【目を大切に!ブラインドチャレンジ】視覚障がい者も健常者も自分らしくいられるためにできること
2022年12月、参天製薬株式会社の皆様と一緒に、京都府京都市内の小学4年生の授業で「目を大切に!ブラインドチャレンジ」を実施しました。
「目を大切に!ブラインドチャレンジ」は、視覚に障がいのある参天製薬の社員先生と一緒に、目に関する知識や視覚障がいについて学び、子どもたちが日常生活の中で共生社会について自然と考え行動できるようになることを目的としたプログラムです。
今回プログラムをお届けした小学校では、子どもたちが登下校中に視覚障がい者の方に出会い、声かけや手助けをして「ありがとうカード」をいただいたという経験があり、子どもたちに視覚障がい者への理解をさらに深めてもらうため本プログラムをご活用いただきました。
▼プログラムの内容
「目を大切に!ブラインドチャレンジ」は大きく4つのパートから成り立っています。
1.導入:目隠しをして聞こえた音が何の音かを当てるクイズなど、五感のクイズを通じて目の大切さを理解します。
2.体験①:目隠しをして数字のパズルをはめる体験をします。隣の席の友達と協力して、目隠しをしていない子が声だけで数字の位置を伝えるなど、声かけの工夫と整理整頓の大切さを学びます。
3.体験②:目隠しをしながら点字ブロックを歩く体験をします。2人1組で行い、視覚障がい者を誘導する時にどのようなサポートや声かけをすればよいのかを体験します。
4.対話・まとめ:社員先生との対話を通じて、視覚障がい者を理解し、同じ社会に生きる人として子どもたち自身ができることはなにかを考えます。
▼プログラム実施の様子
目隠しをして数字のパズルをはめる体験では、30秒間に何個の数字をはめられるかチャレンジをしました。目で見ながらはめるのは簡単ですが、目隠しをすると一気に難易度が上がります。子どもたちは夢中になって挑戦していました。社員先生からは「もう少し右だよ!あと30度左に傾けて!」など、具体的な声かけの大切さと、整理整頓して数字を予め並べて置くことをアドバイスしてもらいました。特に整理整頓は普段から子どもたちも心がけていることですが、視覚障がい者にとっても同じように大切で、予め分かりやすく並べることで、物の位置を正確に把握することにつながるのだと知りました。
点字ブロック体験では、実際に点字ブロックの上を、目隠しをして白杖を持ちながら、誘導する人と2人で歩いてもらいました。誘導する人は目隠しをしている人の白杖を持つ手と反対側に立ち、肩か肘に手を置いてもらい、声かけをしながら半歩前を歩くことが必要です。実際に体験してみると、早く歩きすぎてしまったり、点字ブロックから外れてしまったりと思い通りにいかないこともたくさんありました。子どもたちからは、「どこを歩いているのか全然わからなかった!」など素直な感想が聞けました。
社員先生との対話では、「新幹線にはどうやって乗っているのですか?」「お金を払うときはどうしていますか?」「ご飯はどうやって食べているのですか?」など、子どもたちからたくさんの質問が出ました。ちなみに、「ご飯は左手にお茶碗を持って右手でお箸を持って食べます!」と社員先生は答えており、子どもたちからは「なーんだ、同じだ!」と言った声があがるなど、障がいがあっても健常者と同じように生活していることにも気づかせてくれました。ただ、食器を置く位置については工夫があり、クロックポジション(時計の短針が指している時間を伝えることで、位置情報を共有する手段)により把握していることを教えてもらいました。また、スマートフォンも活用しており、音声の読み上げ機能を使って仕事やメールの返信を行っているそうです。社員先生との対話を通して、視覚障がい者の方と健常者の生活はほとんど変わらないこと、普段の生活での工夫を知ることができて、理解が深まったように感じます。
▼子どもたちの感想・意見
プログラム実施後の子どもたちのアンケートからは、下記のような感想や意見がありました。
- 思ったよりも目が不自由な人は大変だと思いました。たとえば、こういう人がいたら、「大丈夫ですか」など一声かければ目の不自由かんけいなく生活できると思いました。
- ごはんやお金の支払いをするのにも、少しずつ工夫があって、見えている人と同じようにできるのだと思いました。
- 障がい者になって、いやになるのではなく、サッカーやパラリンピックに出れるほど上手くなって自分の好きな事を見つけられるのがすごいと思いました。
- 助けようと思っても目の不自由な人か分からないが、白杖を持っていればすぐわかって助けられるので、どんな人にも思いやりの心を忘れないようにしたいです。
▼学校の先生方の感想・意見
- 座学だけでなく、実際に体験するのは小学生の子どもたちにとってとてもよかったと思います。また、当事者でおられる社員先生の声から学ぶことで、心にもひびいたと思います。
- 積極的にお声がけしよう、またその経験を子どもたちに伝えていこう、と改めて思いました。
- 子どもたちには、この経験を機に周りの人や自分の目、身体を大切にしてくれたらと思います。この度はありがとうございました。
- 子どもたちにとって普段の生活から新たな視座を得る体験と学びをありがとうございました。
参加した子どもたち一人ひとりが、そして先生方も含めて視覚障がい者への理解を深め、自分にできることがなにかを考えてくれたことが嬉しかったです。今後も、「目を大切に!ブラインドチャレンジ」の実施を通して、視覚障がい者の方も自分らしく安心して暮らせるような温かい社会に繋がるよう、子どもたちに伝え続けていきたいと考えております。
プログラムに参加してくれた子どもたち、実施に際して様々なご協力をいただいた先生方、参天製薬株式会社の皆様、誠にありがとうございました!
今回のプログラムで体験したことが、街で困っている視覚障がい者を見かけたときの行動に繋がりますように!
プログラムの紹介動画はこちら
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実施場所 / 京都府京都市
実施日時 / 2022年12月上旬
参加者数 / 小学生88名