学生レポ!参天製薬株式会社様との協働プログラム 「目を大切に!ブラインドチャレンジ」
放課後NPOアフタースクール関西学生インターンの山下です。
2020年度、「Inclusion(共生社会の実現)」をテーマに参天製薬株式会社様と協働開発した「目を大切に!ブラインドチャレンジ」というプログラムを5つのアフタースクールに届けました。
私がなぜこのプログラムに興味を持ったかというと、多様性を求められる現代社会において子どもたちが障がい者の方々に対してどれほどの認識があるのか、そして興味関心があるのかを知りたいと思ったからです。そして彼らが持つハンディキャップを知ったうえで、どのような行動変容が見られるかが気になりました。
子どもたちはプログラムの中で、「形パズル」と「点字ブロック体験」の二つのミッションを通じて目の大切さを学びました。また参天製薬株式会社様から目に障がいのある社員さんが、「社員先生」としてプログラムをサポートしてくださいました。
「形パズル」では、0~9までの数字のパズルを条件を変えて行うことで、結果にどのような違いが表れるかを体験しました。このゲームの主旨は目隠しをしてパズルをしたり、友達にサポートしてもらいながらパズルをしたりと、「違い」を感じてもらうことでした。
もう一つの「点字ブロック」体験では子どもたちがアイマスクをした状態で実際に点字ブロックの上を歩きました。この体験の主旨も足の裏で情報をくみ取ることや、周りの人からの声かけの重要性を感じてもらうことでした。
今回の「ブラインドチャレンジ」を通して分かったことは二つあります。
一つ目は周りの人のアドバイスは的確でないと意味がないということです。形パズルでは、隣のお友達に色々なアドバイスをもらいながらパズルをしましたが、実際、アドバイスをもらわずに一人でやった時とはめられた枚数にあまり大きな差が生まれない子どもたちもいました。そして点字ブロック体験でも、信号機の色が変わっているのに声をかけるタイミングと実際に止まれるタイミングが合わないこともありました。これらのことから、ただ単に声掛けをするだけでは意味がなくて、その人にとってベストなタイミングで的確なアドバイスをださないといけないということが分かりました。
二つ目は子どもたちの意見を尊重することの大切さです。私は今回のプログラムを届ける前は「目隠してパズルをする方が難しいだろう」、「お友達にアドバイスをもらった方がパズルをはめられる枚数が増えるのではないか」、そして「目隠しをして点字ブロックの上を歩くのは難しいだろう」、というような先入観をもっていました。しかし実際に子ども達の中には、一人の方がやりやすい、簡単だ、という意見もありました。私は先入観に翻弄されずに、これらの意見を受け入れることはとても大切な事だと思いました。
また、プログラムに参加した目の不自由な社員先生に対して「目が見えないので困っているだろう」という様な先入観を持っている子どもはあまりいませんでした。質疑応答の時間では「料理はどうやって作るのか」、「ご飯はどうやって食べるのか」、さらに「お風呂はどうやって入って、シャンプーの区別はつくのか」など子どもたちは社員先生たちの普段の日常生活に興味を持っていることが分かりました。プログラム終了後に記入してもらったアンケートからも様々な意見が出ました。「目が見えない人はとても大変だけど、楽しいこともあるのが分かった」、「これから点字ブロックの上に物を置かないように気を付けようと思った」、そして「目を大切にしようと思った」などの前向きな意見が多かったです。
自分にとって当たり前にできる事が、実は当たり前にできない人がいること。でもそれは自分自身の少しの気遣いで、その当たり前にできない誰かを救うことができること。社員先生のお話やプログラムの体験は、子どもたちにとって不自由なく生活できる有難さを実感できた良い機会になったのではないかと思いました。そしてこの経験を忘れずに、誰もが不自由なく生活できる手助けが、子どもたち自身にもできると分かってほしいなと思いました。
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