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【ご報告】三鷹市の放課後子ども教室をサポート!「子どもたちの声」を生かした放課後プログラムづくり

行政協働

私たち放課後NPOアフタースクールは学校施設を活用し、地域と共に子どもの育ちを応援する放課後のモデル(アフタースクール)を日本全国で実現することを目指し活動しています。

直営拠点の運営に加え、学校活用による放課後の活動充実を目指す自治体を支援することで、各地域に持続可能な形として広げ、より多くの子どもたちが主体的で多様な体験機会を得られる居場所をつくりたいと考えており、昨年からは東京都三鷹市より放課後の体験プログラム作成を受託し、プロジェクトを推進しています。今回は、三鷹市で進めているプロジェクトの走り出しの様子を報告します!

【本プロジェクトについて】
三鷹市は現在、41の放課後児童クラブ(学童保育所)に加え、全市立小学校(15校)にて放課後子ども教室(※)を開催。放課後の居場所利用ニーズが高まる中、放課後子ども教室において担い手の不足や負担が課題となっており、現場での負担軽減と活動充実を目指して、放課後NPOアフタースクールによる放課後の活動支援事例集(活動レシピ集)を作成・研修等を通して展開することで市内放課後子ども教室の活性化に寄与していくことを目指しています。

三鷹市では、「スクール・コミュニティ」(学校や子どもたちを縁としたつながり)を創造することを目指し、「学校3部制」構想を掲げています。
本プロジェクトは「学校3部制」の第2部である、多様で豊かな「新しい放課後」を創り出すための支援となっています。

★三鷹「学校3部制」構想について 資料5 はこちら
https://www.city.mitaka.lg.jp/c_shimin_kaigiroku/094/attached/attach_94117_4.pdf

■プロジェクトのスタート!
団体へお声掛けくださった際、市の担当者の方より、市内の全小学生からアンケートをとって子どもたちの「放課後の時間にこんなことをしたい!」という声を受けて企画開発した放課後プログラムを各校へ展開したいという思いを 共有してくださいました。
市では、10月に「子どもの放課後活動への要望についてのアンケート調査」を実施、市内の小学生と保護者を対象にアンケート調査(回答:2890件)を行った結果、子どもたちからの声は「身体を動かす校庭や体育館で行うプログラム」をやりたい。という声がありました。
次いで、「工作等のものづくり体験プログラム」が人気でした。友達と一緒に授業以外の時間で自由に創作に親しめるのも放課後の醍醐味ですし、放課後ならではの面白い工作や、作ったもので遊べる活動などアレンジは本当に幅広く考えられます。
また、保護者からの特徴的な意見としては、「学校で配布されているタブレットを子どもが有効に活用しきれていないのでプログラミングなどうまくいかせる方法を教えてほしい」や「そもそも、地域の中に子どもの居場所が少ないので、学校施設を使って雨風をしのげて、毎日放課後の時間友達と一緒に過ごせる場所が必要」など切実な声もありました。

この結果を受けて、私たちは市内でどのような活動が求められているのか、今回モデル校に選定された、三鷹市立第六小学校、井口小学校の2校に現場視察や市内各校の実施状況のヒアリング等を進めながらプランを練っていきました。

特にモデル校では、活動プログラムを各校で再現して実施するためのポイントなどを検証するための、トライアルを実施させていただいています。

モデル校の井口小の運営を担う三鷹市社会福祉協議会の嶋田さんは「今年度毎日教室や校庭の開放を始めて、最初は数人からスタートした活動が今では70~80人くらいが参加してくれる活動となっているのですが、なかなかイベント開催する機会やネタがつくれず、この機会にイベント企画もできて嬉しいです」と前向きに協業をくださいました。(ありがとうございます!)

三鷹市社会福祉協議会 嶋田さん

現場の皆さんとの打ち合わせを進める中で、

「今まで一人でネットで情報を調べて、企画を考えたりしていたので、ネタをもらえるだけでも助かります!」
「学校の長期休業期間中に子どもたちが退屈しがちなので、その時にできる活動なんか助かります」
「工作系は結構やっているんですが、運動系は苦手で…」
「材料費などはなかなか準備が難しかったりするので、身近にあるものや学校にあるものを使ってできる活動がいい」

など色々な観点でコメントをいただき、トライアル検証をするプログラムを「しめ縄づくり」「フィールドアスレチック」(校庭や体育館の用具を活用したアスレチックアクティビティ)の2つに絞り、実際に実施していくことになりました。

その他、10種類ほどのアクティビティを各校で再現可能なレシピ集(お料理本のようなイメージ)に仕上げていくために選定、制作を進めていますがそれはまた追って報告ブログで共有したいと思います!

■三鷹市プログラムトライアル「しめ縄づくり」ダイジェスト!
2022年12月26日に三鷹市立第六小学校、井口小学校の2校で「しめ縄づくり」プログラムを実施しました。27日にも実施した第六小の参加人数も合わせると、約150名の子どもたちが参加してくれました!事前の打ち合わせやシミュレーションを経て、地域の方、事業者の方、社会福祉協議会の方が事前に会場を設営してくださり、しめ縄の材料である畳表や飾りつけに使うたくさんの飾りを、子どもたちが参加しやすいように工夫を凝らして準備してくださいました。


たくさんの子どもたちが安全に快適に楽しくしめ縄作りに参加できるように、どちらの小学校も広い会場を設営してくださいました。畳表をしめる作業は広いところで、ぶつからないように、汚れても大丈夫なように。飾りつけをする場所には、事前に道具や材料を使いやすいように配置します。体験プログラムを円滑に進めるためには「場の設営」がとても大事ですが、スタッフのみなさんが子どもたちのために細やかな工夫を凝らして、事前準備を丁寧に行ってくださったおかげで、当日は多くの参加者にも関わらず、とてもスムーズにプログラムを進めることができました!

飾りの準備にも余念がないスタッフのみなさん


参加した子どもたちが自分自身で飾りをつくれるように、作り方の流れがわかるような見本もたくさん設置してくださいました。


伝統的な飾りから、子どもたちになじみのあるポップなものまで、身近な材料を使ってたくさんの種類の飾りがあるとアレンジの幅も広がりますね。実施してみて、しめ縄づくりはリースづくりに似ているのだなと感じました。

(※畳表について)
しめ縄づくりの要である「しめ縄」の材料は、今回のプログラムでは畳表を使用していますが、どちらの小学校も、スタッフの方が地域の畳屋さんに話をしてくださったおかげで、たくさんの畳表を準備することができました。今回使用した畳表は畳を作る際に出る端材なので、多くは処分されてしまうものを、このような形で子どもたちの体験プログラムに活用できたことは、とても意味のあることだと実感しています。地域の方がつながって、身近なもので充実した内容のプログラムを子どもたちが体験できる、持続可能な循環型の体験プログラムの一つになりました。


縄をしめる時に、畳表をぬらしておくのがポイント!水分を含んだ畳表の方がしめやすいそうです。


水でぬらした畳表を取りやすいように一つ一つ丁寧に配置。細部まで工夫を凝らして、真心こめて準備してくださったスタッフのみなさんには感謝の気持ちでいっぱいです。

(※しめ縄づくりについて)

(※飾り付けについて)
スタッフの方が事前に準備してくださった様々な種類の飾りに目移りしながらも、子どもたちがとても楽しそうに自由にデコレーションしていた姿が印象的でした!

(参加者、現地スタッフの皆様の声)
プログラムに参加してくれた子どもたちからは、「おうちに飾るんだ!」「おじいちゃん家にプレゼントする!」など、嬉しい感想がたくさん!
友達やスタッフさんと協力してしめるところから作ったしめ縄飾りが自宅で飾られると、いつものお正月がとても特別なものに感じられますね。

また、当日運営してくださったスタッフの方からも、「我々が思っていた以上に低学年も締める作業をちゃんと行えていたことが驚きでしたし、逆に低学年も締めるところから体験してもらえてよかったなと思いました」と実際にトライアルを実施したことからの気づきやフィードバックも頂くことができました。

■まとめ
今回はトライアルとして「しめ縄づくり」プログラムを実施しました。
<子どもたちからの希望>というよりは<大人がこの時期に子どもたちに体験させてあげたいこと>という位置づけの強い活動ではありますが、子どもたちが【日本の文化や年中行事に触れ】【地域の関わり合いが生まれ】【子どもたちの協力が生まれ】【自分でつくったものを大切にでき】【家族との時間に会話が生まれる】どの、活動としての意義が明確にできる活動でなおかつ、大人たち主導の企画のもとでも<子どもたちのやりたい>につながるのであれば、多様に体験活動を広げていけるとよいと思っています。そして、その点で考えると今回のしめ縄は子どもたち一人ひとりの世界に一つだけの我が家の飾りができる、特別な機会になったと感じています。

また、「大人と子ども」「地域の方と事業者の方」「スタッフの方と地域の企業の方」など様々な立場の人たちがそれぞれ得意なことを持ち寄って、力を出し合って協働することができたことも、今後の活動に向けてとても良いモデルケースになったのではないかと思います。今後は、こちらでの実践をもとに、別の場所でも再現可能な「レシピ」として活動事例をまとめ、冊子の作成を進めていきます。

次回は、1月に実施した学校の校庭や体育館を活用して、体を動かして遊ぶ体験プログラムをレポート予定です。また、3月に予定している研修会に向けても着々と準備を進めております。次回の活動報告もぜひお楽しみに!

【本件および研修等のご依頼に関するお問い合わせ先】
特定非営利活動法人 放課後NPOアフタースクール 事業開発チーム
Mail: kaihatsu[at]poafterschool.org
※[at]を@に変換してください。

文・事業開発チーム/渡部岳・杉山真愛

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