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【学び】被災地、南三陸から 現地カメラマンより

こんばんは!14号です。
今日は私立新渡戸文化アフタースクールより、
特別プログラム!「被災地、南三陸から」です。
講師は、南三陸町で写真館を営んでいたカメラマン、佐藤信一氏です。
東日本大震災の津波により自宅と写真館を失われましたが、
その後、唯一持って逃げたカメラで
地震直後から失われた町が元通りになるまで
の道のりを今も撮り続けています。
今回は含めたそのような写真を通じて、
被災地の震災前から”いま”までをお話していただきました。
参加者は小学生と中学生が半々でした。
さすが自分の意思で参加しただけあって、
子どもたちはみな1時間強もの間被災地の写真を見ながら佐藤さんの話をじっと聞いてました。
始めに地元に住んでいる佐藤さんは震災前の日常の写真を見せてくれました。
海のすぐ近くまでたくさんのおうちが当たり前に立っています。
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佐藤さん:「この中学校より海側は全部津波に流されちゃったんだよ」
小学生(女の子):「じゃあ中学校の子どもたちは助かったのね。良かったね~」
小学生(男の子):「助かってない子どもたちもいるんだから…(つぶやき)」
というように始めはひとつの説明からの多様な解釈のある会話が聞こえてスタートしました。
津波がくるまえには前兆があるんだよという話では
「前兆ってなに?」という小学生もいましたが、
港に泊まる船の写った何枚かの写真で、
津波がくるまえに海の水がひき、
津波が近づいてくると徐々に満ちていく様子を
時系列で見て「前兆」の意味をなんとなくでも理解したようでした。
それから津波が来る。
津波が来るときはものすごい音がした
Dsc04024
稲妻のような音という人もいた
と佐藤さんは教えてくれましたが、
あれだけ映像が流れていたのにも関わらずテレビからはその音までは聞こえませんでした。
そしてあのニュースでよく取り上げられた防災対策庁舎にレンズが向けられます。
直前まで建物の中で
「津波が来るので高台へ避難してください」
と女性がアナウンスしており、結局その方自身が犠牲になった建物です。
佐藤さん:「あの建物はだいたい5階ぐらい。ここ(新渡戸文化)は何階だてですか?」
スタッフ:「3階建てです」
佐藤さん:「まあここに津波が来ることはありませんが、
来たとしたらこの建物の屋上に行ってもみんな助からないですね。
あの時は5階だての建物の屋上にいても津波に飲み込まれましたから」
この言葉は、今回の津波の巨大さを実に鮮明に感じさせるものでした。
佐藤さんの説明や写真に毎回反応して、コメントをしてた女の子もこのときばかりは静かでした。
それから、その建物を津波が襲いました。
建物の屋上にたつアンテナにしがみつく人、そのすぐ下は津波の海でした。
津波が去ると屋上に避難していた30名ほどの人たちが、
幸運にも柵にしがみついて流されずにすんだ10名程度の人たちへと変わっていました。
動画ではなく、写真だけれど
その瞬間の出来事が頭の中でリアルな映像となって流れました。
その後避難所の写真を見せながら語ってくれました。
「この時はみんながうそだと思ってた。
次の朝起きたら普通に自分の家が建ってるのではないか」
また、流されてしまった思い出の写真をきれいにして展示されている写真が写され
「俺の写真はなかった。でも、俺がとった写真はいっぱいあって、
知り合いのおばちゃんが『佐藤さんが取ってくれた写真があったのよ~』
と嬉しそうに言ってくれた。」と佐藤さん。
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震災前から佐藤さんがPTAを務める小学校では、
450名いた生徒が震災後、200名ほども転出、
つまり内陸の海から離れたところに行ってしまったそうです。
それから冬が来るとまた一年前のあの景色(震災直後)を
思い出すから複雑だとおっしゃっていました。
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最後にスタッフからの質問で
「東京など、他県から何かしてほしいことは?」ときかれると、
「正直、物資などはたくさんいただいて
余ってしまっているくらい、
被災者に今、足りないものは“心”です。
だから、被災地に来て、みんなに会いに来て一緒にお話してください。」
「また、風化という言葉があります。これはとても怖い言葉です。
今回の出来事を忘れられるのがとても怖いです。
皆さんどうか忘れず、心の隅にでも置いておいてください」
とおっしゃられました。
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そして参加した中学生も感想を言って終わりました。
「貴重なお話を本当にありがとうございました」
「テレビではわからないし、本当のように思えないことを
目の前の人が話してくれることで実感することが出来ました」
「私も震災後被災地に行きましたが、正直なにもなくてよくわからなかった。
でも、今回震災前と後の写真を見ながらゆっくり説明してくれたことでわかりました。」
震災直後、テレビなどで報道は絶え間なくされていましたが、やはり
見えない面、聞こえてこない声
がたくさんあり、さらに今回はあまりに規模が大きかったために
現実性をも疑ってしまう人が多く「映画のようだった」という声がたびたび聞かれました。
今回のように、
現地の人の声を直接聞くこと
震災前の被災地の様子を知ること
あの一瞬の津波の瞬間から現在に至るまでを写真という絵で時系列に見ること
などによって信じられないような出来事が実際に起こり、
そこに人々が生きていたということが感じられました。
また、個人的な話ですが、私も震災後の夏にちょうど
南三陸にボランティアに行った為、よりリアルに
佐藤さんの言葉を受け止めることができました。
小学生もそうですが、中学生や後ろから見ていた
たくさんの大人たちにとっても大変貴重な機会でした。
ぜひ、また多くの方々にお話と写真が届くと良いと思います。
佐藤さん、宮城県からわざわざ来ていただき本当にありがとうございました。

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