丸の内キッズジャンボリー3日目 金属加工のヒミツに迫る!精密コマを作ろう
こんにちは、本部の佐藤です。
今年で3年目となる「丸の内キッズジャンボリー」でのワークショップ開催!あんしん財団様と共に作り上げる日替わりのプログラムもついに最終日を迎えました。
3日目はまさに中小企業の持つ技!精密コマ作りに挑戦です!
講師としてご協力してくださったのは、福島での「ワザ伝プロジェクト」でもご一緒くださった「仙南マシンクラブ」のメンバー、株式会社岩沼精工の千葉さん、イケダ工機株式会社の池田さんです。
トレードマークのかっこいいポロシャツには「削るのか 抜くのか ねっぱすか それとも・・・」と書かれており、金属を削ったり抜いたりねっぱしたり(宮城県の方言でくっつけるという意味)、それ以外にもどんなことでもできますよ!という証です。かっこいい!
岩沼精工様も7年前の東日本大震災で津波による甚大な被害を受けました。一時は事業の再開が難しいかもと思い悩んだそうですが、社員の皆様が自主的に復興に向けて動き出し、地域が手を取り合い、そして全国からの支援によって工場を再開することができたそうです。
復興の証と支援をしてくれた方々へのお礼の思いを込めて始めた精密コマには仙南マシンクラブのみなさんの技術が凝縮されているのです。
そんな先生方のお話に子どもたちも真剣に耳を傾けます。
さぁ、会場の集中力もググッと高まったところで、いよいよプログラム開始です!
まず始めに、金属についてクイズを交えて楽しく学んでいきます!
「身の周りにある金属は何があるかな?」
みんな元気よく手をあげて答えてくれます。
「お金!」「ゲーム機!?」などなど身近な金属を大正解◎
続いて金属が何からできているか学んだり(みなさんは何だと思いますか?^^)、金属をどのように切るかなどについても学びました。
初めて知ることも多く、子どもたち驚きです!
金属の種類を学ぶためにこんなクイズも!
この5種類の金属の中でどれが一番重いか、子どもたちはまず目で見るだけで考えてみます。
ちょっとお金の色に似てますよね。チームで話し合って考える子どもたち。
このクイズ、見た目だけだと結構難しいのですが、正解は向かって一番左の「ヘビーメタル」。もう名前からして重いですよね笑
こうした重くて固い金属であらゆるものを作ってしまう職人さんたち。
いよいよ、その「技」を学んでいきます!
今回作る精密コマは、コマを回す持ち手の部分とリング状の胴体、そしてコマが回る中心である軸の3つのパーツを組み合わせます。
それぞれのパーツは結構小さめです。
手で組み立てられないかな?
男の子が挑戦!思いっきり軸を胴体に押し込みます!
うーーん!入らない!
それもそのはず!実は軸の方が胴体より大きくできているのです。
これは特殊な方法で組み立てることで緩まずがっちりと固定するため。
この作業を「圧入」と言います。
コマのつくり方は大きく分けて3ステップ!
(1)軸と胴体を選ぶ
(2)圧入して軸と胴体を固定する
(3)軸の先に付ける球を圧入して固定する
難しい作業ではありませんが、正しく行わないと大きな怪我につながります。
先生の言うことをきちんと守って、さぁコマ作り開始です!
コマの軸と胴体の組み合わせは自由自在!どれが早く回るのか、安定して回るのはどの形か、子どもたちはよく見て、よく触って自分たちで考えます。
パーツを決めたら圧入!先生にサポートしてもらいながらグッと力を入れて入れ込みます。
軸の先もまっすぐに圧入していかないと曲がってうまく回らないコマになってしまうので集中して慎重にレバーを回します。
完成したらよりオリジナルらしさを出すためにコマに柄を付けていきます。カラフルなペンを使い、回った時にとても綺麗なコマになりました!
今回参加してくれた子がとても多かったので、半数がコマづくりをしている間、会場後ろの展示スペースで、もっと奥深い金属加工の話を聞くコーナーを設けました。
先ほど重さの違いを見抜くクイズで紹介した金属の棒についても詳しく紹介!
今度は触ることもできます!全種類触ってみると、重さは歴然の差!触り心地もそれぞれ異なり、金属の不思議に触れました。
こんな固い金属をいとも簡単に加工してしまう職人さんたち。まさにプロフェッショナルです!
次に子どもたちに配られたのはなんだか難しい図面。
職人さんたちの元には日々、お客さんからこんな図面が送られてきて「これを作ってほしい!」とお願いをされるそうです。
そして実際にできたのがこちら。
すごい!
この小さな部品を完璧につくるために、図面をいただいた段階でまずはどうやって作るのかよく考え話し合うそうです。
これだけ技術が発展した現在でも、CGや機械などに頼るだけではなく、人がしっかりと金属のことをよく学び、作り方を考えられなければならないと教えてくださいました。
他にも、「大人が本気で作ったコマ」に子どもたちは大興奮!
「なんでこんなふうに回るの〜〜!?」と大盛り上がり!^^
先生は、「考えてみよう!」と笑顔で答えてくださいました。
コマ作りと展示、どちらも大満足の子どもたちはチームごとに記念撮影も!この写真はまた後でのお楽しみです★
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この後はお楽しみの対戦ですが、その前に自主練の時間もありました。
この日初めて会った子同士がすっかり仲良しになり、すでに同じ土俵で回している子も!
(この土俵、なんと先生からのプレゼントです!)
逆さに回している子もいました。どんな気づきがあったかな?!
はい!全員集合〜!お待ちかねの対戦が始まります!
トーナメント形式勝ち抜き戦!自慢のコマでどこまで勝ち進めるか勝負です!
みんな真剣に説明を聞いてくれました。
これは真剣勝負の場です。対戦相手への敬意を忘れずに、必ず礼に始まり礼に終わること。
審判の判断に従うこと。
さぁいざ、勝負!
「よろしくお願いします!」
子どもたちが作ったコマ、それぞれがいい勝負を繰り広げます。
長い対戦は3分以上回っているので、だんだんそわそわしてきます。
勝負!
勝負!
この女の子たちは準決勝!とてもいい試合を見せてくれました。
負けてしまい悔しくて涙を浮かべる子もいましたが、それでも大きな声で、
「ありがとうございました!」
みんなとてもかっこいいです。
途中で負けた子はタイムトライアルに参加してどれだけ長く回せるかにチャレンジ!
対戦で弾かれたコマも実は持久戦ではとても強かったりとそれぞれ特色があってとても興味深いです。
その間トーナメントも順調に進みます。
準決勝以上は2勝以上せねばならず緊張感も高まります。
コマの動きが弱まってくる最後は自然と祈ってしまう子どもたち。周りからは友達の声援も!
決勝戦まで行くと子どもたちのテンションも会場のボルテージも最高潮に上がり、どちらを応援するでもなく「がんばれー!がんばれー!」と元気な声援が飛び交います。頑張れ!頑張れ!
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子どもたち全員が素晴らしい勝負を見せてくれ、トーナメントは無事終了となりました。
本当にみんなかっこよかったね!
ここから表彰タイムに入ります。
見事上位に入賞した子やタイムトライアルで好成績を挙げた子に先生からとびきりのコマが贈られました!
(※写真は午前の部/午後の部双方の受賞者を紹介しています)
祝福ムード漂う中、ここで千葉先生から子どもたちに向けて大切なメッセージをいただきました。
今日はみんなとても良い勝負をしてくれて本当に素晴らしかったです。
長く回らなかった子、負けちゃった子はどうして負けたのか、勝ったコマとの違いをよく考えてみてください。
みなさんの周りには色んなものがあふれています。
テレビや車、ゲーム。昔はなかったのに君たちのお父さん、おじいちゃん、その前の世代の人たちが一生懸命考えて考えて形にして作り上げてきたものたちです。
2020年、何があるかな?そう東京オリンピックだよね。
今東京オリンピックに向けて空飛ぶ車とか、今はないすごいものを作ろうとしてる大人たちがいます。
さぁ、みんなが大人になったら何をつくる?
ドラえもんだって夢じゃないかもしれない。
大事なのは、どうしたら作れるのかよーく考えることです。
これからしっかり勉強して、よく考えて素晴らしいものを生み出す人にどうかなってください。
そして、1つのコマを出してこう続けてくださいました。
これは、今日みんなが作ったのと同じコマです。
ただ胴体のところに穴が空いています。
これを一人ひとつずつプレゼントするので、これを使ってもっと強く長く回るコマにしてみてください。
さっきコマを逆さに回してる子もいたよね。逆さにすると安定感がなくなるんだけど、これを使うとうまく回るようになるかもしれない。
ヒントはネジ!
さぁ、考えてみよう!
先生の一言一言が、子どもたちの心に火を灯してくださった時間でした。
本当に素敵なメッセージをありがとうございます!
最後に!今日の学びをワークシートにまとめます!先生方もテーブルをまわって子どもたちに声をかけてくださり、プログラムを振り返ります。
その間にあんしん財団様からすてきなプレゼントが!
さっき撮った写真がフォトフレームに入って手渡されます。この日友達になった子たちもいたのでとってもうれしい思い出になりました◎
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ワークシートやアンケートを書き終えた子どもたちに最後、先生がとっておきのコマを見せてくれました。
「これは僕たちが出ている本物の大会にも出場しているコマです。出場基準ギリギリで作った本気のコマがどんな風に回るか見ててください」
先生がふわっと手を離すと・・・
開いた!!!!
子どもたちまたしても大興奮です!笑
土俵の上に先ほど子どもたちが作ったタイプのコマを入れると一瞬で弾かれてしまいました!
そしてこのコマ、回り終えると自動ではねを閉じて停止するのです。
思わず拍手!
本当に最後の最後まで、大盛上がりの楽しいプログラムでした!!
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お別れの時に先ほどのコマをもらって、子どもたちは笑顔で帰っていきました。
帰り道でホームセンターに寄ってネジを買ってもらう子もいるかもしれませんね^^
さぁ、2020年は東京オリンピックが待っています。その先の未来に、彼らが大人になった頃、日本はどんなモノがあふれているでしょうか?そして残っているでしょうか。
この「ワザ伝プロジェクトin丸の内キッズジャンボリー」の3日間を通し、それぞれの職人さんがそれぞれの言葉で、ものづくりの大切さを語ってくださいました。
受け継がれた伝統に込められた歴史や人々の願いをしっかりと学ぶこと。
使う人の事を大切に想うこと。
どうしたらカタチにできるか自分の力でよく考えること。
伝統工芸や日本の素晴らしい技術は、作り手だけでなく、その思いを受け止めるすべての人々によって未来につながっていくのだと、そう感じずにはいられない最高の3日間となりました。
子どもたちが持ち帰るのはつくったものだけでなく、職人さんたちの粋と想い。
どうかつないでいってね、未来に。
この日、素晴らしい技とメッセージを届けてくださった岩沼精工の千葉様、イケダ工機の池田様、本当にありがとうございました!
そして継続して「ワザ伝プロジェクト」をご一緒させていただいているあんしん財団様に心からの感謝を込めて。
「ワザ伝プロジェクト」はこれからも、子どもたちの未来のために全国各地で本物の技を届けてまいります。変わらぬ応援をどうぞ宜しくお願いいたします。
放課後NPOアフタースクール