「放課後児童対策パッケージ2026」公表
2025.12.26
#お知らせ令和7年12月、こども家庭庁・文部科学省の連名により「放課後児童対策パッケージ2026」が公表されました。
本パッケージは、今後ピークを迎える放課後児童クラブの需要に対応する「量の確保」にとどまらず、子どもの声を反映した運営、遊びや体験活動の充実、そして学校施設の一層の活用による質の向上を強く打ち出している点が大きな特徴です。
とりわけ、教育委員会と福祉部局が連携し、学校という場を地域の放課後の居場所としてどう活かしていくかは、今後の自治体施策において重要なテーマになると受け止めています。
今回のパッケージでは、以下の点がポイントとしてあげられておりました。
(放課後児童クラブの受け皿整備の目標)
・女性の就業率の伸び等を踏まえれば、登録児童数は 2030年頃に約165万人でピークを迎えると推計され、その受け皿を確保することを目標とする。(受け皿整備の方向性)
・こども達に豊かな体験を提供する観点及びこどもや子育て家庭が安心して利用でき、かつ、放課後児童対策を持続可能な形で実施する観点から、過密状態を避ける視点も持った上で、小学校内で実施される放課後児童クラブと放課後子供教室との校内交流型を強力に推進することとし、普通教室のタイムシェアを含めた、学校施設等の既存施設の活用を、より一層推進する。
・放課後児童クラブ以外の放課後の居場所を求める声にも応えるべく、企業等の活力を活かし、地域や職域の状況に応じて小学生の預かり機能を生み出すモデル事業等を実施し、児童の放課後の居場所の選択肢の拡充を図る。
・また、同モデル事業の実施を通じて、放課後児童クラブ事業の認知を高め、放課後児童クラブ実施事業者の拡大も図る。
(これまでの取組の更なる推進)
・その他、待機児童の状況の詳細の公表、補助金の活用状況の見える化、深刻な人手不足 の状況を踏まえた放課後児童支援員確保に向けた都道府県等の取組の後押し(活動の補助や、研修教材等の提供)、放課後児童クラブ職員の処遇改善の推進、安全に配慮した待機児童対策の推進等を図る。
(出典)令和7年12月23日こども家庭庁, 文部科学省「放課後児童対策パッケージ2026」より
先日、放課後NPOアフタースクールが開催した「事例をもとに考える|自治体のこども政策に活かす地域全体の居場所づくりフォーラム」にも、こども家庭庁・文部科学省・自治体のご担当者をお招きし、「学校施設活用」をテーマにした対話を重ねてきました。
今回のパッケージでは、
・余裕教室だけでなく、低学年の普通教室、特別教室、学校図書館等のタイムシェアを含む学校施設活用の推進
・放課後児童クラブと放課後子供教室の校内交流型の強力な推進
が明確に打ち出されており、教育と福祉の縦割りを越えた取り組みを後押しする、力強いメッセージが示されたと受け止めています。
また、コミュニティ・スクール等の仕組みも活用しながら、学校内の教室等の活用を求める保護者等の声を把握し、行政組織へ適切に伝えていくことも必要である。(こども家庭庁・文部科学省)
(出典)令和7年12月23日こども家庭庁, 文部科学省「放課後児童対策パッケージ2026」より
また、自治体が学校施設活用を進める際に活用できる仕組み・制度についてもわかりやすくまとめられています。合わせて、処遇改善や補助制度の拡充など、担い手不足の課題解決に向きあう姿勢が示されていることも重要なポイントです。
さらに、放課後児童クラブや放課後子ども教室に限らず、地域の多様な放課後の居場所づくりを推進していくにあたり、企業等の民間の力を活かした取り組みを進めていく方向性も示されています。
学校施設の活用とあわせて、地域の状況に応じた多様な担い手との連携を進めていくことが、今後一層重要になると受け止めています。
こうした方向性に加えて、質の向上において重要である<遊びや体験活動の推進>についても、明確な方針が示されています。
(出典)令和7年12月23日こども家庭庁, 文部科学省「放課後児童対策パッケージ2026」より
昨今、「体験格差解消」という言葉が広がる一方で、体験の本来の価値が十分に踏まえられないまま、課題の捉え方や解決策が一面的に語られてしまう場面も少なくありません。その中で本パッケージでは、「体験格差」を子どもの育ちや社会で求められる力の形成という文脈で、丁寧に定義している点に、大きな意義を感じています。
(出典)令和7年12月23日こども家庭庁, 文部科学省「放課後児童対策パッケージ2026」より
放課後の居場所における課題解決や今後の発展は、量と質どちらか一方では実現できません。
今回示された方針が、全国各地の自治体において具体的な施策として実装され、地域の居場所づくりに活かされていくことが重要です。
放課後NPOアフタースクールは、課題意識を持つ自治体の皆様や現場運営者の方々とともに対話と実践を重ねながら、伴走支援に取り組んでまいります。
子どもたち一人ひとりが居たい・行きたいと思える放課後の居場所に出会い、やりたいことができる居場所の選択肢を増やしていけるよう、2026年も邁進してまいります。