【文化】“ワザ伝”プロジェクト in おかやま キッズワークショップ 2019
3月10日に行われた"ワザ伝"プロジェクト@福島に引き続き、3月30日(土)に、岡山県倉敷市真備町にある薗小学校でも、ワザ伝プロジェクト(一般財団法人あんしん財団様と連携し、日本の伝統的な"技"、職人の技術を全国の子ども達に伝えるプロジェクト)を開催いたしました!
岡山県倉敷市真備町は、去年7月の集中豪雨により甚大な災害がもたらされた場所です。川の堤防が決壊し、広範囲が冠水した衝撃的な映像は、皆さんの目にも未だ焼き付いているのではないでしょうか。会場となった薗小学校もその当時は避難所となり、多くの市民の方が身を寄せていらっしゃった場所でした。小学校の校庭には甚大な被害を受けた川辺小学校の仮設校舎、学校の裏には仮設住宅もありましたが、今回ご相談させていただいた薗小学校の先生方は、我々の想いをとても喜んでいただき、また、現地の子どもたちに楽しんでもらえたら嬉しい!と、快く会場をお貸しだしいただきました。本当に有難うございました。
体育館には卒業式で使われた華やかな飾りがあり、すっかり学校としての雰囲気を取り戻していましたが、川を見れば未だに中州の木々が倒されたままで、当時の様子を思い出さずにはいられませんでした。
周囲の住宅、お店や学校も、屋根まで水につかった様子で、中身が空っぽになった空き家もたくさん残っています。
みなさんが、今なお様々な影響を受けていらっしゃる中で、それでも元気に前を向いて生活をしている真備の子どもたちに素敵な笑顔をお届けするべく、職人さん方と共にプログラムを届けてまいりました。
日本の伝統工芸「水引」、世界最強の「ラジコン」、そして倉敷芸術科学大学の皆さんによる「スーパーボール作り」をお届けしてまいりましたので、当日の様子をここにご紹介させていただきます。
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まずは日本の伝統工芸である「水引」、飯田水引プロジェクトの皆さんによる『日本の伝統工芸「水引」で自分だけのしおりを作ろう!』のプログラムです。
結婚式のご祝儀袋などで目にすることが多いことから、水引自体は知っている子も多かったのですが、こんな大きな作品になったり、アクセサリーになったりすることは知らなかった子も多く、作品をみては皆さんびっくりしていらっしゃいました。金色の船を表現した作品をみて、「夢が爆発してる!!!」というユニークな表現をしていた子もいましたよ。
水引からできる無限の可能性を感じたところで、実際にどうやって作っているのか、職人さんによる実演を見せていただきます。
水引を手に取ってからその時間15秒足らずでしょうか・・・一気に松の形ができあがりました。これには子どもたちもびっくり!「どうなってるの!?」「なんで!?」といった声があがります。
その後、これは何になるかな〜?と子どもたちに問いかけながら作られていったのは、縁起物である「鶴」。
途中からだんだんとくちばしの形ができてきて、「鶴だ!」と正解している子どももいました。
そして、実演をされながらずっと職人さんがお話されていたのは「結ぶこと」「合わせること」の大切さ。水引は一本一本を合わせ、結びながら形を作っていきます。そしてその工程では失敗は許されません。一つ一つを丁寧に合わせていくこと、そして結びながら形を作っていくこと。それらを通して「人と人の縁を結び合う」という意味を持ってきたこと。水引の持つ意味を子どもたちはとても真剣な眼差しで聞いていました。
職人さんの実演が終わると、いざ実践!あわじ結びの練習をして、結び方をマスターした子からしおり作りに入っていきます。
どの色も素敵なので、選ぶところから迷ってしまいますよね。
みんなとても習得が早く、ひとつまたひとつと完成したしおりが増えていきます!途中からはあわじ結びよりさらに難しいといわれる「梅結び」に挑戦している子どももたくさんいました。「一本ずつ丁寧に引っ張っていくんだよ」という職人さんの言葉に頷きながら、みんなとてつもない集中力を発揮していました。
水引は「人と人の縁を結ぶ」という意味があることから、これらのしおりは大切な人にプレゼントしてもらうことに。最後に書いてもらったメッセージカードには、たくさんの感謝の言葉が並びます。
「お母さんと先生にあげるんだ」「おばあちゃんの誕生日プレゼントにします!」と皆嬉しそうに誰に渡すか教えてくれました。みんなの水引に込めた思いが伝わるとよいなあと思う瞬間でした。
プログラムの最後には、職人さんから「飯田と真備もこれでご縁ができました、このご縁を大切にしていきたいです」とのお言葉もいただきました。遠く離れている場所であっても、水引が繋いだご縁がこれからも子どもたちの中に続いていって欲しいなと思います。
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続きまして、『ラジコンに触れ、走らせる〜スペシャリストの技を体験〜』のプログラムの様子をご紹介します。
講師は世界で活躍する株式会社ヨコモの広坂さんと川上さん。ラジコンを操作しながらの登場です!広坂さんは日本チャンピオンになること53回、世界チャンピオンになること14回!川上さんもラジコンドリフト界の世界チャンピオン。まさにラジコン界のレジェンドともいえるお二人です。
そんなレジェンド・広坂さんによる実演では、会場が小学校ということを生かし、跳び箱を使ったコースが設定されていました。
この跳び箱のジャンプ台を使ってジャンプした後に、コースのスタート地点にラジコンカーを置いてみせる!というのです。「えー!?ほんとに?!?」という声がたくさん聞こえる中、スタート!
見えるでしょうか??こんな高いところまでラジコンが飛んで、
そして着地!
見事にスタートラインのところにラジコンがピタッと着地していました!子どもたちも保護者の方も拍手喝采!こんな素晴らしい技術を間近で見れた子どもたちの目は本当にキラキラと輝いていました。
そして、ここからはチームで一つのラジコンを作っていきます。
世界チャンピオンからパーツのはめ方を教えてもらう機会なんてそうそうないですよね。みんなドキドキしながら作り上げていきます。
ラジコンが完成したところで、早速チーム対抗でレーススタート!時間内に何周回れたかを2チームで争う形式で、子どもたちがそれぞれ一人一回ずつレースを行い、合計ポイントで勝敗が決まります。
自分がしていないときは同じチームの子たちをひたすら応援!!自然と「うまいなー!」「すごい!!あともう少し!!」と声が上がります。白熱した展開に、みんなとっても盛り上がっていました。
最後は一番多く回れた子が、チャンピオン広坂さんと対戦。
見事ギリギリ1周差で勝利を収めることができました!!
ハンデとして広坂さんは片手で操作していたというのもありますが、それにしてもすごい接戦でした。
広坂さんからの「人より一生懸命練習したからチャンピオンになることができました、みんなも今やりたい!と思うことを一生懸命頑張って欲しい」というメッセージを受けて、子どもたちからも「ラジコンを一生懸命やってみたい」という声があがっていました。まだ今はなにもないけれど・・・と言っていた子も、でも探してみたいと前を向いてくれていました。なにか一生懸命取り組んでみたい、と思えることが見つかるとよいですね。
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そして、今回のワザ伝では、地元の倉敷芸術科学大学の皆様も「化学って面白い スーパーボールを作ってみよう!」というプログラムを開催してくださいました。
倉敷芸術科学大学の先生方にも、地元の学校として、大きな被害にあった真備町の小学校には「我々が行かないでどうする!」と大変心強いお言葉をいただき、快くご協力いただきました。
このプログラムの素晴らしいところは、なんといってもその簡単さにあります。洗濯のりの中に食塩水を入れ、割り箸で混ぜると・・・不思議!割り箸にスライム状のかたまりが巻きついてきます。そのかたまりをとって丸くする、という作業を何回か繰り返すと・・・あら簡単!大きなスーパーボールになるんです!
ここから乾かさないと、実際のポンポンはねるスーパーボールにはならないのですが、でも子どもたちは「これなら家でもできる!」「もう一個作る!!」と目をキラキラさせながらずっと作り続けていました。
この日は地元の児童クラブに通う子どもたちも来てくれていたのですが、お昼を挟んで「もう一回来たよ〜!!」と再び訪れてくれ、このスーパーボール作りを夢中になってやっていたのがとても印象的でした。仲先生、大学生のみなさん、ご協力いただきまして、有難うございました!
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以上3つのプログラムを、今回倉敷市真備町の子どもたちにお届けしてきました。ものづくりを通して、多くの子どもたちに新しい発見をお届けすることができたのではないかと思います。
単純に、知らなかった世界に触れることも発見の一つですが、いろんな人たちの想いを発見したことも、子どもたちの未来にとって素晴らしい財産になったのではないでしょうか。
今回、岡山が出身である者もスタッフとして何名か参加させていただいたのですが、災害とは全く縁がなかった「岡山」という地でこのような水害が起こったことに、皆当初は驚きを隠せませんでした。そしてそれは真備の子どもたちも同じだったと思います。今ある当たり前の暮らしがずっと続くとは限らないということを知り、きっと色々な感情が芽生えた子どもたちは、とっても元気な姿を見せてはくれましたが、今でももしかすると、混沌とした感情を抱えているかもしれません。
そんな子どもたちにとって、人と人の縁の大切さや、どんなときも一生懸命に向き合えるものの大切さを教えてくれた今回の出展者の方々の言葉が、少しでも心に届けば、力になれれば、と願わずにはいられませんでした。
これからも、”ワザ伝”プロジェクトを通して、より多くの子ども達に特別な時間と出会いを届けられる様、活動を続けていきたいと思っております。
今回ご来場いただいた真備の皆さま、ご協力いただいた出展者の皆さま、そしてこの企画をご一緒させてくださったあんしん財団の皆さま、本当にありがとうございました。