【文化】"ワザ伝"プロジェクト in ふくしま キッズワークショップ 2019
今年も、3月10日(日)に福島県にある福島市子どもの夢を育む施設こむこむ館にて、
"ワザ伝"プロジェクトを開催いたしまいた!!
"ワザ伝"プロジェクトは、一般財団法人あんしん財団様と連携し、日本の伝統的な"技"、職人の技術を全国の子ども達に伝えるプロジェクト。
震災から8年が経ち、現地の報道は減る一方、今尚様々な影響を受けながらも、震災と向き合い、前を向いて生活をしている福島県の子どもたちに、未来に繋がる多くの笑顔が生まれることを願って、職人さん方と共にプログラムを届けてまいりました。
今年は、伝統的工芸品「駿河竹千筋細工」や「鹿沼組子」、金属加工の「精密コマ」をはじめとした様々なワークショップを開催!当日の様子をご紹介させていただきます。
今年は昨年以上に、開場前から多くの方がいらしてくださり、こむこむ館の前には長い長い列ができておりました!昨年に続き遊びに来てくれた子どもたちも多く、私たちもとても嬉しかったです。
いよいよ会場です!
ご来場いただいた皆様、本当にありがとうございます!!!
たくさんのご来場者様に見守られながらオープニングセレモニーも行われ、
今回ご参加いただいた講師の皆様からご挨拶をいただきました。
それでは早速、各プログラムの様子をご紹介させていただきます。
まずは、今回初めて"ワザ伝"プロジェクトにご参加いただいた静岡竹工芸協同組合さんによる『「伝統工芸 駿河竹千筋細工」で盛りかごを作ろう!』をご紹介いたします。
先生は、職人の杉山茂靖さん。
竹とんぼや流しそうめんで子どもたちには馴染みのある「竹」。
まずはじめに、そんな竹を使い、昔から伝わる技術によって手作りされている
国に認められた伝統的工芸品「駿河竹千筋細工」の歴史や特徴を
クイズなどを通して学びました。
なんと、江戸時代から歴史のある工芸品。
角がなくて優しい丸ひごを使い、つなぎ目が分からないくらいきれいに見える職人さんの技が光る作品についてもご紹介いただきました。
竹の一番良い部分を使っているので、丈夫で長持ちし、
時間が経つにつれて竹の色が変わり味が出てくるのも「駿河竹千筋細工」の特徴です。
「駿河竹千筋細工」について知った後は、盛りかご作りのスタートです!
まずは「あじろ」と呼ばれる素材を使って底を作っていきます。
あじろを円に切るのに子どもたちみんな苦戦中!!
次に輪っかの穴に竹ひごをさしてきます。
ひごをさしていく順番や、向きにも決まりがあるので、これを間違えると最初からやり直し!!みんな一本一本丁寧に、夢中になって頑張っています。
上から少し押して作業をすると、うまくできる職人技を教えてもらいました。
最後に、ひごがとれないようボンドで接着し、
先生にチェックをしてもらったら完成です!
盛りかごを作った後は、職人技の実演を見て、体験の時間です。
先生の技に子供たちはびっくり!!
竹を削っていくと竹ひごへと変わっていく。
小刀で竹を削る体験!!
「意外と削るの難しいなぁ」「先生のようにうまくいかないよ」
簡単そうに見えて、難しい竹を削る作業。
その後、竹ひごをひご引きで丸くしていきます。
「大きなカブを引っ張るくらいの力が必要!」なんて声も。
また、こてを使って丸ひごを曲げる体験もしました。
最後に杉山さんからは、
「今回作った盛りかごはまずは10年は使いこんでみてください。
壊れても98%先生が直すことができます。それだけ手間がかかっており、
長持ちします。また年を重ねることで竹の色が変化していく経年変化を
楽しんでほしいです。」とメッセージをいただきました。
今回作った盛りかごは一生使うことができます。
みんなに大切な宝物ができました。
続いて、仙南マシンクラブの皆さんによる、
『金属ってどうやって加工するの?』のプログラムをご紹介します。
精密コマ作り体験をとおして、金属加工のプロフェッショナルから金属の秘密を学んでいきます。今回は、仙南マシンクラブより、千葉さん、池田さん、田中さん、熊谷さんの4名が先生としてお越しくださいました。
そんな先生たちが工場をかまえるのは、福島県の隣・宮城県の岩沼市。
2011年の震災では、先生たち自身も被災し、工場は水浸しになり機械も壊れてしまったと言います。それでもお互い助け合い、復興してきたと言う先生の思いからこのプログラムがスタートしました。
まずは、クイズで金属加工のお勉強。金属は何からできてるかな?金属はどうやったら切れるのかな?という質問や、同じ形の金属を見分けて一番重い金属を当てる問題も。
子どもたちは、「どの金属が重いんだろう?」「この色は銅じゃないかな?」と頭をフル回転させて学んでいきます。
金属の種類や加工方法について学んだあとは......、いざ、コマ作り!
精密コマは、コマの軸の持ち手となる軸、遠心力を持たせる胴体、コマの先端でなめらかな滑りを支える鋼球から構成されており、子どもたちは、この3パーツを「圧入」という手法を使って組み立てていきます。
自分の好きな色の軸、好きな形の胴体を選んで、レバーを押して圧入します。胴体の種類も様々で、丸みを帯びた持久型や、角ばった攻撃型など、子どもたちの好奇心をそそるものばかり。
そして、完成したコマには好きな色をペイント!オリジナルコマの出来上がりです。
コマを作り終えたら、お待ちかね!コマトーナメントの開幕です!
子どもたちは、「絶対自分のコマで優勝するんだ」と、優勝を目指して意気込みます。
そんな子どもたちの熱気に煽られ、審判の先生の肩にも力が入ります。子どもたちは、「どっち回りにコマを回そうか」「台のどの位置でコマを回そうか」と戦略を練り、熱い勝負を繰り広げていきます。
トーナメントが進めば進むほど、勝負は白熱の展開となり、時には1試合3分を超える長期戦になることも!? その一方で、トーナメントに負けた子は、タイムトライアルに挑戦します。回を重ねるごとの、2分、3分......、とドンドンタイムが伸びていきました。
トーナメントが終わると、優勝者・準優勝者が表彰されました。
景品として、金のコマ・銀のコマをもらった子どもたちは満面の笑みです!おめでどう!
プログラムの最後には、先生の最強ゴマの実演があり、その予想外の動きに子どもたちは驚きの声を隠せませんでした。そして、先生から子どもたちの未来に向けてメッセージ。
「例えば、ゲーム。みんな当たり前のようにゲームをしているかもしれないけど、ゲームも誰かが作っているんだよね。みんなには無限の可能性が眠っているので、新しいものを作り上げるのは君たちかもしれない。」こうしてプログラムは終了しましたが、最後に先生からおみやげ&ミッションが!
「これからみんなにコマをプレゼントしますが、このコマは先ほどのコマとは違い、胴体に2つのネジ穴が空いています。この穴にネジを入れると果たしてどうなるのでしょうか。結果は自分の手で作って、自分の目で確かめてみてください。」
子どもたちの挑戦はまだまだ続きそうです!
そして今年は、いつでも誰でも参加ができる精密コマの『タイムトライアル大会』も同時開催していました。記録上位者には職人さんからの素敵なプレゼントが!と聞いた子どもたちは俄然やる気です。
まずは練習タイム。
指先を使ってはじくように回すのがコツです。わかってはいても、なかなか難しい~!でも、何回かトライアルするとうまく回せるようになりました。
それでは!本番参ります!スタッフの掛け声に合わせ、緊張する手を一生懸命落ち着かせて、いざ、チャレンジです!
机を揺らさないように、さっと離れます。
中には、とてもうまく回すことができて「止まってるみたい…!」と微動だにしないコマを回せた子も!
まわり続けると、精密なだけあり、静かに、音もなく、ずっと長いこと回り続けます。
なんと、長く回せた午前の部の勇者は5分近く回りました!
1位になった子は嬉しくて、12時の締め切り時間まで、記録が更新されてしまわないか気になって気になって、何度も記録を確かめに来ていました。結局、12時に記録を破るものが現れず、見事、職人さんが作ってくれた特別作品が授与されました!
嬉しそうにスタッフにも見せに来てくれました。よかったね!
それにしても、精密コマの回っている時間はすごいですね。なんと、午後は6分近く回した強者も現れ、白熱した戦いとなりました!
続きまして、
『伝統工芸「鹿沼組子」でコースターを作ろう!』のプログラムをご紹介します。
有限会社豊田木工所の方々をお迎えして、好きな模様のコースター作りを行いました。
鹿沼市は栃木県の日光市の隣にあります。世界遺産の日光東照宮の建築の際にたくさんの職人さんが集まり、古くから木工の町として栄えていたそうです。
昔から伝わる組子の模様や、釘を使わない組子の作品を作る為の職人技や特徴などを、クイズを通して学んでいきました。
実際に、職人さんの技も見せていただきました。
少しずつ形の違う木片を上手く組み合わせて作っていきます。
子どもたちは先生の作業をじっと見つめ、これから自分で作るイメージを膨らませます。
組子の木片は無理にはめようとすると簡単に折れてしまいます。ですが、正しい向き、正しい方向ではめれば「キュッキュッ」といい音がします。
職人さんに技を教えてもらった後は、実際に子どもたちも真剣な表情で組子のコースター作りに挑戦しました。
少しのズレも許されない作業。子ども達の眼差しはまるで小さな職人さんの様でした。
作品ができた子は、カンナの実演も見せていただきました。
カンナで木片を同じ大きさに切っていきます。組子がピタッとはまるには、木片の長さや切断面の角度などがとても重要です。
職人さんの手さばきに、子どもたちも「おお〜」と感動。職人さんがその場で切った木片を子どもたちにプレゼントすると、みんな目を輝かせて喜んでいました。
「鹿沼組子」のコースター作りを通して、組子の面白さや職人の技の凄さを体験することができました。また自分でやってみることで「できた!」の達成感も味わい、充実した時間を過ごすことができました。
続いて今年も大人気!
福島工業高等専門学校 モノづくり教育研究支援センターの皆さまによる『光センサーでキラめくシードーム作り 2019』をご紹介します。
だんだんとライトの色が変わっていく素敵なシードーム。
電子回路のセッティングから作ることができ、小さなコンデンサなどを差し込む細かな作業も子どもたちは真剣に取り組んでいました。
小さいのでなかなか難しい作業です!
シードームの中には福島で取れた貝殻を詰めたビンをセッティングしていきます。
普段は触る機会の少ない基盤やグルーガンなどたくさんの体験をして、とても真剣な顔つきで参加してくれた子どもたちばかりでした!
出来上がったシードームが光ると子どもたちもとても嬉しそうです!
また同じく福島工業高等専門学校のみなさまの"モノづくりの体験展示スペース"ではプラスチック加工の方法など様々なモノづくりに関する展示が行われました。
中でも毎年の人気は、障害物があると逆方向に進む車。手をかざしてセンサーの面白さを体験してくれました!
続きまして、東北福祉大学のみなさんによる『紙コップロケットをつくってあそぼう!』『おはなし手袋』には幅広い年齢の子どもたちが参加してくれました。
紙コップロケットは輪ゴムを中に十字に掛けたコップにロケットをセッティングして手を離すとポン!とロケットが飛び出します!みんな上手にテープや折り紙、モールできれいに装飾し、自分だけのオリジナルロケットを作っていました。
金ぴかのテープを一生懸命貼っていたお兄ちゃんは「順番に一列ずつ貼っていって虹みたいにするんだ!」と丸い側面の紙コップにテープを貼るのは一苦労ですが、素敵なロケットが出来上がりました!
「上手に貼れたね!」と言われて子どもたちも大満足◎
おはなし手袋では、見本のカエルや恐竜といった動物以外にも、大きな鼻を画用紙で付けて「ぶたさん!」、強そうな牙を付けて「サメ!」と思い思いの好きな動物を作成。
サメの手袋を作った子は自分で目の位置はここ、牙はたくさんあるから三角をハサミで切り出して・・とお母さんの手助けもほとんどなく自分だけのこだわり手袋が出来上がりました!たのしくお家でも遊べそうですね!
そしてお隣はこむこむ館ドリームサポーターのみなさんによる皿回しチャレンジ!
紙皿に模様を描いて自分だけの皿回しができちゃいます!ですが…!
なかなかテクニックが必要な皿回し。難しい~!と言いながらも真剣な表情。お皿の底部分に取り付けられたガイドにうまくひっかけて、みんな上手に回していました!
最後は、福島放送さんによる『カメラマン体験』のプログラムです。
なんと、普段から現場で活躍されているプロのカメラマンとアナウンサーが先生として来てくださいました!まずはプロのお仕事拝見!普段テレビでアナウンスをしているシーンを披露いただきました。即興でアナウンサーの方が場面紹介し、アナウンサーの話に合わせてカメラが動きます。
カメラが子どもたちに近づいて…。アップで映ります!「わぁ!」と、とっても恥ずかしそうですが嬉しそうな表情。
アナウンサーが話す内容に合わせて、カメラをアップにしたり全体を映したり、様々な表情をカメラで見せてくれる、というお手本を見せてもらいました!子どもたちは自分たちの顔が画面に映っているのが何より嬉しそうです。
続けて、2つのチームに分かれて実践です!
今回の主な登場人物は、「トキマル」と「ツムツム」です。人形を使って、自分たちで考えた物語をカメラで映します。物語を作るのも、カメラで映すのも全部子どもたちでやってみます!難しそうだけど、できるかな??!
まずは、どんな物語にしようかな?とグループで相談!「トキマルのところに、ツムツムみんなで挨拶に行こうよ!」など、物語作りもとっても楽しそう。
物語の構成が大体決まったら、次はカメラマンの登場です!
子どもたちがぬいぐるみで実演するシーンを、カメラで撮ります。カメラマン役は、三脚を立てて撮っていることもあり、アップにしたり、時に全体を映したりと、ブレずにとても上手に撮影しています。
最初は、どうやって撮ったら良いのかな?と少しぎこちない感じでしたが、先生から「ツムツムを紹介するときはツムツムだけをアップで、みんなで何かしている時は全体を撮る。カメラは、言葉が話せないから、カメラで会話を表現するのだよ。」と教えていただきました。言葉が話せないから、カメラで話をするという先生の言葉を聞いてから、子どもたちは格段に上手に撮れるようになりました!
もう一つのチームは、なんと、三脚を使わず肩に担いで撮影します。「重たい~!」と言いながらも、先生のアドバイス「カメラで会話を表現する」をちゃんと理解して実践しています。「肩に担ぐカメラ撮影は、ブレないように撮る、というのがとても大事でとても難しいんだよ。」と三脚がある無しで難易度が違うことを実感していました。
本物のカメラを担いだり回したりして、子どもたちは、とっても楽しそうな時間を過ごしていました。今日を機会にテレビを見るときの視点が変わるかもしれませんね!
以上、"ワザ伝"プロジェクト in ふくしま キッズワークショップ 2019 の様子をご紹介させていただきました。本物の職人さんとの出会い、モノづくりの体験が、福島の子ども達の新しい発見や世界を広げ、将来への希望や夢につながっていくことを願っています。
そして私たち大人も、福島の地で、たくさんのパワーを実感することができました。
また来年も、福島にお伺いできることをとても楽しみにしています!
今回ご来場いただいた福島の皆さま、ご協力いただいた出展者の皆さま、こむこむ館の皆さま、そしてこの企画をご一緒させてくださったあんしん財団の皆さま、本当にありがとうございました。
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