放課後の居場所の質を可視化 子どもへの影響を検証する調査研究を実施 パートナー団体(調査対象)決定のお知らせ
「放課後はゴールデンタイム」をビジョンに活動する特定非営利活動法人 放課後NPOアフタースクール(代表理事:平岩国泰、本部:東京都文京区/以下「放課後NPOアフタースクール」)は、一般社団法人エビデンス共創機構(代表理事:伊芸研吾氏/東京都武蔵野市)と共に、放課後の居場所の質が子どもの健やかな成長や発達にどのように影響を及ぼすのか、「新・保育環境評価スケール④放課後児童クラブ」を活用した調査研究を開始しました。昨年秋より運営拠点にて半年間のプレ調査を行い、2024年度は全国から調査先拠点を公募。最大3年半に渡って調査研究を行います。本調査研究を通じ、現場運営者が取り入れやすい指標や評価基準を具体化することで、全国の放課後の居場所の質向上に寄与してまいります。
【事業概要】
調査期間:2024年6月〜2027年3月末(最大3年半を予定)
公募期間:2024年5月22日(水)〜6月7日(金)
採択予定自治体および拠点数: 5事業者または自治体:計10拠点程度
対象:小学生児童を対象とした放課後の居場所拠点を運営するNPO・株式会社等の団体(放課後児童クラブ、放課後子ども教室、子ども第三の居場所など) 、及び民間に運営を委託する行政
申込み方法:申込みフォームに必要事項を記入の上、応募
主催:特定非営利活動法人放課後NPOアフタースクール
共同研究:一般社団法人エビデンス共創機構
実施団体一覧
【宮城県】特定非営利活動法人 MIYAGI子どもネットワーク(放課後児童クラブ運営事業者)
【栃木県】社会福祉法人とちぎYMCA福祉会(放課後児童クラブ運営事業者)
【愛知県】特定非営利活動法人放課後のおうち(放課後児童クラブ運営事業者)
【大阪府】株式会社セリオ泉佐野事務局(放課後児童クラブ運営事業者)
【熊本県】特定非営利活動法人 NPOこどもサポート・みんなのおうち(放課後児童クラブ運営事業者)
調査研究の背景
日本では放課後児童クラブの量的不足も喫緊の課題として注目されていますが、全国に1万6千人以上いる学童待機児童の中には、質の不足により居場所を失っている子どもたちも数多く存在します。国は、「こどもの居場所づくりに関する指針」(2023年12月閣議決定)において、<居場所の質の重要性>と<検証の必要性>の高さをうたっていますが、有効な指標と評価方法は未だ確立されておらず今後の重要な検討課題に位置付けています。
放課後NPOアフタースクールは、居場所環境の質が子どものWell-being向上にとって重要だと捉えており、質・量共に満たされた放課後の居場所づくりに向けて、放課後児童クラブの質を評価する「新・保育環境評価スケール④放課後児童クラブ(SACERS/School-Age Care Environment Rating Scaleの略、読み:サッカーズ※)」を活用した調査研究を開始しました。本評価スケールは、保育園等の乳幼児期の保育環境評価指標としては国内外で活用が進みすでに有効性が証明されているECERS(Early Child Care Environment Rating Scaleの略)の姉妹版にあたるものです。
※SACERS=School-Age Care Environment Rating Scale. 小学生の子どもに、親以外によって提供される放課後のケアの環境の質を、7領域(空間と家具、健康と安全、活動、相互関係、育成支援計画、研修、特別支援)47項目のスケール(指標)で測定。国内での本格的導入や活用事例がほとんどない。
調査研究概要と期待される成果
◾️今後のスケジュール
本調査では、「新・保育環境評価スケール④放課後児童クラブ」を使った観察/保護者アンケートを対象拠点に対して2回ずつ行うことで、放課後の質を客観的に測り、それが子どもにとってどのような効果をもたらしているかを検証します。
現在15拠点で放課後の居場所を運営する放課後NPOアフタースクールは、日本全国の放課後の居場所が、子どもにとって自由で豊かなものであることを目指し、子どもが主体的に過ごせる環境や仕組みづくりを推進してきました。本調査を経て具体的にどういった働きかけや環境設定が効果的であるかを明確にできる可能性があります。英米を中心とした海外での研究調査では、良質な保育が子どもの適応的な発達と相関があると示されており、日本での研究が進むことも期待できます。放課後NPOアフタースクールが調査研究を行うことで、全国各地の現場運営者が導入しやすい評価・振り返り手法を確立することで、今回は主に以下の観点を自治体や現場運営者が日々の運営に組み込めることを目指します。
②可視化されたことへの改善を講じていく(人材育成・研修への参加・環境整備等)
研究パートナー紹介
一般社団法人エビデンス共創機構 代表理事 伊芸 研吾氏
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一般社団法人エビデンス共創機構 理事 中室 牧子氏 |
調査研究団体:放課後NPOアフタースクール代表理事 平岩国泰より
2023年に閣議決定された「こどもの居場所づくりに関する指針」でも振り返り(検証)の重要性は示されているものの、放課後活動の質の測り方そのものはまだ明確に見出せていないのが現状です。放課後NPOアフタースクールでは、かねてより子どもの声をまんなかに居場所の環境設計、大人の関わり方に向き合ってきました。ですので、こうした評価・判断軸を検証していく際も、子どもたちの声を含めていくことが大切だと考えています。「質評価を行い改善することが子どもたちのためになる!」と信じられるようなものになれば、現場で取り入れやすく、より磨き上げ続けることができる行動が継続されていくと考えており、これから挑戦していきたいと思います。 |
本事業は日本財団の助成により実施します。今回の調査を通して、子どもの育ちに必要な相関の高い環境要件を整理し、ますます子どもの視点に立った整備推進に向けて今後国の予算が投じられることを目指していきたいと考えています。