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【自治体支援】兵庫県南あわじ市 対話から創る放課後支援研修「大人も子どもも自分らしく輝く場を創るために」

淡路島の南に位置し、鳴門海峡が近く、漁業や農業が盛んな自然豊かな街「兵庫県南あわじ市」。放課後NPOアフタースクールが南あわじ市への放課後支援事業に携わらせていただいて、今年で3年目となりました。南あわじ市の掲げる「ひかり輝く人づくり」という次世代ための人材育成を目指した取り組みの中で、「学ぶ楽しさ日本一」をテーマに、アフタースクール事業(※1)を行っております。
※1 保護者の就労状況に関係なく、すべての子ども達が放課後の時間を活用し、様々な体験を通して自主性・積極性・コミュニケーション力等が身につくような子どもたちの居場所づくり

そこで私たち放課後NPOアフタースクールとしては、「事業推進の仕組化」「各アフタースクールの運営サポート」「プログラム開発体制の確立」という大きな3つの柱をもとに、人材育成から仕組み作り、研修に至るまで多岐に渡って携わらせていただいております。

今回、私たちは南あわじ市の全体研修(現地支援員の方や自治体ご担当者様が対象)において、FAMILY COMPASSの渋谷聡子さんにご協力をいただき「大人も子どもも自分らしく輝く場を創る~対話から創る放課後支援研修~」を行いました。この研修での目的は『自分自身の土壌づくり』です。植物を育てる時はまず土づくりから始めるように、何事も新しいものを取り入れる時には、それが入るための器を準備する必要があると思います。今回の研修を通して、まずは自分自身の奥にあるニーズに目を向けながら、マインドセットの機会を作りました。

「昔は自分がどうかというよりは、周囲が求めるものに答えようとしたり、周囲にとって価値があるかどうかが判断基準になったり、正しく評価軸は自分の外側にあった時代でした。それが時代の変化によって物事の起点が自分に移ってきて、自分が大切にしたい「願い」から生きるように変わってきています」(渋谷さん)

昔を否定するわけではなく、良い悪いの話でもありません。この時代の変化を理解することが大切だと渋谷さんは言います。頭では分かっているつもりでも、「今の若い者は・・・」という言葉で片付けていないでしょうか。

「その個々の願いを理解し合い、対話を通して多様な他者が共働しながら、新しい解を生み出すこと、「共創造」がこれからの未来には必要です」(渋谷さん)

今回の研修で重要なことは、まず子どもたちに向き合う私たち大人が「自分が何を大事にしたいのか」ということを認識することの大切さです。日々の生活の中でも「社会的にどういう行動をすることが正解か?」を考える機会は多く、無意識的にもそうした思考のトレーニングはたくさん受けてきていますが、その奥にある感情の扱い方は多くの方が今まで教わっていません。思考と感情とは役割が違うため、この研修では感情の扱い方を演習していきました。

演習では具体的に「受け入れがたい出来事があったときに自分にどんな傾向があるのか」をそれぞれで考えました。
放課後の現場では、子ども対応や保護者対応など人により苦手な場面があったり、それに伴う反応が見えたりします。渋谷さんは「その反応が良いか悪いかではなく、何がその反応にさせているのかという奥を見ることが、自分を理解する大きな一歩」だと言います。出来事の奥にある繰り返し起こるパターンを理解し、その奥の構造や意識・無意識の前提を理解することが必要です。そして、それぞれが思う受け入れがたい出来事に対する自分の反応にどんな「前提」があるのかを考えていきました。

人が当たり前にもっている「べき」や「あたりまえ」。この言葉は自然に自分自身を縛り、自分不在の行動を引き起こしています。例えば「人には優しくするべき」という当たり前のような、よく聞かれる言葉。この言葉も、そうすることが正しく、それができない子はダメな子というような「べき」です。このようなたくさんの「べき」の中を過ごしていると、時には窮屈さを感じたり、押し付けられていると感じたりするはずです。
演習の中で挙げてもらった、受け入れがたいと思う状況下にも、自分の中の「べき」が存在していています。お互いの「べき」から関わると、相手と本当に触れ合うことができなくなってしまいます。「べき」をもってはいけないというわけではなく、自分にどんな「べき」があるのかを自覚して、その奥にある「願い」を知ることが大切だということです。

ここから「非暴力コミュニケーション」の手法を活用しながら、相互に共感(エンパシー)を行うことで、自分の奥にあるニーズを探すワークを行なっていきました。自分の奥にあるニーズが満たされるとどんな世界になるのかを想像して、自覚的になるきっかけができた研修となりました。

<参加者の皆さんからの感想>(一部ご紹介)

「相手の「べき」の奥にある「願い」を観る事は大事なことだと思うので相手が大人であれ子どもであれ常に意識していたいと思います。」

「大人も子どもも、お互いの願いを尊重し輝きあう場作り。」確かに自分も輝かないと子ども達も幸せに輝かせられませんね!」

「毎日の「すべき」ことが多くがんじがらめになっていたが、研修を受けて緊張が和らぎ、自分を見つめ直すことができた。」

たくさんの感想をいただき、参加者の皆さんにとって一度立ち止まり自分自身の願いを見つめる機会になったようでした。この研修を通して、求められているものに精一杯答えようという普段の頑張りと同じように、自分の中にある願いや想いを自覚することができたと思います。自分の願いに自覚的になることでそこに生まれるコミュニケーションや対話はより深く、豊かなものとなっていくと思います。

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アフタースクールでは、スタッフの人材育成や様々な研修を行っています。現場経験の多いスタッフが実際に支援に入り、現場の状況から適切なアプロ―チを一緒に考え実践していきます。自治体のご担当者様や団体の方で、同じような悩みをお持ちの方はぜひ放課後NPOアフタースクールまでご相談ください。人あっての仕事だからこそ、そこで働く大人が輝いていることが大切です。

文・事業開発チーム/村﨑

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