【文化】“ワザ伝”プロジェクト in くまもと キッズワークショップ 2018
12月15日(土)に、“ワザ伝”プロジェクトin くまもと キッズワークショップ2018が熊本RKKびぷれすスタジオにて行われました。
熊本地震からはや2年。去年に引き続き今年も、一般財団法人あんしん財団様主催のもと、日本の伝統的な<技>を全国の子ども達に伝えるプロジェクト“ワザ伝”が熊本に帰ってきました!その様子をお届けいたします。
【水引】
まずは、水引ブースの紹介です!
日本が誇る伝統技能の一つである水引を教えてくださったのは、長野からいらしてくれた飯田水引プロジェクトさん。ワザ伝に参加してくださるのは、これでなんと6回目です。
「水引を知ってた人~?」と聞くと、
「抹茶屋さんの袋についてたよ!みてから、ずっとやりたいと思ってたの!」とワクワクした様子の子どもも。みんな、お祝い袋の絵を見ると「あ〜〜〜!」と納得した様子です。
最初は水引についてレクチャータイム。
水引とは紙の素材できていながら、非常に頑丈で、耐性の強く、彩豊かに美しさをもつ日本の伝統的な伝統工芸品です。
まずは、展示してくださった先生の作品に触れてみます。
緻密に作られた作品に、圧倒されているのか静かに触り、感じる子どもたち。
すると、ある子が「松竹梅…鶴と亀…水引はお祝いごとに使われるんだね!」と気がついていました。
次に先生が実際に作品づくりの瞬間をみせてくださります。
できあがったのは、蝶々でした!
この水引の蝶々をかけた水引クイズでは、みんなの水引の知識への驚きを覚えながら、理解が深まっていきます。
水引には、「封印・魔よけ・人と人とを結びつける力」の3つが込められているというクイズには保護者さんも含めみんなびっくり!
水引の理解が深まったところで、みんなも実際に水引であわじ結びをやっていきます!最初は、先生が丁寧に直接教えてくれます。
最初は「難しい…」「できない」と言っていた子どもたちでしたが、練習を重ねるごとにどんどん上達し、「3本でやりたい!」「梅むすびもしたい!」「しおりにする!」と、精力的に作品を作っていきます。
集中力はどんどん高まり、すっかり水引のとりこに。
そんな中でも、忘れてはいけないのが、水引を誰に宛てて作るのか、です。
「古稀の色は、紫と紺なんだね。おばあちゃんも私も好きな色だ!」とその色で編んでいる子や、「本が好きな友だちにこのしおりプレゼントしようかな」と大切な人に想いを馳せながら、結んでいきます。
プレゼントする水引には、その人にあてたお手紙も書きました。
ある子は、封筒も水引で飾りたいと考え、先生の力を借りて実現させていました!
終わりには、先生から「今日はみんなに水引について知って、ものづくりの楽しさを感じてもらいました。大人になっても水引について思い出してくれると嬉しいです。」というメッセージをいただきました。
先生とハイタッチでさようならです。
クイズをした際に、「水引は○○と〇〇をつなぐものです!さて、○に入るのは?」という質問があり、「手と手をつなぐもの!」という答えがでました。
「人と人をつなぐもの」が正解でしたが、職人さんの手によって紡がれる「ワザ」を、子どもたちの手で実際に取り組んでいくことでつないでいく、今回のワザ伝、水引ワークショップ。
水引を通じて、「人と人」そして、「手と手」もつながるきっかけになったのではないかと感じます。
先生をしてくださった、飯田水引プロジェクトの唐沢さん、渡邊さん、飯田市商工会議所の井坪さん、本当にありがとうございました!
【金属コマ】
さて、次は金属コマブースの紹介です。
講師を務めてくださるのは、いつも大人気 仙南マシンクラブの皆さん。今回お越しいただいたのは、株式会社岩沼精工の千葉さん、イケダ工機株式会社の池田さん、株式会社ソディックの田中さんの3名です。
子どもたちは、仙南マシンクラブのお三方から、金属加工の知識と知恵を学びます。
まずは、仙南マシンクラブの所在地・宮城県岩沼市についてのお話がありました。
岩沼市は、熊本同様、2011年にあった東日本大震災の影響を受けた被災地です。
津波による大きな被害に遭われた仙南マシンクラブの皆様でしたが、中小企業が誇る技術、そして、モノづくりのを素晴らしさ次世代に伝えるためにも、手と手を取り合い復興を果たしました。
そして、金属の不思議についてクイズ形式で学んでいきます。
「金属は何からできているんだろう?」
「金属ってどのように切るんでしょう?」
「次の形も大きさの同じ5種類の金属のうち、一番重い金属はどれでしょう?」
「おんなじ形の金属でも、種類によって重さや色が違うんだ」と驚きの表情を浮かべる子どもがいれば、「もっと金属加工の工程を覗いてみたい」という子どもも。
金属加工はただ機械を動かすのではなく、お客様が本当に必要としているものをどうやって作るか、まずは人が考えなければ機械を動かすことはできない、ということも学びました。その為に、金属の正しい知識をたくさん持っていることも、職人として大切だということも。
続いて、金属コマの仕組みも学びます。
今回みんなが作る金属コマは、<軸>とリング状の<胴体>、そして地面と接する<鋼球>の3つのパーツからできていました。そして、どうしてこの様なパーツでできているのか、先生が体を張って教えてくださいました。
そして、実際に金属コマづくりに挑戦!!!
まず、好きな色の軸と好きな形の胴体を選んで、
「えいっ」と、力いっぱい軸を胴体に押し込んでいきます。ちなみに、この作業を圧入といいます。
そして、これだけではコマは回らないので、軸の先端に鋼球も圧入します。
これでオリジナル金属コマの完成!!!
子どもたちは、早速自分の台で回す練習を始めました。
この後、自分たちの作ったコマでトーナメントを行い、No.1のコマを決めていきます。
練習後、早速コマ対戦スタートです!
お互いに礼をして、いざ勝負。台の上で、同時にコマを離します。
祈る子どもたち。白熱の真剣勝負が続きました!
トーナメントで負けてしまった子は、今度はどれだけ長く回せるか、タイムトライアルに挑戦します。1分、2分と固唾をのんでコマの動きを見守っていました。
見事トーナメントで優勝・準優勝をした子と、タイムトライアルで最長記録を残した子には、先生から金と銀のコマのプレゼントが!自信満々の笑顔で先生から表彰されました。
ワークショップの最後には、先生からメッセージがあります。
「僕たちも金属加工を行う際には、頭を使って考えている。身の回りの物もそうやって考えて作られてきた。
そして、2020年のオリンピックに向けて、空飛ぶ車を作ろうとしている大人たちもいます。大人になったら、君たちは何を考えて何を作るのかな?
これからも、自分の頭使って考えることを大切にしてください。」
そして、そのメッセージのもとに、先生からコマのお土産が。
「このコマには2か所穴が開いています。このコマを頭を使って考えて、最強のコマにしてみてください。ヒントはM3 のネジです。」
そんな素敵なワークショップを終えて、子どもたちは3人の先生に笑顔で「さよなら」と言って帰っていきました。
仙南マシンクラブの千葉さん、池田さん、田中さん、ありがとうございました!
【熊本高専】
最後に、地元にある熊本高等専門学校さんのブースをご紹介します。
熊本高等専門学校さんからは、総勢9名の生徒さんと3人の先生がいらっしゃり、ワークショップを実施してくださりました。
ワークショップの内容は「電子オルゴールをつくろう!」。ちなみに、このオルゴールの設計自体も生徒さんが行ったそう。す、すごい…!
子どもたちは、参加する前から「大好きなオルゴールの中ってどうなっているんだろう?」と興味津々の様子でした。
ワークショップは、高校生とペアになってマンツーマンで教わります。
お互いに向かい合って座って、さあ工作開始!
はんだごてを使って様々な部品をステージにくっつけていきます。
はんだごては300度〜400度の熱さ。
今回初めて使う子もたくさんいましたが、高校生や先生のサポートを受けながら、慎重に使っていきます。
「はんだごてをつけて、1,2,3秒数えよう」
丁寧に一つ一つを教えていく、熊本高専のお姉さんお兄さん。
ステージに針金を通すのに、子どもが少し手こずっていても、じーっと見守って、やりやすくなるヒントをくれます。
「難しいよね、焦らないでやってみよう。」
電子オルゴールの核となるのはメロデイICと呼ばれる、音楽のデータを組み込んだチップです。チップを入れて、電極をつなぐと..
完成です!
「できた!」「手の汗がびしょびしょになるくらい頑張った!」と子どもたちも嬉しそう。高校生も「頑張ったよね」と声をかけてくれました。
子どもにじっくり向き合って教えている高校生の姿をみて、「ワザ」には、年齢なんて関係ないこと、ものづくりへの誠意と人に伝える気持ちがあることこそが「ワザ」の重要な点であるということを学びました。
熊本高等専門学校の先生方、生徒の皆さん、ありがとうございました!