【オランダ視察③】保育園について
代表理事の平岩です。
オランダ視察のご報告も第3弾となりました。
今回は「保育園」についてです。
伺ったのはこちらの保育園です。
外観は普通のビルと同様です。
(オランダのビルはきれいですね)
雰囲気はこんな感じです。
園庭はこんな感じ。
それ程広くありませんが、
遊びこめる印象でした。
(雰囲気はオシャレですね)
学んだ内容を下記に記載します。
①ハーグ市保育園の概観
人口40万人の市に400の保育園が存在します。
(日本で同規模の柏市に「40しか園がない」と申し上げると「Oh!」と驚かれました。。)
視察させていただいたDAKグループでは、
70園を運営しているそうです。
当初は公立で園を運営していましたが、
2005年くらいから民営化されて運営されているそうです。
料金は
1時間4~6ユーロ(500~700円)
1日10時間預けると、5~7千円
週3日預けると、月に6~8.4万円
結構高いですね。
ちなみに保育の費用は以前はほとんど国から支給されていたそうですが、
最近はユーロ全体の不況で保護者の自己負担も増えているそうです。
②子どもたちは複数のグループが存在し、どこに所属するかを親が決める
こちらでは、
・0~4歳 ・0~2歳 ・2~4歳
どのグループに所属するかは、
子どもの発達段階に応じて親とスタッフで相談して決めるそうです。
スタッフの数は、下記のように決まっています。
・0~4歳→12人に2人 ・0~2歳→9人に2人 ・2~4歳→14人に2人
異年齢で保育を行うのは当然、といった感じでしょうか。
③週5日来る子が少ない
ワークシェアリングのオランダでは、
週5日働いていない大人がたくさんいます。
なので、子どもたちも親がお休みの時は家にいるので、
保育園に来るのも週1~5日とそれぞれ違います。
週3日くらい来る子が最も多いそうです。
従って子どもたちのグループも毎日変わります。
と決まっているそうで、スタッフは細かくシフトを管理し、
子どもたちが接する大人があまりにも変わり過ぎないように
管理しているそうです。
「なるべく多くの大人と関わることで子どもの社会的な成長を促す」
というのが基本の考え方のようです。
少し日本とは違うでしょうか。
④子どもの自立心を育てる
「子どもたちの成長で最も重視する点は何ですか?」と尋ねると
この答えが返ってきました。
「子どもの自立心を育てる」
もう何の迷いもなくそれを全員が答える感じです。
「具体的な取り組みはどのようなものがありますか?」とさらに尋ねました。
ご返答の第1声は
「それは私たちにとってあまりに自然なもので、
特に取り組みを意識しないくらい全ての行動に反映されている」
と仰っていました。
園の中を見てみると、このようなボードがありました。
これはそれぞれの遊びのコーナーで
今誰が遊んでいるか、というボードです。
子どもたちが自分の名前を動かしていきます。
自分のしたい遊びを自分で決めて、
名前を動かすわけです。
おやつとお昼寝以外の時間はかなり自由に過ごすそうです。
これによって、自分が何をしているか、
お友達同士で何をしているかを可視化しています。
自分がしたくても、友達が使っていると我慢をしなければならない訓練にもなります。
またお片づけなどをしない場合は、
これを見て職員さんが声かけをしたりもします。
このようなボードは保育園だけでなく、
⑤コーナー遊びで好奇心を刺激
保育園の中には、
色々なコーナーがありました。
このちょっとしたコーナーで子どもたちの好奇心を刺激しているそうです。
こういうコーナーもありました。
このコーナーを反対から見るとこんな感じです。
そうです。柱の中にちょっとした小部屋があるのです。
どのフロアにもありました。
ここは子どもがちょっと落ち着いたり安心感を感じるコーナー、
また秘密基地のように使う子もいるでしょうか。
面白いですね。
⑥評価を自分たちで
「子どもたちへの教育の成果をどのように判断していますか?」
と質問いたしました。
すると
「評価指標を決めて自分たちで評価している」
という答えが返ってきました。
・環境(建物、設備、コーナーの配置etc)
・職員(子どもの自立を促しているか)
・子どもたちの安定性(落ち着いているか)
この3つの大項目に基づく指針があり(アムステルダム大学教授と共同作成)、
それに基づいて評価・改善を行っているとのことでした。
ちなみに、
オランダの保育園の子どもたち、
大変に安定していました。
日本の子どもより何だか落ち着いていて、
先生も穏やかな感じで接していました。
日本の保育園はどうもバタバタしているように見えます。
すると、
「子どもたちにストラクチャーを与えている」
という答えが返ってきました。
何のことだろう?と思っていると、
「子どもたちが何をすべきか分かっている」
と説明してくれました。
例えばこういうものがイメージですが、
1日がどんな流れで進んでいくかを可視化することなのです。
子どもたちが自発的に動く前提があって、
でも1日の流れも出来ていて、
これによって、先生が大きな声で指示を出さずとも、
子どもたちが落ち着くのだそうです。
リヒテルズ直子さん曰く
「このような教育をするため、
オランダは30~40年の歴史を積み重ねて追求してきているのよ」
ということでした。
⑦保護者との関係
保護者との関係についても尋ねました。
保護者との接点は主に3つとの答えが返ってきました。
・朝夕の投降園
・保護者会
・経営参加評議会
色々話し合いを持ったり、時にはパーティーなどもするそうです。
そして「経営参加評議会」
これは保育園に限らず、
オランダの学校に共通してこのような組織がありました。
保護者と教職員でこのような評議会を作って、
常に学校の教育や経営をチェックしているのです。
「こういう評議会があまり存在しない日本の方が珍しいのだ」
とリヒテルズさんは仰っていました。
オランダの学校では、
「学校と保護者はチームを組んで子どもを見守ってる感覚」
が常にありました。
この感覚はとても大事だな、と思います。
親、教師など多くの大人が協力して、
自分のことを育ててくれている感覚を子どもが実感していることこそが
子どもたちの自己肯定感の源泉ではないか
と思えるほどです。
また高さも変更できるそうです。便利ですね。
こちらは屋根裏のようなところのお部屋です。
ここは学童保育の部屋です。
ここには小学生の学童の子どもたちがやってきます。
色々なコーナーがあり、面白そうな部屋でした。
ファッションショーをするステージもありました。
そしてこちらはオランダらしいですね。ミッフィーです。
色々な美しい風景やインテリアなどを見ていると、
ミッフィーの生まれて来る国であることもうなづけるように思いました。
「子どもの自立心を育てる」
と明確に言い切る保育園。
とても参考になる部分が多くありました。
報告者:平岩 国泰
【オランダの視察報告】
(第1弾)イエナプラン教育の小学校
http://npoafterschool.cocolog-nifty.com/blog/2013/02/post-7bdc.html
(第2弾)教育センター
http://npoafterschool.cocolog-nifty.com/blog/2013/02/post-48ea.html
(第3弾)保育園
http://npoafterschool.cocolog-nifty.com/blog/2013/03/post-4f5b.html