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【調査報告】子どもたちの願い-世界8カ国アンケート

放課後NPOアフタースクールでは、2018年9月〜2019年6月にかけて、世界8カ国(日本、ガーナ、サモア、ザンビア、スウェーデン、パナマ、ラオス、韓国)で共通のアンケート調査を実施しました。

【子どもたちの願いアンケート 調査概要】
実施期間:2018年9月〜2019年6月まで
調査方法:紙配布でのアンケート調査
対象:実施国の小学1年生〜6年生
総回答数:955件

結果内容を一部ご報告いたします。
※まとめPDFデータはこちら
※昨今の世界情勢の変化による子どもたちへの影響は各国で非常に大きく、調査当時から現在に至るまでに結果の変容がある可能性が大いにありますこと予めご容赦ください。

学校も放課後も好き

「学校は好きですか?」という質問に国を問わずほとんどの子どもたちが<好き>と回答。もっともマイナス回答があった韓国でも、60%以上が学校を好んでいることがわかります。


放課後の時間についても、全体的に<好き>という回答が多く得られましたが、ザンビアではマイナス回答も目立ちました。これは追ってご紹介する放課後の過ごし方にその理由が潜んでいます。
※スウェーデンの回答は「放課後の時間が好きか」ではなく「学童クラブが好きか」と捉えて回答していると見受けられるものがありました。

全く異なる放課後の過ごし方

日本の子どもたちに「放課後の時間にやりたいこと」を尋ねると、8割以上が具体例を出さずに「遊びたい!」「外遊びがしたい!」と回答。特に”友達と遊びたい””きょうだいと遊びたい“などの回答が目立ち、何をするかより、誰と遊ぶかを重視していることがわかりました。


一方で海外に目を向けると、先ほど触れたザンビアで気になる結果が得られました。
子どもたちの多くが「家事(掃除や洗濯、調理など)をしたい」「ご飯が食べたい」と回答。彼らにとって、放課後にやりたいことは、自分が楽しむための行動ではなく、暮らしていくためにやらなければならないことだということ。日本の子どもたちは同じ年頃の子の全く違う放課後の過ごし方を知った時、どのような思いを持つでしょうか、非常に興味があります。

子どもたちの自己肯定感
それぞれの放課後の様子からほんの少し子どもたちの暮らしを感じることもできました。では、各国の子どもたちは自分のことを好きでしょうか?

いつでも自由に遊べる放課後ではないザンビアの子どもたち。「放課後の時間が好きではない」という回答が最多でしたが、「自分のことは好きですか?」という質問へは、なんと100%の子が<とても好き>と回答しました。同様に開発途上国の子どもたちは自分を好きな子が多いことがよくわかります。日本や韓国も全体的には多いですが、他の国に比べて「好きではない」の回答も一定数あります。本調査においては、日本の子どもたちが最も自分のことを好きではないという結果となりました。

子どもたちが見つめる今と未来
最後に、「未来をもっと楽しく素敵にするために、大人に何をしてほしいですか?」と問いかけました。まずは日本の結果をご紹介します。

日本の子どもたちは、社会や世界のために大人にアクションを起こしてほしいという視点よりも、今、自分が大人(特に親)にしてほしいことを回答した子が非常に多くいました。もっと自分に目を向けてほしいという想いが伝わってきます。また他国になかった回答として、「身体を大切にしてほしい」など大人を労るコメントがありました。さらに「学校の先生を手伝ってあげて」「子どもがもっと大人を手伝う」なども散見し、仕事に追われて忙しい周囲の大人を気遣っているとも感じました。


一方で日本とは対極に、社会や世界のための行動を大人に求めていたのがスウェーデンです。6割以上の子どもたちが環境問題の解決を目指し、しかるべき行動を大人に求める回答でした。環境教育・保全が最も進んでいるとも言われるスウェーデンならではの結果です。

日本の子どもたちが、自分の欲求が満たされることを求めていることも、スウェーデンの子どもたちが環境問題に目を向けていることも、子どもたち自身に変えることができない生活環境や教育、周囲の大人の考え方が良くも悪くも影響しているため、この結果に対して優劣をつけるものではないと考えています。

以降は、開発途上国の子どもたちの回答で印象的だったものをまとめました。
子どもたちの声から見えてくる暮らしはとても過酷で、輪郭のつかめない楽しい未来よりも、今日より真っ当な明日を渇望しているかのように感じます。ぜひ、目を背けずにご覧いただきたいです。


彼らだけでは解決できない問題がたくさんあります。現地の大人が変わる力を世界中から集める必要があります。
私たちは日本の子どもたちと一緒に、この声が生まれた場所の生活を自分たちのこととして考えていきたい。相手の痛みを理解する思いやりがあって、大切な人のためなら人一倍頑張れる子どもたちとならきっと行動を起こしていけるはずです。

ガーナの子どもの声に「自分たちのやりたいことを諦めない」とありました。きっとどの国に生まれ育っても、手放したくない強い想いです。一緒に遊ぶことを諦めなたくない。楽しい毎日を諦めたくない。地球の未来を諦めたくない。

子どもたちの願いを諦めたくない。
一歩ずつ、一歩ずつ


文:広報 鈴木香里

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