【子どもの声から始める】アフタースクールをまるっと体験!:川崎市子どもの居場所づくりプロジェクト_東高津小学校
川崎市では放課後等の子どもの居場所づくりに関する取組の検討を進めています。この取組で大切にしていることは「子どもたちの意見を聞き、取組に反映させること」。今年度はその試行的取組の一環として、川崎市立東高津小学校の特別活動室を子どもたちの放課後の居場所として活用することになりました。そこで、2024年11月6日(水)、1~4年生の在校生から「放課後の学校でやってみたいこと」を聴くためのワークショップを開催しました。
特別活動室などの学校生活で使用している教室は、イメージが固定化されやすく、柔軟な意見が引き出せない可能性が考えられました。そこで、今回のワークショップでは、弊会が運営しているアフタースクール事業※の遊び場をまるごと再現して、まずは実際にどんな過ごし方ができるか体験してもらうことで、意見交換前に既存のイメージ打破を行うことにしました。
※アフタースクール事業とは、小学校施設を活用し、地域社会と共に子どもを育てる事業・取組です。
特別活動室、通称「トッカツ室」。普段は雨天時に体育の授業を行ったり、外部団体の活動で利用されたりしている場所です。「学校が終わった後、ここでなにしたい?」と子どもたちに呼びかけ、一緒に考えるワークショップを開催しました。
ミニ・アフタースクール、オープン!
特別活動室の中に用意したのは「工作」「カードゲーム」「ベーゴマ」「秘密基地づくり」の4つの遊び場に加えて、クッションやミニテントの中で過ごすことができる「リラックスコーナー」の全5つのコーナー。見たことのない遊び場なので、遊びに熱中するまでに時間がかかるかな、と思いきや「遊んでいいよ」の声掛けと同時に、お目当てに駆け寄る子どもたち。こちらが想定しなかった遊び方で遊ぶ子たちも多く見られ、改めて子どもたちの柔軟さに気づかされた時間でした。
「放課後の特別活動室で何したい?」
気持ちも温まったところで、いよいよ意見交換タイムスタート。グループに分かれて話し合いを行いました。この時、子どもの気持ちやニーズを引き出すために用いたのが「評価グリッド法※」。質問の回答に対して理由を掘り下げて聞いていくことで、表面的な意見だけでなくその奥にある本当のニーズや価値観を引き出すことにトライする手法です。ご協力いただいたのは、東高津こども文化センターのワークショップでも協力いただいた聖徳大学の白川真裕准教授です。
※讃井純一郎・乾正雄(1986). レパートリー・グリッド発展手法による住環境評価構造の抽出―認知心理学に基づく住環境評価に関する研究(1)― 日本建築学会論文報告集, 367, 15-21.
今回は対象が小学校低学年の子どもたちだったので、やりたいことや気持ちを引き出す補助ツールとして「やってみたいカード」「気持ちカード」を用意し、選んでもらうところから始めました。選ぶことができたら「どうしてそれがやりたいのか」、スタッフが質問して付箋に書き込み、子どもたちの選んだカードに付け足していくことで深堀り。最後にグループごとの意見をみんなで眺めて共有し、1時間半のプログラムを終了しました。
今回はグラフィックレコーダーの春仲萌絵さんに、子どもたちのたくさんのアイデアをビジュアル化してもらいました。参加していた子(工作や絵を描くのが好き)が春仲さんのお仕事に興味津々。たくさんお話しした後に「将来はグラフィックレコーダーになりたい!」と言っていました。
来春の遊び場公開に向けて、プロジェクトは続きます
ワークショップを開催するまでは、子どもたちが臆せず、積極的に自分の想いを話してくれるか、少し不安がありました。でもそんな不安はすぐに吹き飛ばされました。子どもたちの声を聴くワークショップを開催するたびに、子どもたちの積極性・柔軟性にはいつも驚かされます。今回もとてもたくさんかつ斬新な意見をたくさん出してくれました。
現在、こどもたちの意見をもとに、本プロジェクトの協働パートナーである乃村工藝社の空間デザイナーたちがリニューアル案を検討中。2025年2月にはお披露目会を実施予定です。子どもたちに実際に使ってもらって感想を聞き、さらに改善を行って来春オープンする予定です。その過程は、また本ブログでご報告していきます。