の力はとても大きな効果をもたらします。
実際に学校の先生からは「社会のスピードについていくのはなかなか大変。その点で企業との連携は刺激になる」、「プログラミングをやったことがないから、企業のノウハウを活かせるのは助かる」といった声が上がっています。
企業の力は子どもの力を学校教育とは違った観点から伸ばし、社会へ解き放ちます。放課後NPOはこれからも様々な立場の皆さまと手を取り合って、子どもたちの未来のために活動してまいります。本フォーラムに参加してくださった皆さま、ご協力くださった企業・団体の皆さま、本当にありがとうございました。
このフォーラムを機に、現在様々な企業や団体様とともに新たなプロジェクトを構想中です。プロジェクトが子どもたちの放課後にどんな風を巻き起こすのか、ぜひご期待ください!