ご報告:10/12(水)開催 【NPO×企業】次世代育成支援が地域に関わる企業にもたらすもの
10月12日(水)、ゲストに木村石鹸工業株式会社(以下、木村石鹸)の木村祥一郎 代表取締役社長をお迎えして、「【NPO×企業】次世代育成支援が地域に関わる企業にもたらすもの~地域企業×社会貢献×ウェルビーイング・幸福感~」と題したオンラインイベントを開催しました!
木村石鹸について
皆さんもご存じのとおり、木村石鹸は、大阪府八尾市にある大正13年創業の老舗石鹸メーカーです。創業時から、自社で職人の手によって作られる釜焚きの純石鹸をベースに(国内では数社のみ!)、製品開発を続けておられます。昨今は、OEM中心の事業モデルから、自社ブランド事業へ転換を図り、成長を続けています。2020年1月には、「『モノを作る』から『楽しいを作る』へ」をコンセプトにした三重県伊賀市の新工場が稼働を開始しました。
・木村石鹸のウェブサイトはこちら
・木村石鹸の従業員の方へのインタビュー記事はこちら
木村石鹸とのお付き合いは遡ること2018年―
木村石鹸と私たちの出会いは2018年。それ以来、石鹸・洗剤を作る木村石鹸ならではの体験型プログラムを大阪府八尾市や三重県伊賀市の子どもたちに届けています。記念すべき第1回目のプログラムは、木村石鹸の本社がある八尾市の小学校で、翌年2019年からは伊賀市内の小学校に、木村社長自らが先生役となって、「汚れの落とし方」「なぜ汚れが落ちるの?」について、子どもたち自身で身の周りの汚れ落としにチャレンジしていく「親孝行プロジェクト!お手伝いが楽しくなる 魔法のそうじプログラム」を展開していきました。
また、2022年には、コロナ禍で多くの小学校が社会科見学を実現できないなか、社会科見学を疑似体験できる伊賀市の新工場と繋いだオンラインプグラム「お仕事潜入ツアー」をスタートさせました。プログラムは、従業員の方々と一緒に企画を練り、従業員の方々が石鹸やものづくりに関する知識をいかして、子どもたちと一緒にプログラムを作り上げていきます。
オンラインプログラム:学校授業のなかで工場で働く方々から直接お話しを伺いました。
オンラインイベントでは、木村社長に、「なぜ子どもたちへのプログラムを実施するに至ったのか?」、「活動を通して木村石鹸のブランディングや従業員の方々のやりがい・ウェルビーイングにどのようなインパクトがあったか?」などを伺いました。
Q:どういう思いでこの事業をスタートされましたか?
木村社長:最初は正直なところ、地域貢献に興味はなく、まずは何かを一緒にやりたいと思ったところが始まりでした。実際に活動を始めていくなかで、とにかく面白くなり、やりながら活動の重要性に気づいていったかたちです。
Q:実際に地域貢献活動をされて、どのような意義を感じたのでしょうか?
木村社長:大きな意義としてはまず、地域の皆さんや子どもたちの笑顔を見るのが、従業員にとって喜びであるということです。また、地方を拠点とする会社にとっては、地域との関わりや、そこに住んでおられる方々との関係は、企業ブランディングのきっかけとして一番重要ではないかと思っています。地域を良くしていく活動を行うと、企業は地域の魅力に気づきますし、その活動が地域で取り上げられると、自社が関わる地域のプレゼンスが向上していることに気づきます。これはその地域で活動する企業にとっても大きなメリットであり、価値があると実感しましたね。実際、大阪市内で働いていた八尾市出身の方が、私たちの活動を知って転職して来られたこともありました。
Q:一方で、従業員が楽しそうに取り組む地域貢献活動と本業とのバランスを、どのように捉えてらっしゃいますか?
木村社長:当社では、地域貢献担当は設けず、営業や開発のメンバーがプログラム毎に、プロジェクトチームを編成しています。これにより、普段の業務で関わらない人と関わることができ、従業員間の関係の質が良くなると思っています。また、地域貢献活動は、長期的には良い事業を生み出すきっかけになると捉えています。働く人たちがモチベーションをもって、前向きに仕事に取り組める組織であるほうが、イノベーションは生まれやすいと考えます。ですので、従業員が「自分たちでやりたい」、「もっと魅力的なプログラムを作って子どもたちに喜んでもらいたい!そのために考える!」、「自分がこの仕事のオーナーだ!」というとき、会社として全面的にサポートしたいと思っています。
Q:従業員が自分事化して仕事をしていくことと子どもたちに関わる地域貢献活動にはどのようなつながりがあると感じていますか?
木村社長: 子どもは正直ですからね!面白くなかったら、面白くない反応をしてくれる。この素直な反応が逆に良く、従業員にとっては新鮮なのではないかと思います。子どもたちが喜んでいる姿をみるのは、純粋に嬉しいです!また、関わった従業員はほぼ全員、とても喜びますし、純粋に感動するんです。これは仕事へのやりがいにも繋がりますし、自己肯定感のようなものも高まるので、とても良いですよね。それは子どもたちへのプロジェクトならではだといえます。
Q:木村石鹸さんが、学童など教育現場にプログラムを実施する際に抱く課題はなんでしょうか?
木村社長:私たちは最初、どのように進めればよいか、分からなかったんです。「みせるばやお」の時も、ワークショップの企画は盛り上がったけれども、実務のプログラム作りや、どんなところで、何が起こるのか、といったノウハウが全くなく、最初に放課後NPOアフタースクールさんにフレームを作っていただき、細かいアドバイスをいただきました。自分たちで一からやるとなると、かなり不安だったと思います。
八尾市の中小企業が参画し、子どもたちにむけたワークショップや、地域の方々へものづくりの魅力を発信していく施設。ウェブサイトはこちら。
Q:企業として地域貢献、地域活動に参加したいと思うポイントはなんでしょうか?
木村社長:綺麗ごとというよりも、熱意が伝わることが重要なのではと感じます。「みせるばやお」の例ですと、八尾市の行政の方が一社一社に熱意をもってアプローチされて、30社が集いました。どの企業も当初は地域貢献に関心がなかったのですが、その行政の方の熱意、真剣さ、想いの強さに突き動かされたかたちでした。NPOアフタースクールさんについても、子どもたちの現状、放課後の犯罪率などの説明から、真剣に取り組んでおられるのが伝わって、何かやらなくちゃと感じました。
取り組みが始まりますと、自分たちが楽しんで、面白そうにやっている姿に、自然とやりたい人が集まってきます。実際、「みせるばやお」では、「何か地域貢献したい、だけどやり方わからない」という企業の方々が新規で参加されています。熱意のある説明と、楽しんでいる姿がポイントといえるかと思いますね。
Q:さいごに、アクションを起こそうか悩んでおられる企業の方へのメッセージをお願いします。
木村社長:地域貢献や、子どもになにか未来をみせる、楽しみを提供するというのは、純粋に楽しいことで、これはやってみてわかることです。そして会社にとってプラスの影響があると実感しています。まずは一歩を踏み出すと、この楽しい沼にはまっていくのではと思います。一緒に楽しめれば嬉しいです!
質問タイムには多数のご質問をいただき、「木村社長からもっとお話しを聞きたい!」という皆様のご関心の高さを感じました。
・地域貢献が入り口ではない、というお話しはとても新鮮でした。
・とても興味深く、大変勉強になりました。
・愉しいという、純粋な気持ちを醸成するうえで、子どもたちとのふれあいを増やしていくことはとても重要になってくるなと思いました。この感覚を大切にしていきたいと思います。
放課後NPOアフタースクールの担当者・米村のコメント
私たち放課後NPOアフタースクールは、子どもたちや次世代に関わることの意義を見出し、何か貢献したいと思える企業が増えていけば、もっと子どもたちにやさしい社会を作ることができると信じています。そんな私たちにとって、子どもたちや地域の笑顔を見ることが従業員の喜びにつながり、企業にとっての価値につながると話してくれた木村社長の言葉はとても有難いものでした。木村石鹸さんのように、より多くの企業が、子どもや地域に関わることの楽しみを見出してくれると嬉しいなと思います!
当日ご登壇くださった木村社長、そしてご参加いただいた皆様、本当にありがとうございました!子どもたちに関わることで、大人のほうが楽しみ、影響を受ける―そんな体験を、より多くの皆様と分かち合っていけたらと願っています。
放課後NPOアフタースクール 企業×NPOソーシャルデザイン事業
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文・コミュニケーションデザインチーム/城戸
本イベントは、日本財団様の助成により開催いたしました。