ソーシャルセクター×企業で実現する
コレクティブ・インパクトによる子どもの格差解消
動画テキスト

▼目次

オープニング
モデレータ講演
登壇企業・団体の紹介
パネルディスカッション①
パネルディスカッション②
質疑応答
まとめ

▼オープニング

200人程度の規模の、天井の高いホール。
長机と椅子が整然と並び、ほぼ満席の状態でオーディエンスが座っている。
正面の壇上はライトアップされ、中央に6脚の椅子が並んでいる。
その右端にマイクを備えた演台があり、司会者が一人立っている。
壇上の背面には一面のスクリーン。
その中央にスライドが表示されている。

スライド内容

  • 上部に放課後NPOアフタースクールとソニーのロゴ
  • タイトル:ソーシャルセクター×企業で実現するコレクティブ・インパクトによる子どもの格差解消
  • 対面開催・参加無料
  • 会場 ソニーシティ大崎カンファレンスホール
  • 2024年1月29日月曜日15:30から17:30

【穏やかなピアノのBGM】
【オーディエンスのかすかなざわめき】

司会:放課後NPOアフタースクール 理事 ソーシャルデザインチーム事業統括 正村 絵理氏
「それではお時間になりましたので、始めさせていただきます。
本日はお忙しい中、ソニーグループ株式会社、放課後NPOアフタースクール主催『ソーシャルセクター×企業で実現する コレクティブ・インパクトによる子どもの格差解消フォーラム』にお越しくださいまして、どうもありがとうございます。
本日司会を務めさせていただきます、放課後NPOの正村と申します。どうぞよろしくお願いいたします。」

オーディエンスへ会釈をする司会者。

【オーディエンスの拍手】

スライドが変わっている。

スライド内容
フォーラムテーマ:ソーシャルセクター×企業で実現する コレクティブ・インパクトによる子どもの格差解消

司会
「ありがとうございます。今回このようなフォーラムを開催させていただきました背景は、子どもの格差縮小に向けてさまざまなプレイヤーが取り組んでいたり、また、社会課題解決の必要性、コレクティブ・インパクトという認知は広がっていると思うんですが、社会課題の解決を目指すには、さらなる協創が必要だと考えております。」

スライド内容

  • 放課後NPOアフタースクールのロゴ
  • タイトル:本大会の背景・趣旨
  • 本文:子どもの格差問題に取り組む企業やソーシャルセクターとともに、それぞれの立場で抱える課題共有を行いながら、目指すべき方向性や具体的なアクションについて議論することで、コレクティブ・インパクトの実現へとつなげていきたい。

司会
「本日は企業やソーシャルセクター、それぞれの立場から、現在の取り組みを通してこれから目指している方向性を議論することで、コレクティブ・インパクトの実現につながるきっかけの時間になればと考えております。」

スライドが変わる。

スライド内容

  • タイトル:日本の子どもの幸福度が低い
  • 本文1:日本の子どもの幸福度は38カ国中20位
  • 本文2:身体的健康1位↔︎精神的幸福度37位
  • 生活満足度の棒グラフ:日本に該当する部分がハイライト。日本は62%。
  • 15歳から19歳の自殺率の棒グラフ:日本に該当する部分がハイライト。日本は7.5%。
  • グラフの説明:ユニセフ子どもの幸福度(child、well-being)の結果-精神的幸福度(生活満足度/自殺率)
  • 出典:ユニセフ「レポートカード16」(公財)日本ユニセフ協会(2020年度)

司会
「ここで、本日テーマとして取り上げている子どもの格差について、現在の状況を共有させていただきます。皆様ご存知のデータもたくさんあると思うんですが、改めてご確認いただければと思います。
まず1つ目、日本の子どもの幸福度が、世界の国々と比べて低くなっています。子どもの幸福度は、3つの分野を統合した順位となっています。精神的幸福度・身体的健康・スキルの3つです。日本は、身体的健康は1位に対して精神的幸福度が38カ国中37位と、極めて低いところが大きな課題として見られます。
また相対的貧困率も高く、G7の中では最も高い数値となっています。子どもの相対的貧困も10人に1人以上と、先進国では高くなっています。」

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スライド内容

  • タイトル:体験機会の経済格差
  • 副題:年収300万円未満の家庭の子どもの3人に1人が「学校外の体験活動がない」
  • 本文:世帯年収600万円以上の家庭と比べると2.6倍
  • 校外の体験がない子どもの割合(直近1年間)の棒グラフ: ・世帯年収300万円未満が29.9%
    ・世帯年収300~599万円が20.2%
    ・世帯年収600万以上が11.3%。
  • 出典:公益社団法人チャンス・フォー・チルドレン「子どもの『体験格差』実態調査」(2023年)

司会
「経済格差は教育格差や体験格差にもつながり、直近のデータでは親の年収の大小が子どもの体験機会の大小につながる、というものも発表されました。」

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スライド内容

  • タイトル:体験機会の地域格差
  • 本文:学校外の体験活動へ参加している子どもの割合は、三大都市圏に比べて三大都市圏外で少ない傾向がある。
  • 学校外の体験に参加している子どもの割合を居住地域別に比較した棒グラフ
  • グラフAからC:定期的な体験活動
    A) スポーツや運動:三大都市圏外 41.8%, 三大都市圏 48.8%
    B) 文化芸術活動:三大都市圏外 21.6%, 三大都市圏 24.0%
    C) A+C:三大都市圏外 53.4%, 三大都市圏 58.7%
  • グラフDからG:単発で行う体験活動
    D) 自然体験:三大都市圏外 28.0%, 三大都市圏 30.7%
    E) 社会体験:三大都市圏外 10.2%, 三大都市圏 11.7%
    F) 文化的体験:三大都市圏外 48.1%, 三大都市圏 53.4%
    G) ③+④+⑤:三大都市圏外 54.6%, 三大都市圏 59.3%
  • グラフH 体験なし:三大都市圏外 23.9%, 三大都市圏 21.1%
  • 出典 公益社団法人チャンス・フォー・チルドレン「子どもの体験格差実態調査」(2023年)

司会
「もちろん格差は経済的なものだけではなく、地域による格差も存在しています」

スライドが変わる。

スライド内容

  • タイトル:2023年4月 こども家庭庁発足
  • こども家庭庁のロゴ(こどもまんなか こども家庭庁)
  • 本文:常にこどもの最善の利益を第⼀に考え、こどもに関する取組・政策を我が国社会の真ん中に据えて、こどもの視点で、こどもを取り巻くあらゆる環境を視野に⼊れ、こどもの権利を保障し、こどもを誰⼀⼈取り残さず、健やかな成⻑を”社会全体”で後押しする。そのための新たな司令塔として、こども家庭庁を創設。(社会全体を特に強調。)

司会
「このような環境の中、昨年の4月、こども家庭庁が発足し、改めて子どもたちの健やかな成長・ウェルビーング向上を社会全体で後押ししていく『こどもまんなか』というビジョンが掲げられました。」

スライドが変わる。

スライド内容

  • タイトル:こども家庭庁の指針
  • 上下左右のグリッドに分けた箇条書きリスト。左上から順に、
    • グリッド1:こどもの視点に立った司令塔機能の発揮、こども基本法の着実な施行
      A) こども大綱の推進
      B) こども基本法
      C) こどもの意見聴取と政策への反映
      D) 「こども若者★いけんぷらす」について
      E) こどもデータ連携の取組の推進
      F) 国際関係
      G) 都道府県こども計画・市町村こども計画
    • グリッド2:こどもが健やかで安全・安心に成長できる環境の提供
      A) 子ども・子育て支援制度
      B) こども・子育て支援
      C) 保育
      D) 幼児期までのこどもの育ちに係る基本的なビジョン
      E) こどもの居場所づくり
      F) こども・若者育成支援
      G) こどもの安全
      H) 青少年の安全で安心な社会環境の整備
    • グリッド3:結婚・妊娠・出産・子育てに夢や希望を感じられる社会の実現、少子化の克服
      A) 少子化対策
      B) 母子保健・不妊症・不育症など
      C) 妊婦・子育て家庭への伴走型相談支援と経済的支援の一体的実施(出産・子育て応援交付金)
      D) 科学研究
    • グリッド4:成育環境にかかわらず誰一人取り残すことなく健やかな成長を保障
      A) 児童虐待防止対策
      B) 社会的養護
      C) ひとり親家庭等関係
      D) 障害児支援
      E) こども家庭庁におけるいじめ防止対策
      F) こどもの貧困対策
      G) ヤングケアラーについて
      H) こどもの自殺対策

司会
「この12月には、こども家庭庁より具体的な指針として、こども大綱の推進・こどもの居場所づくり・少子化対策・こどもの貧困対策なども含めて発表されました。子どもを取り巻く環境について、社会全体で、そして今日お集まりいただいた皆様と一緒に考え、一つでも多くのアクションにつなげられればと考えております。」

スライドが変わる。

スライド内容
1. 冒頭セッション 主催者挨拶
ソニーグループ株式会社サステナビリティ推進部シニアゼネラルマネジャー
シッピー 光

司会
「それでは続きまして、主催者挨拶、ソニーグループ株式会社サステナビリティ推進部シニアゼネラルマネジャー、シッピー様、お願いいたします。」

シッピー氏と入れ替わりに司会者は舞台袖の演台へ移動する。
シッピー氏、壇上の演台に立ちオーディエンスへ一礼。

シッピー氏
「皆様、こんにちは。今ご紹介に預かりました、ソニーグループサステナビリティ推進部のシッピーと申します。
本日は大変お忙しい中、皆様お越しいただきまして誠にありがとうございます。
初めに、能登半島地震により被災された方々に、心よりお見舞い申し上げます。本日のフォーラムのテーマでもある子どもたちも、多く被害に遭われています。被災地の一日も早い復興を心より祈念いたします。
それでは、まず私の方からソニーグループのサステナビリティについてご紹介させていただきます。」

スライドが変わる。

スライド内容

  • タイトル:Purpose 存在意義
  • 本文:クリエイティビティとテクノロジーの力で、世界を感動で満たす。

シッピー氏
「ソニーは、クリエイティビティとテクノロジーの力で、世界を感動で満たす、というPurposeを掲げています。このPurposeは、ソニーは何のために存在するかという社会的な存在意義を示したものです。このPurposeのもとソニーは『人に近づく』という経営の方向性を掲げています。」

スライドと壇上全体を正面から捉えたアングル。
スライドが変わる。

スライド内容

  • タイトル:ソニーグループ概要
  • 会社概要:商号、設立、所在地、電話番号、代表執行役、資本金等の公開情報
  • 地域別売上高および金融ビジネス収入の円グラフ:全体で11兆5,398億円で、米国、日本、欧州、中国、アジアおよび太平洋、その他の順に構成されている。
  • 連結従業員構成比率の円グラフ:日本、米国、欧州、東アジア、アジアおよび太平洋、その他の順で構成されている。
  • セグメント別の売上高および金融ビジネス収入:ゲーム&ネットワークサービス、エンタテインメント・テクノロジー&サービス、イメージング&センシング・ソリューション、金融、音楽、映画で構成されている。
  • セグメント別の代表製品(サービス)のロゴや写真:ゲーム機器、家電、カメラ、NURO光やSo-netのプロバイダサービス、ソニー・ピクチャーズ、ソニーミュージック、センサー、ソニー銀行など。

シッピー氏
「現在のソニーは、こちらのスライドにありますように、多様な事業をグローバルで展開しておりまして、約11万人の社員を持つ、グローバルな企業です。この幅広い事業ポートフォリオや多様な人材を強みとしながら長期視点での新たな価値創出を行っております。」

スライドが変わる。

スライド内容

  • タイトル:サステナビリティの考え方
  • 本文1:ソニーは、「クリエイティビティとテクノロジーの力で、世界を感動で満たす」というPurpose (存在意義) と、「人に近づく」という経営の方向性のもと、「人」を軸に多様な事業を展開し、この多様性を強みとした持続的な価値創造と長期視点での企業価値の向上を目指しています。
  • 本文2:人々が感動で繋がるためには、私たちが安心して暮らせる社会や健全な地球環境があることが前提であり、ソニーは、その事業活動が株主、顧客、社員、調達先、ビジネスパートナー、地域社会、その他機関などのソニーグループのステークホルダーや地球環境に与える影響に十分配慮して行動するとともに、対話を通じてステークホルダーとの信頼を築くよう努めます。​ そして、イノベーションと健全な事業活動を通じて、企業価値の向上を追求し、持続可能な社会の発展に貢献することを目指します。

シッピー氏
「ソニーのサステナビリティに関する考え方は、人々が感動でつながるためには私たちが安心して暮らせる社会や健全な地球環境があることが前提、というものです。そして、イノベーションと健全な事業活動を通じて、企業価値の向上と持続可能な社会の発展に貢献することを目指し、グループ全体でサステナビリティ推進に取り組んでおります。」

スライドが変わる。

スライド内容

  • タイトル:ソニーの社会貢献活動
  • 本文1:ソニーは創業時より、次世代を担う子どもたちの理科教育支援に注力。
  • 本文2:「For the Next Generation」をスローガンに掲げ、事業活動を行う世界の各地域において、ソニーグループの製品・コンテンツ、テクノロジー、社員の力、さらにはステークホルダーとのパートナーシップを活用して、さまざまなコミュニティ活動を展開。
  • 左中央にFor the Next Generationのテキスト。その下に、活用するリソースと重点領域のリスト。
  • 活用するリソース:(上から順に)製品、コンテンツ、テクノロジー、社員の力、ステークホルダーとのパートナーシップ
  • 重点領域:(上から順に)STEAMを中心とした教育支援活動、大規模災害における緊急支援活動、技術を応用した社会課題の解決、エンタテインメントの力を生かした意識啓発。
  • 下部に関連ロゴと写真。
    • 教育支援活動関連:CurioStep、感動体験プログラム。
    • 災害人道支援関連:物資の箱が積み上げられた前に立っている人物の写真。
    • グローバルな社会課題への取り組み関連:Save the Children、UNHCR、WWF。
    • 新型コロナウイルス・ソニーグローバル支援基金
    • グローバル・ソーシャルジャスティスファンド

シッピー氏
「このサステナビリティの考え方のもと、ソニーはさまざまな社会貢献活動も行っています。
ソニーの製品や、コンテンツ、テクノロジー、社員の力そしてパートナーシップを活用し、教育支援をはじめ、災害人道支援国際支援団体とのパートナーシップを通じて推進するグローバルな社会課題への貢献活動も実施しております。なかでも、子どもたちは未来をつくる人材であり、その子どもたちの好奇心や創造性を育む教育は、持続可能な社会の発展のための重要な要素だと、ソニーは考えておりまして、教育支援は重点領域の一つとなっています。
教育支援活動では『For the Next Generation』をスローガンとして、次世代を担う子どもたちのための教育プログラムをグローバルで展開し、あらゆる子どもたちの好奇心を広げ、創造性や問題解決能力、多様性を受け入れる力の向上をサポートしています。
特に近年は、プログラミングやエンタテインメント、アートなどソニーグループの特徴を生かした、STEAM領域の多様なワークショップやコンテストなどの学びの機会を提供しています。 そして、教育支援の中でも日本国内の子どもたちの教育格差、その中でも、体験格差の縮小に向けた取り組みとして実施しているのが、感動体験プログラムでございます。」

スライドが変わる。

スライド内容

  • 中央に感動体験プログラムのロゴ
  • プログラムを体験しているこどもたちの写真。笑顔や驚いた顔、元気に体を動かしている様子。
  • 本文:子どもの「教育格差」の縮小に向けた取り組み。創造性や好奇心を育む「感動体験プログラム」

シッピー氏
「感動体験プログラムは、これまでソニーが行ってきた教育支援を、日本における子どもの"教育格差"という社会課題の取り組みに発展させたいと考えて、2018年に立ち上げた取り組みになります。少しずつ活動の成果も出始めている一方、やはり最終的な目的である子どもの格差解消という目標に向けての道のりはまだまだ遠いというふうに感じており、企業・NPO・行政など、さまざまなアクターが集合体となって課題解決に取り組む必要性を感じています。
本日のフォーラムを通じてNPO・企業の双方の視点で本質的な格差解消に向けて、どのような課題があるかどうすれば社会全体で取り組むことができるのか、パネルディスカッションを交えて、皆さんで考えてまいりたいと思います。
本日は皆様、どうぞよろしくお願いいたします。」

オーディエンスへ一礼するシッピー氏。
【オーディエンスの拍手】

壇上から降りるシッピー氏。

▼モデレータ講演

司会
「シッピー様、どうもありがとうございました。では続きまして、モデレータ講演、コレクティブ・インパクト実現のキーについて、さまざまな企業やNPOの社会貢献事業について投資とアドバイスを行っていらっしゃいます、一般社団法人ソーシャル・インベストメント・パートナーズ代表理事兼CEO、鈴木様お願いいたします。」

壇上へ上がり演台の前に立つ鈴木氏。
スライドが変わっている。

スライド内容
1.冒頭セッション:モデレータ講演 コレクティブ・インパクト実現のキーについて

鈴木氏 「ありがとうございます。ソーシャル・インベスメント・パートナーズの鈴木です。どうぞよろしくお願いいたします。」

オーディエンスへ一礼する鈴木氏。

鈴木氏
「まず今日は、コレクティブ・インパクトというトピックで、皆さんと一緒にお話をさせていただくということがありますので、それについての概要説明を10分程度でさせていただけたらというふうに思います。」

スライドが変わる。

スライド内容

  • タイトル:コラボレーション(協働)vs コレクティブ(集合体)
  • 以下左側
  • スタンフォード・ソーシャルイノベーションレビューという雑誌の表紙。
  • 表紙の下に、著者や発行年の情報:John Kania & Mark Kramer, “Collective Impact”, Stanford Social Innovation Review, Winter 2011
  • 2011が丸で囲まれて強調されている。
  • 以下右側
  • 本文:コラボレーション(協働・協力)の限界
  • 箇条書き:(上から順に)資金提供者のコラボレーション、官民パートナーシップ、マルチステークホルダー(共通テーマに関わる、異なるセクターの関係者による自発的活動)、ソーシャルセクターのネットワーク(目的意識に基づいて緩やかにつながった個人や組織のグループ)
  • 箇条書き下に、相互関係を示す上下向き矢印
  • 矢印下にテキスト:コレクティブ・インパクトの出現

鈴木氏
「まず、最初にコレクティブ・インパクトという言葉を使われていましたのが、2011年にスタンフォード・ソーシャルイノベーション・レビューというスタンフォード大学が出している雑誌におきまして、このカニアさんとクラマーさんが書いた記事で、コレクティブ・インパクトという言葉が使われました。ここで出てきた理由としましては、いろいろな社会課題解決を行われている、例えば教育をとりましても、そのためにはNPOであったり、学校の先生であったり教育委員会の方々、それぞれが一生懸命に取り組んでいる。それでも、その現場で一人ひとりの子どもが助けられたり教育の質が上がったりしても、社会全体としては全然良くなっていないということを実感された。では、どうしたらこれが変わっていくんだろうか、ということでいくつもの数少ない団体における、あるいは地域における活動について、クラマーさんとカニアさんが研究をしました。
その結果、実はコラボレーションというのはまだ限界があって、コレクティブ・インパクトという形で取り組むことによって、実は社会が変わっていくことができているということを彼らは観察した。それをまとめたものです。」

スライドが変わる。

スライド内容

  • タイトル:カニアさんとクラマーさんの観察。5つの成功の条件
  • 異なるセクターの多数のプレイヤーが長期的にコミット
  • 本文箇条書き:上から順に、
    1. 共通のアジェンダ:「アジェンダ」=たくらみ、目的、共通の目的
    2. 共通の測定システム:どのように成功を測るのか、みんなが合意できる測り方
    3. 相互に補完し合う取り組み:関わっている人のやることはそれぞれ異なるかもしれない。同じ方向に向かって、それら異なる取り組みは目的達成に向かう。
    4. 継続的なコミュニケーション:やっていること、できたこと、できなかったこと。問題解決を行う
    5. 活動をサポートするバックボーン組織:2の成功を測る作業、とりまとめ。4のための会議の設定、招集、及び、問題解決のサポート
  • 以上1〜5をまとめた右側:コレクティブ・インパクト成功の5つの条件

鈴木氏
「カニアさんとクラマーさんがまとめた5つの成功条件というものは、異なるセクターの多数のプレイヤーが長期的にコミットして、5つのコツを使って取り組むことによって、実は社会が変わっていくということが見えてきた、ということです。その5つのコツなんですけれども、共通のアジェンダ…アジェンダというのは、議題というふうに呼ばれることもありますけども、もう一つの意味で、"企み"とか"目的"、ということがあります。共通の企みを、きちんと言語化して動き始めるということ。それから、その企みがうまくいっているかどうか測定するための仕組みや指標についてきちんと合意して、それを実行するということ。それから、相互に補完し合う取り組みここで多くの方々が絡むわけですけどもその時にはそれぞれ全く違うことをするんですけども、同じ目標に向かって、同じアジェンダに向かって違うことをやっていくと。それから、コミュニケーションということで、すごく丁寧で頻繁なコミュニケーションを関わっている方々がすることによって問題解決を行い、そして、これらの活動全部をしっかりと支える背骨バックボーンが必要だということ。
この5つのものが揃っていると、この集合体で、コレクティブで行う活動というものがうまくいくということを導き出した記事でした。
では、これってどういうものなのか、具体的な例を用いて少しお話をさせていただきたいと思います。
海外の例を1つと、それから国内の例を1つご紹介したいと思います。
まず最初に、アメリカのテキサス州の例なんですけれども、これはテキサス州のEducate Texasという団体からいただいた資料です。
Educate Texasは、ビル・ゲイツ財団とテキサス州の教育委員会が共同で作った財団で、テキサス州の教育を変えていくために作られたものです。2010年から活動を始めておりまして、この資料、実は2017年5月の資料をいただいていますので、その時、7年すでに経っているわけですね。テキサス州の8つの拠点で、このコレクティブ・インパクトのプログラムを実行し、うまくいっているところで9個目で、エルパソというテキサス州の西側の方にある地域で行った取り組みについてです。これに関わったメンバーというものは、結構多くありまして、企業であったり団体、それから教育委員会。こういったところが加わっていて、80にも昇る財団や団体が関わって取り組んできたものということです。
これの取り組みが結構長い時間かかって…あ、ごめんなさいこれの指標が何なのかということなんですが」

スライドが変わっている。

スライド内容

  • タイトル:共通の指標はテキサス州全体で共有されていた
  • 本文:テキサス州で共通の指標があり、毎年、各地域の教育の状況を計測していた。その中から、プロジェクトごとに適切な指標を選んで使った。
  • 図の表題:Example El Paso Academic Benchmarks
  • 図の内容:小学3年生から大学卒業までを右方向の矢印で繋ぎ、その中で段階的にテストスコアや卒業割合等を集計したものを英語表記で示しているEducate Texasの資料。その元図の上に、日本語で注釈が載っている。左から順に、小3読解力、中1数学、高校卒業の割合、高卒後の進学率、大学卒業の割合。

鈴木氏
「テキサス州では、教育において7つの指標というものが州全体で合意されたものとしてあります。
どんなものかと言いますと例えば、小学校3年生の読解力とか中学1年生の算数・数学の力とかこういったものを、テストを受けさせてそれが向上しているかどうかというのを、きっちりと見ていくところ。高校の卒業の割合とか、高校卒業後の進学率また大学卒業の割合、こういったもの全部で7つの指標が公的に合意されてこれを測っていこう、これで進捗を見ようということでやってきているということです。」

スライドが変わる。

スライド内容

  • タイトル:長期的な取組
  • 本文:2017年5月のキックオフミーティング以前よりはじまり、2019年までの取り組みとしてスタートした。
  • 図表タイトル:Proposed El Paso Collective Impact Timeline
  • 図表内容:フェーズごとの詳細の記載
  • 図表の下に日本語の補足:左から順にフェーズごとの解説
    2017/1 現状理解
    主要人物、現在の取組、主要指標とメッセージ作成、過去の成功や失敗、初期リーダーチーム
    2017/8 土台づくり
    共通のゴールと計測の仕組み、データ分析と共有、バックボーン、複数の団体・法人と合意
    2018/2 実行開始
    優先取り組み分野に連携を取りつつ貢献、データ収集、分析、軌道修正、成果報告書のドラフトを作成
    2018/8 巻き込み
    コミュニティ全体で合意、報告・発表の仕組み
    2018/12 キックオフ
    コミュニティへの発表会

鈴木氏
「このエルパソですね、2017年の5月の資料からなんですけれども、実は今後の取り組みってどういうふうに設計されているのかというのを示しているものです。
ここ、小さい字でいっぱい書いてあるので、なるべく下の方に大きめに書いてみましたけれども、2017年の1月に現状理解をしようということで、エルパソにおける教育の状況を、誰が関わってどんな問題があるのか、というようなことを見出しました。
それから、初期コアチーム初期リーダーチームというものを作って、これに取り組む最初のチームを作りました。2017年5月にですね、この資料があるわけなんですけども。これで一緒になってやっていこうぜ、というのをリーダーシップの中で話をしながら、これから土台作りをしよう、と。ゴールを決めて、データを決めて、バックボーン組織は誰がやるのかこういったものを決めていこう、と。それを8月ぐらいから取り組んで、実際にこの小さいグループで実行を開始するのを2018年の2月ですね、1年経ったところでやりましょう、と。
そこで結果を出した後に今度は、さらに、コミュニティにもっと多くの人たちを巻き込むために広げていくためのステップということで、コミュニティ全体に発表していきましょうと。そして、コミュニティ全体でキックオフするのが2018年の12月ということなんで、ここで2年かかってやっと動き出す、という、このような入念な準備が必要だったということが分かってきます。
こういった形で、テキサス州エルパソにおける取り組みがみられます。次の事例としまして、日本の事例を紹介したいと思います。」

スライドが変わる。

スライド内容

  • タイトル:日本の事例 隠岐島前高校と地域住民
  • 本文:2003年(H15)頃の隠岐島前の状況➞「存続の危機」
  • 本文した箇条書き:上から順に、
    1. 島前:海士町+知夫村+西ノ島町=仲が悪い
    2. 住民減:中学卒業生が80人、10年後には28人
    3. 島根県:県立島前高校の廃校検討
      ・高校が無いと子どものいる家庭が出て行く
    4. 「合併プレッシャーせねば地方交付金減」の脅し
  • 2つの棒グラフ
  • 棒グラフ1:平成9年から平成20年の島前高校への入学者数推移。平成15年の箇所に”2003年”とハイライト。
  • 棒グラフ2:平成15年から平成29年の島前高校の全校生徒数の推移。平成15年(2003年)から魅力化開始時点(平成20年)の下降と、その後平成28年にかけて大きく上昇している様を示した矢印。
  • グラフ下部のテキスト:島前高校を取り巻く環境(システム)が大きく変わった。2023年、今も続いている。

鈴木氏
「これは、実はですね、2003年から2008年にかけて準備をされた取り組みなんですけども、これは2011年のさっきの記事より前に行われているものです。そこでは何があったかというと、島根県沖の隠岐島における島前という地域ですね、海士町と知夫村と西ノ島町なんですけれども、それぞれが、段々と小さくなっていってしまう。中学生が少なくなって高校生が少なくなっていく。高校を廃校しろ、という指示が来ている。でも、高校がなくなると子持ちの家族ってどんどん出ていってしまうので、そうするとどんどん人が減ってしまう、ということで、何とかして高校を残したい、ということで動き始めました。実際どうなったのかというのを先に言ってしまうと、2003年からどんどん減っていって、2008年のこの時に一念発起して次のページで説明する会がスタートしました。彼らがみんなで取り組みながら、大きく上がってきております。実はこの活動、今も続いている活動です。」

スライドが変わる。

スライド内容

  • タイトル:システム・チェンジに重要と思えるポイント
  • 本文:現場を牽引した人たち(岩本さんたち)の、あきらめず、長年取り組んできた努力の結晶ではあるが、いくつか重要な仕組みもあった
  • 本の表紙:タイトル「未来を変えた島の学校」、副題「隠岐島前発 ふるさと再興への挑戦」 、著者 山内道夫、岩本悠、田中輝美
  • 表紙右側に箇条書き:上から順に、
    1. 「隠岐島前高等学校の魅力化と永遠の発展の会」2008年3月25日
    2. 会長:海士町町長
    3. 会員:知夫村長、西ノ島町長、各町村の議長、教育長、中学校校長、島前高校長、PTA会長ら、25名
    4. 「隠岐島前高等学校魅力化構想」
      ・理念
      ・指標
    5. 魅力化チーム:岩本、浜板、吉元「できない言い訳ではなく、できる方法を考えよう」
    6. 岩本さん、タバコを買うようになった
    7. 魅力化推進協議会:実働部隊の連絡会
    8. 町村の関わり:
    9. 住民:ホームステイ、島親、食事、訪問者との対話
    10. 産業・企業:航船、漁業、酪農
    11. 寺:宿、合宿
    12. 町村:寮の建設
    13. OB・OG:PRやプログラム作りに参加

鈴木氏
「この詳細はこちらの本に書いてあるものですので、ぜひ、よろしければ見ていただけたらと思います。その本の中にまとめてある、どんな取り組みをしているのかということを書かれたものなんですが、これを、先ほどのカニアさんたちのコレクティブ・インパクトと合わせてみたいと思います。」

スライドが変わる。

スライド内容

  • タイトル:隠岐島前の事例とコレクティブ・インパクトを照らし合わせてみる
  • 本文:2011年のコレクティブ・インパクトの記事の前から、隠岐島でも行われていた
  • 以下、前のスライドに記載されていた箇条書き部分とコレクティブ・インパクトの5つのコツを矢印で繋ぎ、どの部分が対応しているか示している。
    1. 共通のアジェンダ=町長とはじめとした幅広いメンバー、構想、理念
    2. 共通の測定システム=指標
    3. 相互に補完し合う取り組み=町村の関わり(住民からOB,OGまで)
    4. 継続的なコミュニケーション=岩本さんタバコ買うようになった、魅力化推進協議会
    5. 活動をサポートするバックボーン組織=魅力化チーム

鈴木氏
「一番上にですね、ここに隠岐島前高校の魅力化と永遠の発展の会というものを作られて、そこには海士町や知夫村・西ノ島町からの町長さんとかが来ておりますし、教育長、中学校の校長、PTAの会長ら、皆さんいろんな方々が関わって一緒に作り、そこで指標も作っています。
ですから、共通のアジェンダを決め、共通の測定システムを決めました。
それから、実はここにチームがあってですね。岩本さん中心に、三人の人たちがフルタイムで一生懸命になって、この仕組みを動かしていこうとしている、まさにバックボーンだな、というふうに思います。それから、この岩本さんタバコ吸わないんですけどもタバコを買いました。なぜ買ったのかというと、連携するコミュニケーションのため、ということです。 そして、島の人たちということで、住民や企業、お寺さん、町、それぞれがやること全然違うことですね。ホームステイを受けたりですね、船会社は船で子どもたちを乗せて運ぶとか、いろいろとそれぞれ違うことをしながら、この目的のために取り組もうね、という形で動いてきているということがあります。
こういった形がコレクティブ・インパクトという形で、20年近くの活動で社会を変えている、村を変えている、という状況があります。」

スライドが変わる。

スライド内容

  • タイトル:社会の変え方の類型
  • 本文:コレクティブ・インパクトのコツを使って、社会システムを変える
  • グリッド:列表題上から、インプット、アウトプット、企業の取り組み方。行表題左から、応援、コラボレーション、コレクティブ・インパクト。
    以下、各グリッドの説明とその中の箇条書き。
    • グリッド1:インプット×応援。団体と共感する、応援メッセージ、NPOの寄付・寄贈、告知・広める
    • グリッド2:インプット×コラボレーション。団体の活動に参加(ボランティア、プロボノ)、共同イベント、プロジェクト、定期的な報告会
    • グリッド3:インプット×コレクティブ・インパクト。共通アジェンダの文面、共通のデータベース、測定指標、補完する異なる取組、継続的な対話・問題解決の会、フルタイムの運営チーム
    • グリッド4:アウトプット×応援。共感者、感謝、受益者
    • グリッド5:アウトプット×コラボレーション。プロジェクト目標達成、チーム感、仲間感、受益者
    • グリッド6:アウトプット×コレクティブ・インパクト。地域・社会の変化、人々の状態・行動変化、測定指標の継続的改善
    • グリッド7:企業の取り組み方×応援。事前活動
    • グリッド8:企業の取り組み方×コラボレーション。協力・協働活動
    • グリッド9:企業の取り組み方×コレクティブ・インパクト。共創(自らの未来を創る)

鈴木氏
「ですから、社会貢献の仕方っていろいろとあると思います。左側には、応援するということで、言葉で応援するのもあります。お金の寄付を提供して、応援するのもあるかと思います。 また、コラボレーションという形で企業とNPOが、とか、NPO同士が協力して取り組むということもあるかと思います。さらに、コレクティブ・インパクトという形で、多くのプレイヤーが5つのコツをうまく使いながらやっていって、地域や社会を変えていくということができるかと思います。これで見て分かってくるかなと思いますのは、コレクティブ・インパクトというものは社会を変えるために有効な手段かな、というふうに思います。」

スライドが変わる。

スライド内容

  • タイトル:コレクティブ・インパクトは社会を変えるために有効
  • 本文1:「社会」とは?=企業、市民、行政
  • 本文2:「変わる」とは?=行動が変わる、法律が変わる、考え・価値観が変わる
  • 本文の下に下向き矢印
  • 矢印下のテキスト:私たちが変わること。どの様な社会に変わりたいか?そのために、私には何ができるか?

鈴木氏
「社会とは何なのかそれは、企業であったり、市民であったり、私たちのような市民であったり、それから行政の方々、みんなが社会です。
これが変わる、変わるってどういうことなんだろうか。それは、行動が変わるとか、法律が変わるとか、価値観が変わるとか、そういった変化が起きている、ということだと思います。 ですから、コレクティブ・インパクトは何をすることか?
それは私たちを変えること、私たちが変わること。私たちが変わるときに、じゃあどんな社会になったらいいのかな、とか、そのために私は何ができるんだろうか、というふうに考えながら、さっきの5つのコツをうまく使いながら変えていけるといいかなと。そんなことで、コレクティブ・インパクトというのが、本質から私たちが私たちの社会を変えるため、それをお互いと協力して行うことこれがコレクティブ・インパクトの本質かなと思います。以上、短いところでしたが、コレクティブ・インパクトについて簡単にご説明させていただきました。」

壇上から降りる鈴木氏。

司会
「鈴木様、どうもありがとうございました」
【オーディエンスの拍手】

スライドが変わる。

▼登壇企業・団体の紹介

スライド内容
2. 登壇企業・団体の紹介
各社より子どもの格差解消への取り組みご紹介

司会
「では続きまして、第2部に移らせていただきます。
第2部では、本日ご登壇いただく2企業2団体の、子どもの格差解消への取り組みを紹介させていただきます。登壇企業・団体の皆様、壇上にお上がりください。」

5名の登壇者がオーディエンス前方の席から壇上へ上がる。
壇上の6脚の椅子に登壇者がそれぞれ着席する。
それぞれの前にはローテーブルがあり、マイクが置かれている。

【かすかな足音】

正面左から、登壇者の松見氏、渡辺氏、平岩氏、大萱氏、石野氏、そして鈴木氏の順番。(登壇者の所属や役職については、この後各々の自己紹介で詳細が述べられる)

スライドが変わる。

スライド内容

  • タイトル:各社取り組み紹介
  • 本文:株式会社三井住友フィナンシャルグループ サステナビリティ企画部 社会貢献グループ長 大萱 亮子
  • 本文左側に丸く切り取られた顔写真

司会
「それでは、まず初めに、株式会社三井住友フィナンシャルグループサステナビリティ企画部社会貢献グループ長、大萱様よりお話をお伺いできればと思います。お願いします。」

大萱氏
「ありがとうございます。皆様、本日お忙しい中お越しいただきましてありがとうございます。
株式会社三井住友フィナンシャルグループと、あと銀行の方でサステナビリティの企画をしております、大萱と申します。
私は主に社会貢献の総括をしておりまして…自己紹介、すみませんちょっとどれくらい皆さんがご用意されるのかわからなかったので、プライベートも含めてちょっといろいろ書いてしまったんですけれども。」

少しはにかみながら語る大萱氏。
【司会のかすかな笑い声】

大萱氏
「実は我々のCSRは、もともと経営企画の中の部内室というところに長らくありまして、私は実は、2017年頃に1回、CSRということで社会貢献メインにやっていました。ちょっとその後紆余曲折ありまして、3年ほどちょっと休職していまして、2021年に復職した時に、今のサステナビリティ企画部という部署になっていまして、部署が変わって本部ができた、ということで。
当時は、2017年頃って、もう10人ぐらいでCSRやっていたところが、今の我々のサステナビリティ企画部で40名、あとサステナブルソリューション部っていうお客様のサスナビリティを支援するような部署にも40名程度おりまして、総勢100名ぐらいのサステナビリティ本部というところが、兼務者も合わせているような、急に大所帯になってやることもすごく増えている、という感じです。
次のスライドお願いします。
私どもの方は、実は昨年の5月から新しく中期経営計画が始まりまして…」

スライドが変わっている。

スライドの内容

  • タイトル:新中期経営計画 基本方針
  • 本文:
    1. VISION=最高の信頼を通じて、お客さま・社会とともに発展するグローバルソリューションプロバイダー
    2. 質の伴った成長
  • 図表:円が3つ、花弁状に重なり、それぞれにメインテーマとサブテーマが書かれている。
    • 円1(上):社会的価値の創造、「幸せな成長」への貢献
    • 円2(左下):経済的価値の追求、Transformation&Growth
    • 円3(右下):経営基盤の格段の強化、Quality builds Trust

大萱氏
「それに合わせて重点課題っていうのも見直しをしております。タイミングが一緒だったということです。
主に我々の、次のページのサステナビリティのところにもつながるんですが、社会的価値の創造と、経済的価値の追求、あと、経営基盤の格段の強化というところを、大きな三本柱として掲げているんですけれども、こと私が担当しております社会貢献の分野では、この一番上の丸のところですね、社会的価値の創造、具体的には、幸せな成長への貢献ということで。これはですね、つい最近亡くなった社長の太田がすごく強い想いを持っておりまして、これが我々の、次ページ以降のところの施策にふんだんに出てくるという感じです。」

スライドが変わる。

スライド内容

  • タイトル:新たな重点課題(マテリアリティ)の選定
  • 副題:社会的価値の創造、「幸せな成長」への貢献
  • 以下、各分野の取り組みが箇条書きに記載され、現在の結果が補足されている。
    1. 環境:トランジションの支援を通じた脱炭素社会の実現、自然資本の保全・回復への貢献
      結果:サステナブルファイナンス取組額50兆円(上方修正)(20-29年度)
    2. DE&I・人権:従業員が働きがいを感じる職場の実現、サプライチェーン全体における人権の尊重
      結果:エンゲージメントスコア70以上維持
    3. 貧困・格差:次世代への貧困・格差の連鎖を断つ、新興国における金融包摂への貢献
      結果:マイクロファイナンス提供者数+80万人
    4. 少子高齢化:人生100年時代への不安解消、人口減少社会を支える利便性の高い基盤の構築
      結果:AM・外貨残高18兆円
    5. 日本の再成長:企業のビジネスモデル変革支援、イノベーション創出・新たな産業の育成
      結果:スタートアップ向けの投融資額1,350億円 M.
  • 箇条書き全体の右側に縦テキスト:さらに具体的なアクションプランを策定

大萱氏
「マテリアリティ、重点課題というのはこの5つというのを添えておりまして、いろいろあるんですが、特に社会貢献、経済的価値の見返りを求めないというところで取り組んでいるのが、貧困格差の解消。あと、DE&I・人権、といったところがメインです。
あと3つもあるんですが、こちらは結構ビジネスでも取り組めるところが多いということで、我々の社会貢献では、このDE&I・人権・貧困格差を主な取り組みとしています。」

スライドが変わる。

スライド内容

  • タイトル:当社における社会貢献の位置づけ
  • 本文:日本では「相対的貧困」の状態にある子どもは7人に1人。マザーマーケットである日本で当社が取り組める余地が大きいことから、特に貧困・格差の中でも貧困の連鎖を断ち切るべく、教育機会の提供を中心とした取組を積極的に推進
  • 表:具体的施策についての表。主要な取り組み、具体的な内容、マテリアリティ。上から順に、
    1. 金融経済教育:グループ共通コンテンツにより小学生~社会人まで幅広い層に正しい金融知識の習得を支援、少子高齢化
    2. SMBCプロボノ・ワーク:社会課題の解決に向け、NPO等へ社員を一定期間派遣(就業時間の一部活用可)、DE&I (プロボノ・ワークについては全て赤い点線で囲まれ強調されている)
    3. SMBCグループライジング基金:有志の役職員(約7千名)からの毎月の給与天引による積立募金、貧困・格差
    4. 教育機会の提供:企業・NPOと連携した教育機会創出、学習支援、貧困・格差(教育機会の提供については全て赤い点線で囲まれ強調されている)
    5. 国際協力財団:アジアから日本の大学院で勉強する留学生支援、貧困・格差
    6. ボランティア・イベント:社員参加型の各種イベントや活動の企画、該当なし

大萱氏
「具体的な施策としましては、こちらの方に掲げている通りなんですけれども。今日、主にご説明させていただくのが、この緑がかった赤い線のところですね。教育機会の提供ということで、NPOさんとの連携、共同の取り組みについて、また後ほどご説明させていただけたらと思っています。以上です。」

司会
「大萱様、どうもありがとうございました。」

スライドが変わる。

スライド内容

  • タイトル:各社取り組み紹介
  • 人物紹介1:認定特定非営利活動法人キッズドア理事長 渡辺由美子
  • 人物紹介1:執行役員 松見幸太郎
  • それぞれの顔写真。

司会
「では、続きまして、認定特定非営利活動法人キッズドア、理事長渡辺様、お願いいたします。」

渡辺氏
「はい、ありがとうございます。キッズドアの渡辺です。スライドを使ってご説明させていただきます。次お願いします。」

スライドが変わる。

スライド内容

  • 上部に認定NPOキッズドアのロゴ。
  • 本文:わたしたちキッズドアは、貧困に苦しむ日本の子どもたちの社会へのドアを開けるべく、多くの大学生・社会人ボランティアと共に、子どもの教育支援に特化した活動を展開しています。
  • 団体概要:認定NPO法人キッズドアhttp://www.kidsdoor.net (右側にQRコード)
  • 勉強をしているメガネをかけた子どもの写真。その上にキャッチコピー「すべての子どもが夢や希望を持てる社会へ」
  • 理事長 渡辺由美子のプロフィール。
    1. 2007年任意団体キッズドアを立ち上げる。
      2009年特定非営利活動法人キッズドアを設立。
    2. 内閣府こども家庭庁こども家庭審議会こどもの貧困対策・ひとり家庭支援部会臨時委員
    3. 内閣府子どもの未来応援国民運動発起人
    4. 厚生労働省生活困窮者自立支援及び生活保護部会委員
    5. 全国子どもの貧困・教育支援団体協議会副幹事
    6. 著書:子どもの貧困 未来へつなぐためにできること(水曜社/2018年5月)
    7. 右側に著書の表紙。

渡辺氏
「キッズドアというのは、日本の子どもの貧困ということに最初から焦点を絞って活動を開始した団体です。
2009年にNPO法人格を取ってやっているんですけれども、要は、多くの大学生とか社会人ボランティアの方々と一緒に子どもの教育支援をしながら、子どもたちを元気にしていきたいというふうなことをやっております。
次、お願いいたします。」

スライドが変わる。

スライド内容

  • タイトル:2009年に初めて貧困率を公表 → 新しい社会課題
  • 本文:日本の子どもの相対的貧困率は、先進国の中で上位、日本にも満足にご飯が食べられない子どもがいます。
  • 下部:2023年最新発表 国民生活基礎調査の結果をイラストを交えて示している。
  • イラスト1:8人の子どものイラストで、一人以外はグレーのシルエット。
  • イラスト1補足:11.5%。2018年調査より若干改善するも実態は厳しい状況。
  • イラスト2:親子のペアが2組で、内1組は色を薄くしている。
  • イラスト2補足:44.5%。ひとり親家庭の貧困率はOECD加盟34カ国中1番(2018年時点データ)

渡辺氏
「子どもの貧困率11.5%というふうなことで、今でもおよそ9人に1人がかなり厳しい状況ですし、日本で言いますと、本当にひとり親家庭9割以上が母子家庭ですが、シングルマザーの貧困というふうなことが非常に大きな課題になっております。次、お願いいたします。」

スライドが変わる。

スライド内容

  • タイトル:学習支援=自立する力をつけることで貧困の連鎖を切る
  • 図表1:貧困の連鎖を示す矢印円。以下、起点から、
    1. 親の収入が少ない
    2. 十分な教育が受けられない(上記との間にチェックマーク)
    3. 進学、就職で不利(上記との間にバツマーク)
    4. 収入の高い職に就けない
    5. 子ども世代も貧困に
    6. 矢印で起点へ戻る
  • 図表2:貧困の連鎖から脱出を示す終点が外へ向かう矢印円。以下、起点から、
    1. 親の収入が少ない
    2. 無償教育支援
    3. 希望を持って高等教育へ(ここから別の矢印が一個前を指し”[ガクボラ]でボランティア”と記載。支援を受けたこどもが成長し下の世代を支援するサイクルを示す)
    4. 社会に貢献する人材へ
    5. 貧困の連鎖から脱出!

渡辺氏
「私どもとしてはですね、今回も子どもの格差解消ということですが、日本では教育格差といってご家庭の所得が少ないと、お子さんの学力が非常に低くなってしまうという問題があって、親御さんがお金があると、それに比例して子どもの学力も上がる、というふうなことで、それがどうしてもお子さんの進学とか就職につながってしまって、貧困家庭のおうちに生まれるとお子さんがどうしても貧困になりやすいという、貧困の連鎖がございますので、それをどうにかなくしていきたいと。
NPOですので、お金を配って貧困を解消することはできないんですけれども、教育の部分ですね、十分な教育を受けられないというところに、さまざまな、本当に強化学習だけではなくいろんな教育を、ボランティアの方とかいろんな方々にご協力いただいてすることで。本当に、子どもたちが希望を持って高等教育…高校に進んだり、大学に進んだり自立をしたり、就職をしたり、というふうなことができないか。ということでやっている団体です。
次、お願いいたします。」

スライドが変わる。

スライド内容

  • タイトル:キッズドアのさまざまな支援活動
  • 写真1:学習支援(小学生数人が勉強するのをそれぞれ年上の学生が寄り添いサポートしている様子)
  • 写真2:家庭支援(食糧支援を受けている笑顔の子どもの様子。お米などが置かれている。)
  • 写真3:体験活動(浜辺で片手を掲げて立つ10人の子どもたち)
  • 写真4:政策提言(発言をする渡辺氏の様子)

渡辺氏
「主にやっていることとしては、この学習支援ということで勉強を教える、ということがございますし、あと家庭の支援ということで、今家庭も大変なので食料品を配ったり体験活動をしたり、政策提言をしたりというふうなことをしております。次、お願いいたします。」

スライドが変わる。

スライド内容

  • タイトル:キッズドアの活動は、①子ども ②家庭・保護者 ③全国の団体や企業 ④社会全体 の4領域に広がっています。
  • 図表:キッズドアを中心とした4つのグリッド。
  • グリッド1:子ども
    • 学習支援・居場所支援:教科学習・受験対策、検定対策・食事提供 ・不登校の子どもの支援、海外ルーツの子どもの支援 ・児童館運営・オンライン学習・アウトリーチ、キャリア教育・体験活動
    • 学習支援:84か所2,030人、体験・キャリア 262回4,470人
  • グリッド2:家庭・保護者
    • 物資支援:食料、日用品、文房具等
    • 情報支援:各種支援情報の配信 オンラインイベント開催
    • 就労支援:オンライン講座、個別相談会、企業相談会
    • ファミリーサポート:登録3,142世帯、子どもの数 5,363人
  • グリッド3:パートナー
    • パートナー支援
      • 学習支援者育成・フォローアップ・担い手の支援活動のサポート(助成や伴走等)
      • コレクティブ・インパクト
      • 文京区こども宅食・ゴールドマン・サックス大学 受験奨学金
      • 「深刻化する『コロナ学習格差』緊急支援事業」
    • ネットワーク団体129団体
  • グリッド4:社会
    • 調査:子どもや保護者へのアンケート調査等
    • アドボカシー:記者会見等の実施 講演会・座談会等への出席・メディア掲載、寄稿
    • ロビイング:政府委員会での意見表明 議員連盟や勉強会での要望
    • メディア掲載181回

渡辺氏
「規模としては、本当に、おかげさまでたくさんの子どもたちを見ることができておりまして。
今やっているものとしては、お子さんへの支援、また、家庭と保護者への支援。また、パートナー支援ということでは、私どものノウハウを少し使っていただける、同じような日本全国の志がある団体さんにノウハウをお伝えしたりですとか、今日お話しするコレクティブ・インパクトというふうなところで新しい取り組みをしたり、社会に向けて記者会見をしたりとか、そんなことをしております。次、お願いします。」

スライドが変わる。

スライド内容

  • タイトル:数字でわかる2022キッズドア
  • イラストや円グラフを交え数字をわかりやすくレイアウトされたもの。
  • 生徒数合計 2030人、内、小学生237人、中学生862人、高校生世代931人
  • 大学・短大・専門学校合格者数(延べ) 124人
  • 高校進学者数 216人
  • 年間学習会開催回数 6688回
  • ファミリーサポート物資&情報&就労支援対象者数(延べ) 317869人
  • ご協力いただいた企業や団体 251社・団体
  • ボランティア人数 1384人
  • メディア掲載数 181回
  • 教室数 84ヶ所

渡辺氏
「本当にですね、これが最後になりますが、キッズドアはおかげさまで、今、生徒2,030人ぐらいで、特にうちの特徴としては、高校生とか中退した方とか、浪人生とかそういった方たちをたくさん支援をしたりすることも含めて直接にやっております。
また、オンラインの学習支援みたいなところではだいぶ全国の支援も広がってきましたし、もう一つ、ご協力いただいている企業や団体が251社・団体となっております。本当に1人ではとても、1団体ではできないところを、たくさんの方々にご協力いただいております。
本当に今日も、たくさんの企業さんがいらしていると思いますが、まだまだ、子どものところでは企業の力が必要ですし、キッズドアだけではなくて、本当に今日もたくさんの団体さんもいらっしゃっていますけれども、すごく素敵な団体、素晴らしい活動をしている団体が子どもたちのために、格差解消のためにやっておりますので、ぜひ、そういったことがつながればいいなというふうに思っております。はい、以上です。」

司会
「渡辺様、どうもありがとうございました」

スライドが変わる。

スライドの内容

  • 各社取り組み紹介
  • 人物紹介:ソニーグループ株式会社サステナビリティ推進部CSRグループゼネラルマネジャー 石野正大
  • 顔写真

司会
「続きまして、ソニーグループ株式会社サステナビリティ推進部CSRグループゼネラルマネジャー、石野様、よろしくお願いいたします。」

石野氏
「はい、ソニーの石野です。よろしくお願いします。」

スライドが変わる。

スライドの内容
タイトル:教育格差縮小に向けた取り組み「感動体験プログラム」
-For the Next Generation-

石野氏
「私からは、こちらに書いてある教育格差縮小に向けた、我々がやっている感動体験プログラムというものについて、事例としてご紹介させていただければと思います。」

スライドが変わる。

スライドの内容

  • タイトル:感動体験プログラム -プログラムの概要-
  • 本文:2018年より、国内の教育格差縮小に向けた取り組みとして「感動体験プログラム」を開始。NPO等の外部団体との連携のうえ、小学校の放課後、地方・離島などの遠隔地、子ども食堂などにおいてソニーグループのテクノロジーやエンタテインメントを生かしたSTEAM※分野の多様なワークショップを子どもたちに提供。2022年度末までに7,800名以上にワークショップなどを提供。
  • 副題1:ソニーグループの技術・コンテンツを活用したSTEAM領域のワークショップ
    • 副題1の関連写真:子どもたちが笑顔でさまざまな体験(ソニーのテクノロジーツールを含む)をしている様子。
    • 副題1の補足文:プログラミングやアニメ制作などのワークショップを対面およびオンラインで提供
  • 副題2:NPO等とのパートナーシップによるワークショップの提供
    パートナーと展開場所のリスト
    A) 放課後NP0アフタースクール:学校外教育として教育格差が生じやすい小学校の放課後
    B) プロフェッショナルを全ての学校に:都市部との体験機会の差がある地方や離島の小学校
    C) 「子ども食堂」運営主体:経済的困難な子どもを含む地域の人々が集う子ども食堂
    D) 日本財団:経済的ハンデや発達特性など、さまざまな課題に直面している子どもたちが通う子どもの第三の居場所
    E) Chance For All:ひとり親世帯や経済的困難な子どもをサポートする学童

石野氏
「こちらの感動体験プログラムですけれども、先ほどから、冒頭からもですね、子どもの格差というもののデータなど出てきていますけれども、その中でも我々はですね、体験の格差、ここに着目してこのプログラムをやっています。
具体的にはですね、ソニーグループの技術・製品…コンテンツなどですね、そういう我々多様なアセットを持っていますので、それを活用してですね、特に子どもたちの体験の格差が生じやすいというふうにされている小学生の放課後の時間であるとか、あるいは地域的なものですね、地方とか離島といった子どもたちに対して体験を届けていくためのワークショップ、例えばプログラミングであったりミュージカルの体験であったりみたいな、そういうワークショップを提供するということが我々の特徴になっています。
もう一つの特徴としては、ここに書いてあるように、放課後NPOアフタースクール様をはじめとした外部の団体と協力して、こういう体験を全国にお届けしているというのがもう一つの特徴になります。はい、次、お願いします。」

スライドが変わる。

スライドの内容

  • タイトル:感動体験プログラム -単発プログラム/長期プログラムの概要-
  • 本文1:単発プログラム
    A) 1つの拠点に1種類のワークショップを提供(ここの拠点とは、小学生の放課後を対象とした活動を行っている団体の拠点を指す)
    B) より多くの拠点に体験機会を届け、子どもが新しい体験を通して、楽しいと思ったり、得意な分野を見つけるきっかけづくりを促進
  • 本文2:長期プログラム
    A) 1つの拠点に約半年間のうちに継続的に複数のプログラムを提供
    B) 児童向けのプログラムに加えて、拠点運営の質的向上を目指し、拠点のスタッフ向けの研修会「大人対話会」も併せて実施
    C) 拠点の自律的・持続的な体験活動実施を促進
  • 感動体験プログラムの関連写真(前のスライドと同じもの)
  • ワークシップの様子の写真(aiboを用いたプログラミングの様子。端末を手に熱心に何か模索している子や笑顔の子など)
  • 大人対話会の様子の写真(スタッフが4人机を囲んで和気藹々とした様子で何か話し合っている様子)

石野氏
「今ですね、アフタースクール様と一緒にやっているプログラムの中では、単発プログラムと長期プログラムというふうに我々呼んでいまして、2つあります。単発プログラムの方は1つの、例えば学童の拠点とかに行ってですね、1回か2回のプログラムをやります。プログラミングであるとかその中でですね、子どもたちがこれは楽しいとか、あるいはこれは自分が得意なんじゃないかというような形で、子どもたちの新しいきっかけ作りみたいなところにつながればというようなプログラムを、全国対象にやっています。
もう一つの長期プログラムは数は多くないんですけれども、代わりに一つの拠点に対して半年間継続的にですね、複数のプログラムを提供する、ということをやっています。プログラムの内容は同じようなものでも、回数を同じところでやっていく、というところです。
それに加えてですね、こちらの長期プログラムの場合はですね、拠点を運営しているスタッフの方との対話というような、研修のようなこともやっておりまして、それによって、我々が体験提供して、プログラムが終了した後も、継続的、それから自立的にそういう体験の機会というのを子どもたちに提供していくようなことができるのではないかと、そういう支援を行っています。 ここにおいては、我々社会的インパクト評価というのもやっておりまして、長期的に、継続的に、複数のプログラムを子どもたちに提供することで、想像力であるとか、好奇心であるとか、そういうのにつながるような非認知能力に向上がみられるという結果がみえている、というふうに考えています。
課題としては、どうしてもこの体験にフォーカスを絞っていまして、それはもちろん我々の強みであるとかそういう部分を考えてはいるんですけれども、そこに一つ、フォーカスがしっかり当たっているというところで、格差全体にというところでは今ないですね、ということと、あと、どうしても全国でやっていますと言っても、一社でやっていることですので数に限りがあるというところで、より仲間作りをして広げていかないと、これ以上のスケールというのはなかなか難しいのかなと、その辺が課題というふうに考えています。私からは以上です。」

司会
「石野様、どうもありがとうございました。」

スライドが変わる。

スライドの内容

  • 各社取り組み紹介
  • 人物紹介:特定非営利活動法人放課後NPOアフタースクール代表理事 平岩国泰
  • 顔写真

司会
「それでは最後に、特定非営利活動法人放課後NPOアフタースクールより平岩代表理事、お願いいたします。」

オーディエンスへ会釈する平岩氏。

平岩氏
「ただいまご紹介に預かりました、平岩でございます。今日は皆様、本当にありがとうございます。
私もちょっと今日は、ソニーさんと一緒にという会の立場でございましてですね、主に、自分の立場のお話もあるんですが、全体うまくですね
まとまるようにという立場で、いわゆる送りバントするような立場で来たかなと思っているんですけども、真ん中の席になっちゃってですね。」

【会場の笑い】

スライドが変わる。

スライド内容

  • タイトル:日本中が子どもたちを応援する社会へ
  • 放課後NPOアフタースクールのロゴ

平岩氏
「このセンターに、今、震えながら話しております。すみません、私がセンターで。」

スライドが変わる。

スライドの内容

  • タイトル:組織のビジョン「放課後はゴールデンタイム」
  • その背景一面に写真。子どもたち数人集まる空間で、中央の子どもたちが何かに興味を持って笑顔で身を乗り出している様子がアップになっている。

平岩氏
「ということでですね、組織のビジョン、放課後はゴールデンタイム、小学生の放課後を支援する活動をさせていただいております。」

スライドが変わる。

スライドの内容

  • 上部に放課後NPOアフタースクールのロゴ
  • 3つの活動項目とそれぞれの関連写真と補足。左から順に、
    1. アフタースクール:小学校施設を活用したアフタースクールを21校開設(小学生5人が校庭のような場所で笑顔で肩をくむ写真)
    2. 開発:自治体と協働した日本全国の放課後活性化支援(前のスライドの子どもの写真)
    3. ソーシャルデザイン:企業と連携した教育活動を全国に200社以上と協働 (ソーシャルデザインの項目は点線で囲まれ強調されている)
  • 下部に受賞歴:
    1. 東京都女性活躍推進大賞 東京ライフ・ワーク・バランス認定企業
    2. グッドデザイン賞4回、キッズデザイン賞5回受賞
  • 下部左側に大勢のスタッフの集合写真。
  • 写真に吹き出しで補足:2009年法人設立(代表理事:平岩 国泰) スタッフ数330名(常勤スタッフ95名)

平岩氏
「皆さんは今何時だか分かりますか?午後4時を指しておりますが、ちょうど今が放課後の時間ですね、この時間に、子どもたちがどんな過ごし方をして、どんな体験をしてということをですね、応援したいというふうに思っております。
ちなみに皆様、自分の体温が何時ぐらいが一番高いかって話を聞いたことありますか?朝が一番低いわけですよね、朝低いですよね。そこからですね、実は今4時が一番高いんだそうです。一番この時間がですね、体のパフォーマンスにはいい、というのが人間が獲得した生態リズムだそうで。この時間にやっぱり、しっかり体を動かしておくと、夜ぐっすり眠れていて、4時が最高ですので。今、実は皆さん一番高い状態にありますので、今までもしかすると、4時頃からそろそろ流すかと思った方もいらっしゃるんじゃないかなと思うんですが、ここから高いということを今日覚えていただければと思います。
すみません、ちょっと早くしろって、司会が横からですね。」

チラっと司会のほうをみる平岩氏。
【司会の笑い声】

平岩氏
「私ども、活動を3つしておるんですが、今日は主に、このソーシャルデザインというですね、活動を紹介したいというふうに思っております。」

スライドが変わる。

スライドの内容

  • タイトル:ソーシャルデザイン
  • 本文:企業の資源×私たちの活動ノウハウ。全国の子どもたちに生きた教育が行き渡る。
  • 図表:“企業”“放課後NPOアフタースクール”と書かれた円から手が出て握手している。その周りにそれぞれ小さな円が放射状に広がり、点線で一つずつつながっている。関係性の図。
  • 企業革は、社員、クライアント、株主、投資家、ビジネスパートナー。
  • 放課後NPOアフタースクールからは、地方自治体、行政、学校、教育委員会、学童、放課後子ども教室、子ども/子ども支援室、専門家、市民ボランティア、他NPO、企業。その外にさらに矢印で広がりを示し、”日本全国の子どもたち(小学生〜高校生)”と囲むように書かれている。

平岩氏
「ソーシャルデザインはですね、今現在は企業さんと組んでこの企業さんの資源を全国の子どもたちに教育プログラムとして届けていく、ということでございます。」

スライドが変わる。

スライドの内容

  • タイトル:いつもの学童クラブがワープ空間に。-感動体験プログラム Warp Square
  • タイトル下一面に写真。部屋の壁に投影された東南アジアの市街地の様子。それを見て口を大きく開けて驚く子、口に手を当てて驚きを隠しきれない子、壁に目が釘付けになっている子などの様子。

平岩氏
「この代表的な事例が、先ほどから出てきたソニーさんと組んでやらせていただいている感動体験プログラム。これ、Warp Squareという名前だったんですけれども。
すみません、息が合ってなくて。
この空間ごとですね、ワープしたような技術をソニーさんと使ってですね。これは、学童クラブでやったんですけれども、空間ごとボーンとワープしたような瞬間の写真。この写真、僕すごく好きで、いろんなところで使っているんですけど。真ん中の男の子、感動していますよね。決して寒い日ではなかったんですけど、この震えんばかりの。後ろの女の子も、そっと内に秘めるタイプかなと思いますけれども、明らかに感動している。
こんな体験をですね、ソニーさんと作らせていただいておりまして、いろんな種類のプログラムがこれ以外にもあって全国に届けさせていただいている、という形でございます。 他にもありましてカゴメさんと、例えば野菜のプログラムというのをやっていたり、あるいはこれは、あんしん財団さんというところと組んで、全国の伝統工芸の職人さんが福島で一堂に会してですね、子どもたちに伝統の技を伝える、というようなことをやっていたり。」

スライドが変わる。

スライド内容

  • タイトル:こどなBASE(ロゴ) 子ども×大人でつくる、滋賀の未来。
  • 本文1:目指す姿=持続可能な滋賀に向けて共創していく子どもと大人(企業)
  • 本文2:事業スキーム=滋賀の企業が滋賀の子どもたちに!
  • 相互関係を示す図:サステナブルな取り組みを推進する企業は、体験プログラムの実施により子どもに持続可能な滋賀を支える仕事を伝える。子どもを見守る現場は、子どもと次世代の価値観との出会いによるサステナブルマインドを醸成する。その中央でそれぞれを繋ぐこどなBASE。
  • 本文3:地域企業と子どもたちの居場所をつなげるプラットフォーム “行政×NPO×地域の企業”

平岩氏
「あるいは、今ですね、こどなBASEでの滋賀県さんと始めたんですけどこれは、今まで割と大手の企業さんを紹介してきましたけれども、滋賀県にいらっしゃる、いろんな企業さんが滋賀県の企業が、滋賀県の子どもたちに何か活動を届けるという活動をですね。県の皆さんと一緒にやる、一つのコレクティブ・インパクト的な事例かなと思いますが、これも始めさせていただきました。はい、ということでですね。いろんな企業様と、これを組んで届けるという活動をしているのが、ソーシャルデザインチームというところになります。
ここが、デザインしたい社会というのは…」

スライドが変わる。

スライドの内容

  • タイトル:「社会で子どもを育てる」。日本中が子どもたちを応援する社会をデザインする
  • タイトル下一面に写真。屋外の芝の広場で、元気よく飛び跳ねるような動きをしている、数十名の低学年の子どもたち。みんなが笑顔で何かを見ている。

平岩氏
「まさに、この社会で子どもを育てる。よく日本では使ってきた言葉なんですが、ちょっと今、これが時代的には薄れてきているかな、と思うので。日本中が子どもたちを応援しているような社会、これがですね、私たちがデザインしたい社会ということで。
企業の皆さんというのは、大きな力を持っていますので、一緒になって、それを巻き込みながらやっていく、ということでですね。」

“放課後はゴールデンタイム”と書かれた最初の方のスライドが表示される。

平岩氏
「放課後はゴールデンタイムということで、この時間ですね、まさにこういう輝く子どもたちの笑顔の時間にしたくて頑張っているという組織でございますので、本日どうぞよろしくお願いいたします。」

スライドが変わる。

スライド内容
3. パネルディスカッション

司会
「平岩さん、どうもありがとうございました。
改めて、ご登壇の皆様、取り組み事例の紹介をありがとうございました。
ここからは、第3部といたしまして、パネルディスカッションに移りたいと思います。
ここからの進行は、モデレータの鈴木様にお願いいたします。どうぞよろしくお願いいたします。」

▼パネルディスカッション①

鈴木氏
「ありがとうございます。それでは、まずはこのコレクティブ・インパクトという流れで、キッズドアさんの方からですね、どのような取り組みをしていらっしゃるか、一つ事例を紹介していただけますか?」

スライドが変わる。

スライド内容
パネルディスカッション① 文京区こども宅食の事例から

渡辺氏
「はい、ありがとうございます。最初にですね、松見が横にいるんですけど、すみません、私、今日どうしてもですね、途中で抜けなければいけないんですけれども。松見は、私の右腕でずっと一緒にやっていて、これからお話しする文京区こども宅食も、松見がずっと最初からやってきたものですので、ぜひ一緒にお話を。後半は松見を送り出しますので、よろしくお願いします。 ということを言いながら、スライドをお願いいたします。」

スライドが変わる。

スライドの内容

  • タイトル:事例紹介「文京区こども宅食」
  • 本文:文京区こども宅食とは。誰にも相談できず、孤立してしまい、追い詰められてしまい、病気や育児うつ、虐待になってしまう…。そんな家庭を救いたいという思いから2017年に東京都文京区で開始。
  • 図表:大きな一つの枠と、その構成要素が下に3つ並ぶ。
    • 大枠=文京区子ども宅食。さまざまな形で困り事を抱えている子育て中のご家庭に、周囲に知られない形で、定期的に食品や生活用品を届ける事業。
    • 構成要素1:家庭とつながる
    • 構成要素2:関係性を築く
    • 構成要素3:変化を見つける
  • 図表右側にデータを示す。
    • データ1:アンケートで“DVがある”と回答した家庭=10家庭
    • データ2:リスクが高いと考えられる家庭=11%

渡辺氏
「文京区こども宅食というのは、簡単に申し上げると、文京区にいらっしゃるひとり親家庭ですとか低所得の子育て家庭に、食料品を手渡しでお届けする、というふうな事業になります。これ、ぱっと見ちょっと、要は貧困家庭に食が大変だから食を届けるんでしょって思いがちなんですけれども、狙いとしてはですね食品を届けることでご家庭とつながって、要は重篤化を防ぐと。 子どもの貧困の特徴として、貧困家庭は最初は経済的な問題なんだけれども、そこから先、親御さんの例えばうつになってしまうだとか、お子さんがヤングケアラーになってしまうだとか、お子さんが不登校になってしまうとか、いろんな課題につながっていく。そういう重篤化を防ぐためにも。なるべく早くつながって声を上げていただくと。なので、家庭とつながる、関係性を築く、変化を見つける、こういったことを目指している事業でございます。
次、お願いします。」

スライドが変わる。

スライド内容

  • タイトル:文京区こども宅食での取り組み
  • 本文1:文京区内の子どもがいる経済的に困難な家庭に定期的に食品を届ける官民連携事業。そして、食品の配送をきっかけに、子どもとその家庭を必要な支援につなげます。
    A) チャリティやフードロス対策として食品をご寄付頂いています(食料品が積まれている写真)
    B) 運営資金はふるさと納税で賄っています(文京区子ども宅食のロゴ)
    C) 西濃運輸にて食品仕分け・梱包を行っています(キャップハットを被った数人が仕分け梱包をしている写真)
    D) 2ヶ月に1回、米や飲料、お菓子などを中心に約10kgを配送します(配送している人物の写真)
  • 本文2:こども宅食の特徴
    A) 自治体と民間セクターでコンソーシアムを形成
    B) ふるさと納税を活用
    C) LINEを活用
    D) 社会的インパクト評価システムを実装

渡辺氏
「仕組みとしてはですね、要は、食品を届けているんですけども、食品を全部購入すると大変なので、たくさんの企業さんにご協力いただいて、食品はご寄付をメインに集めています。ただ、バランスからいって、もうちょっとこういうものがあった方がいいよねっていうものは購入をして届けています。それをですね、ふるさと納税を使ったお金を使いながらどんどんと届けている、というふうな活動です。次お願いします。」

スライドが変わる。

スライド内容

  • 一面に食料品がアップになった写真
  • 写真に重ねてタイトル:1回あたり配送量、8kg以上

渡辺氏
「一回あたりですね、8キロぐらいの食品を届けようということで、お米ですとか、油ですとか、お菓子買えないのでお菓子とか、そういったものを届けております。次、お願いします。」

スライドが変わる。

スライド内容

  • 一面に写真。配送する人物とそれを対面で受け取る人物の背中。
  • 写真に重ねてタイトル:配送頻度、2ヶ月に1回

渡辺氏
「このようにですね、手渡しでココネットさんという企業の方が行っています。この時に渡すだけじゃなくて、できるだけそのお母さんと話すと。どうですか最近?とかですね。そういうお話をちょっと聞いてくるとか、玄関でお届けするので、中を見て大丈夫かなって。ゴミ屋敷みたいになってないかなとか、そんなこともちょっと見たりとかするっていうのが重要ですし。次、お願いいたします。」

スライドが変わる。

スライド内容

  • 数冊の絵本が置かれている写真
  • JFAのロゴ
  • バレーボールの試合の写真
  • 音楽ホールでオーケストラが演奏している写真
  • 写真に重ねてタイトル:食品以外 体験・機会もお届け

渡辺氏
「最初は食品だけだったんですけれども、この活動をして、いろんなところからこういうのはどうですか?っていうことで、生活用品とか、絵本だとか、そういったものも一緒に届けるようなことがございますし、今、本当に体験というふうなところでは、スポーツの試合にご招待いただくだとかですね、コンサートにご招待いただくとか、そういったことにも広がってきている、というふうな活動です。
次、お願いします。」

スライドが変わる。

スライド内容

  • タイトル:文京区こども宅食コンソーシアム
  • 本文:7団体からなる「文京区こども宅食コンソーシアム」。互いの強みを活かすことで、食品を配送するための体制を構築。コレクティブ・インパクト手法を用いたイコールパートナーシップ。
  • 図表:文京区こども宅食のロゴを囲むように、以下の団体や企業のロゴが円になっている。時計回りに、
    文京区、Florence、jfra(日本ファンドレイジング協会)、村上財団(個人寄附等ファンドレイジング)、RCF(Revenue as Coordinator for Future 食品等の提供企業等の開拓、交渉等アドバイザー)、認定NPOキッズドア(配送物のロジスティック全般)、ココネット(西濃運輸グループ、食品の配送&配送スタッフによる見守り)

渡辺氏
「このようにですね、特徴は文京区さんが入っているということで、文京区の行政が入りながら、他に私どものキッズドアですとかフローレンスさんというようなNPOとか、RCFさんが入っていたりとか、インパクト調査をするのにジャフラさんが入っていたり、ココネットっていう企業さんですね、西濃運輸さん系の配送してくださる企業さんが入っているというふうなことで、多様な団体が入っているということが特徴です。はい、私一旦以上です。」

鈴木氏
「ありがとうございます。そうしますと、これは企業や自治体、そしてNPOなども絡んで一緒になって取り組んでいる、ということだと思いますが、こういった、コレクティブ・インパクトを一緒になってやっていこうということにおきまして、先ほど申し上げましたけども、目指す社会というものが何なのか、というものを明確になっているのが大事かな、というふうに思いますが、その点はいかがでしょうか?」

スライドが変わる。

スライド内容
パネルディスカッション①:どんな社会の変化を目指していますか?

渡辺氏
「はい、ありがとうございます。これ、目指す社会というのは、先ほども申し上げたように要は、貧困のご家庭が社会の中から孤立をしない、というふうなことです。
困った時にすぐに声を上げられて、課題が重篤化しないというふうなことを目指しています。本当に、これを決めるためにも結構いろんな議論を重ねてですね、私たちはずっと子どもの貧困をやっているので、そういう課題があるんですよ、というふうなことがわかっていますけれども、そうじゃない企業さんとかからしたら、そういうことが問題なんですか?食品を届ければいいんじゃないんですか?みたいなところから始まってですね。
そういったことを、本当に長い時間議論を重ねて、ロジックモデルというものを作って、ここを目指すんだ、とか、そういうふうなことをしながらやっていました。」

鈴木氏
「ありがとうございます。今、ロジックモデルという形が出てきましたけれども、他に、この企業さんとか自治体とかだいぶ違うバックグラウンドの人たちと一緒にやる中で、どのようなコミュニケーションをして、あるいは共有の仕方をされていらっしゃいますか?」

渡辺氏
「一つはですね、やっぱりなかなか目指すものが明確になっていないと難しいので、プロジェクト憲章というものを作りました。このプロジェクトでは、こういう社会を目指すんだ、っていうことを作る。これを、本当にずっと議論を重ねてやってきたというふうなことが一つあります。
それがちゃんとできているかとか、やっぱり運営に当たってもいろんなことが出てくるので、ようやく少し減ってきましたけれども、本当にですね、去年ぐらいまでは毎月一回、各団体とか構成員の代表者が来て意思決定会議というようなですね、会議をしたりですとか、その下で、実務担当者は月に二回ぐらい実務の話をするというふうなことで。コレクティブ・インパクトって、いろんなセクターの方が入ってものをやるためには、たくさんの議論といいますか、そういうヘッドコストみたいなことがすごくかかるなと思っています。」

鈴木氏
「ありがとうございます。そうしますと、目指す社会というところを、このプロジェクト憲章という形でやって、それから各団体のリーダーの皆さんが月一で集まって、それから実務課の人たちが二週にいっぺんぐらいのペースで集まってよくコミュニケーションしてやっていらっしゃるというところですね。もう一つは指標という話もあったと思いますけども、ゴールとかを決めたりしてやっていらっしゃるんですか?」

渡辺氏
「そうですね、毎年ちゃんとプロジェクト憲章の目標に至っているのか、ということで、インパクト測定ということをやっています。インパクトレポートもつくって、私たちの目指す社会に向かっているのかということを、みんなが確認をするということがすごく重要だなと思います。」

鈴木氏
「ありがとうございます。この、少しさっきのコメントで気になったところが。
結構頻繁に議論しなくちゃいけないんですよ、というようなお話をされたと思うんですけども、やはり、ここはすり合わせをしたり意識を合わせるのは難しいところだったんでしょうか?」

渡辺氏
「そうですね。例えばですね、行政の方が入ってくださって、ものすごくいいんです。本当にいいんですけれども、やっぱ文化は全く違うので。
例えば、一緒にやるために情報ツール何使いましょうかっていうのを、例えばチャットワークはどうですか?というと、うちではチャットワークは使いません、みたいな話になって。じゃあそこだけはメールでやるのか、とかですね。私たちの規模感のNPOで言えば、その場で見て代表者が来ているから、じゃあそれでいいんじゃないの?いいと思います!って決められることが、やっぱりなかなかそういうことは難しいので、持ち帰って、一回庁内で本当に揉んでいただいて戻していただくとかですね。やっぱりそういったところで目指すところもありますし、さまざまな団体の社風といいますか、そういったところの背景もあるな、というふうには思います。」

鈴木氏
「ありがとうございます。こうやってやってきた取り組みですけれども、今後、どのような展望を持っていらっしゃいますか?」

スライドが変わる。

スライド内容
パネルディスカッション①:今後の展望は?

渡辺氏
「はい、ありがとうございます。本当にですね、おかげさまで、文京区子ども宅食はものすごく良い事例としてできてきて、私たちもやりながら一つはほぼ完成形になっているかな、と思っています。
非常にいいモデルなんですよ、貧困家庭が孤立をせずに地域とつながっていくっていうこと。これを今、子ども宅食応援団という別の一般社団を作ってですね、そこの方たちが一生懸命、この子ども宅食というモデルを全国に広げるっていうことをやってくださっているので、そういう中では本当に目指しているところの一つはできてきたと。
その中で次には、一つはですね、サステナブルにするためにもう少しヘッドコストを落とすとかですね、やっぱり、すごくそこの部分のコストがかかってくるので、そういったことが必要じゃないかっていうような議論とか。逆にですね、せっかくだからこの重篤化を防ぐだけではなくて、新たなことができないかっていうふうな、プロジェクト憲章を変えてもう少し違う領域に入っていく可能性もあるんじゃないかとか、そういったところの話を今どういう方向でこの先行くのかっていうのを、ちょうどやっている段階です。」

鈴木氏
「ありがとうございます。今やっていらっしゃること、それから、新しく作ろうとしていること。これ、非常に楽しみなようなところがあるかと思います。
ここで少し、他のパネリストにも伺ってみたいと思いますが、石野さん、今までのお話をお聞きになってどのように思いましたか?」

石野氏
「はい、ありがとうございました。
最初に私お話した通り、我々も活動をやっているんですけど、どうやって広げていくかっていう課題を抱えている中で、非常に先行して確立されたモデルを作られているという点で、キッズドアさんのお話、すごく興味深く聞かせていただきました。ありがとうございました。」

渡辺氏に語りかける石野氏。他の登壇者たちも同意を示して頷く。
石野氏へ笑顔で会釈をする渡辺氏。

石野氏
「プロジェクト憲章であるとか、それから、コミュニケーション大事ですというところ、本当にそうだなっていうふうに思っていて、大変参考になるなというふうに思いました。
また、今後の展望として新しい領域を取り込んでいこうということですので、我々やっていることっていうのは体験機会をこの格差にアドレスするということなので、逆に、このお互いがやっていることが違うからこそ、ひょっとすると補完関係になり得るのかな、みたいなことを思いながら聞いていました。ありがとうございます。」

鈴木氏
「ありがとうございます。放課後NPOさんも、いろんな企業と、それから他の団体と協力しながらやっていると思いますけれども、今の渡辺さんのお話を伺って、どのように感じられましたか?」

平岩氏
「そうですね、前段の方の話から含めていくと、企業とNPOの関係って三段階目ぐらいに入ったんだなっていうのを感じて聞いていました。
最初のところ、寄付をいただくっていうフェーズが1.0だとすると、2.0で協働する。特にその当時はCSRとかそういう言葉があって、企業の社会的責任としてやる、ただしちょっと、本業の外というか、脇というかですね。“やっている感”はあるかなという感じでした。
この3.0時代になって、まさにコレクティブ・インパクト、共通アジェンダを作って一緒に取り組んでいく、という時代に入ってきたんだな、というふうに思いますし、それを取りまとめられた、この文京区の事例というのは、本当に素晴らしいものだなと思います。
私たちも放課後という領域で活動していて、放課後にもいろんなプレイヤーがいます。我々のような学校を使ったアフタースクールをやる人たちもいれば、子ども食堂さんがいたりですね、あるいは児童館とか、そういうところも広く言えば放課後の仲間だと思うんですけど、ちょっと残念ながら、そこがですね、つながっているかっていうとあんまりつながっていなかったりするんですね。そこには、行政の縦割りの壁もあるかもしれませんし、それぞれの、各々の団体が頑張っちゃうような雰囲気があるので、やっぱりもっとこの3.0の時代はつながって、みんなで大きなインパクトを出していくっていうことが大事なんだなっていうのを改めて感じました。」

鈴木氏
「ありがとうございます。そういったつながりを持って、一緒になってやっていくということ、なかなか難しそうなところもあるかと思いますけれども、渡辺さん、そのあたりいかがでしょうかね?」

渡辺氏
「ありがとうございます。ちょっと大変なとこあるんですけれども、一つ、今回子どもがテーマということで、子どものことは、本当にやると楽しいんですよ。やれば子どもがね、さっきアフタースクールさんの写真もありましたけれども、ああいう顔が見られるので。本当にね、ぜひやっていただければと思いますし。
本当に、私どもコレクティブ・インパクトだけじゃなくてコラボレーションもいっぱいさせていただいておりますけれども、やっぱりそこに社員の方が例えば参加することで、ものすごく社員の方の学びがあるだとか、モチベーションが上がるだとかそういったこともあるので、本当にですね、やっぱり今、日本の子ども大変ですから、本当に総力を上げてっていう中で、企業の方の力なしには、この総力にならないと思うので、ぜひですね、皆さん、子どもの領域に入ってコレクティブ・インパクトでもコラボレーションでも、いろんな形でできてくるといいかな、というふうに思います。」

鈴木氏
「ありがとうございます。ちょっともう一個だけ渡辺さんお伺いしたいなと思っていますけれども。
つないだり、皆さんと一緒に連携したりする中で、つなぎ役というんですか、バックボーンといったり事務局業務と言ったりするのがあると思いますけども、
そのあたりは、この場合どなたが担っていらっしゃって、それはどのような感じで運営されているんでしょう?」

渡辺氏
「文京区こども宅食でいくと、事務局業務というものをNPO法人フローレンスさんがやってくださっています。当然そこにやっぱりいろんなコストはかかってくるので、会議を1個設定するのでも大変なんですよ。ご想像つくと思いますが。
そういう中ではですね、その費用を、文京区の場合は文京区のふるさと納税というものを活用して、本当にたくさんの方からご寄付をいただいて、その中で事務局の運営費を回していくというふうな形でできてきました。そういう中で、いろんなコラボレーションとかコレクティブ・インパクトをする中で、そういったところの費用負担みたいなものは問題かと思うんですけども、少し、そういったところも応援いただいてですね、たくさん事例ができるといいかなと思います。」

鈴木氏
「ありがとうございます。今の事例の中でいろんなレベルのお話があったかなと。コレクティブ・インパクトという形で、一緒になって皆さんで同じゴールに向かって動いているところもあれば、そういった形で寄付をしてくださって、それが食べ物であったり、それからお金であったり、いろんな形で応援してくださっている。応援というものもあったりしながら取り組めているということで、ありがとうございます。」

鈴木氏
「渡辺さん、ここで一旦ご退席されなくちゃいけないかと思います。」

渡辺氏
「本当に申し訳ありませんが、あとはうちの松見がですね、しっかりと受けると思いますので、松見さん、よろしくお願いします。」

頷きながら笑って見送る体勢の松見氏。

司会
「渡辺さん、どうもありがとうございました。」

【会場全体の拍手】

司会
「松見さん、引き続きどうぞよろしくお願いいたします。」

スライドが変わる。

▼パネルディスカッション②

スライド内容
パネルディスカッション②:SMBCグループ スタディクーポンの事例から

鈴木氏
「それでは次に、大萱さん、SMBCさんの取り組みについてお話を少ししていただけますか?」

大萱氏
「ありがとうございます。」

スライドが変わる。

スライド内容(再掲)

  • タイトル:新たな重点課題(マテリアリティ)の選定
  • 副題:社会的価値の創造、「幸せな成長」への貢献
  • 以下、各分野の取り組みが箇条書きに記載され、現在の結果が補足されている。
    1. 環境:トランジションの支援を通じた脱炭素社会の実現、自然資本の保全・回復への貢献
    2. 結果:サステナブルファイナンス取組額50兆円(上方修正)(20-29年度)
    3. DE&I・人権:従業員が働きがいを感じる職場の実現、サプライチェーン全体における人権の尊重
    4. 結果:エンゲージメントスコア70以上維持
    5. 貧困・格差:次世代への貧困・格差の連鎖を断つ、新興国における金融包摂への貢献
    6. 結果:マイクロファイナンス提供者数+80万人
    7. 少子高齢化:人生100年時代への不安解消、人口減少社会を支える利便性の高い基盤の構築
    8. 結果:AM・外貨残高18兆円
    9. 日本の再成長:企業のビジネスモデル変革支援、イノベーション創出・新たな産業の育成
    10. 結果:スタートアップ向けの投融資額1,350億円
    11. 箇条書き全体の右側に縦テキスト:さらに具体的なアクションプランを策定

大萱氏
「先ほど冒頭の紹介で簡単に触れさせていただいたんですけれども、弊社の今重点課題というのが、この5つになっておりまして。
その中で貧困格差に取り組むということで、具体的な目標としては、次世代への貧困格差の連鎖を断つ。
あと、我々グローバルに展開している銀行ですので、特に新興国においては、マイクロファイナンスという金融の商品を通じた金融包摂への貢献というのに力を入れています。」

スライドが変わる。

スライド内容

  • タイトル:子どもたちへの教育機会の提供~Chance for Childrenと協働した“SMBCグループ・スタディクーポン”の取組
  • 本文1:SMBCグループは、子どもの教育格差の解消に向け、公益社団法人Chance for Children(以下、CFC)と子どもの教育格差の解消に向けて連携して取り組むことを発表
  • 本文2:学習塾や習い事等、幅広い学校外教育の場で利用できるSMBCグループ スタディクーポンを発行し、学びの機会を提供することに加え、SMBCグループからの人材派遣や、金融経済教育プログラムやプロボノ等の提供により、将来を担う子どもたちの可能性を広げる支援を行う。
  • 本文3:スタディクーポンとは? 経済的な理由で学びの機会を失っている子どもたちに、学習塾や習い事(スポーツ・音楽等)で使用できるスタディクーポンを給付。(大学生)ボランティアが定期的な電話・面談を通じて、学習や進路の相談に応じ子どもたちが安心して学べるよう丁寧にサポート。
  • 図表:スタディクーポンの仕組みについて
    1. SMBCからCFCへ、3億円の資金支援(3ヵ年)と人員派遣。
    2. CFCからスタディクーポンが発行。学習塾や習い事へ。

大萱氏
「本日、具体的にご紹介させていただきますのは、その中でも、我々社会貢献の分野でやっている教育機会の提供という取り組みについてです。
こちらにつきましては、昨年の夏前ぐらいですね、ニュースリリースとかも出させていただいているので、ご存知の方もいらっしゃるかもしれないのですけれども、この重点課題の大きな施策の一つとして、我々貧困格差の解消っていろいろな方法でできると思うんですけれども、特にその中で、教育機会の提供という、どちらかというと未来への投資みたいなところに着手したいという想いが強くありまして。これは担当として私の想いというのもありますし、社としても、というところなんですが。なので、いろいろアフターケアとか、今現在困っていらっしゃる方に支援を現金でするとか金銭的にするとか、いろいろ方法がある中で、教育という形で貢献することができれば、先ほどの渡辺さんのところにもありましたが、貧困の連鎖、結局教育の機会が進学の機会につながって、それがお子さんが例えば将来就業する機会のところで制約になってしまったり、というところを、少しでも我々の力で取り除くことができたらという想いから、今回この取り組みをしております。
具体的には、我々って銀行で特にその分野のプロでもないので、まずこういったことをやりたいといったときに、それを既にやっていらっしゃるようなNPOさんで組めるところがないか、というのをいろいろ探しました。
ここに、Chance for Childrenさんにたどり着くまでには、結構、さまざまなNPOさんのことを調べたりですね。我々がやりたいことと、現在やっていらっしゃること。プロコンっていうと言葉が悪いんですけど、いろいろ選定していく中で、最後、Chance for Childrenさんに私どもからお声掛けさせていただいて、こういうことがしたいと思っているんですけど、一緒にやりませんかということで。なんていうんでしょう、こうスカウトって言うんじゃないんですけど、お声がけさせていただいたという感じです。
このChance for Childrenさんの取り組み自体は、皆様ここにいらっしゃるような方ってご存知だと思うんですけれども、体験格差、学習塾だったり、あと小さいお子さんだったら習い事に対して、お支払いするお金をクーポンという形でChance for Childrenさんが提供することで、資金使途が必ず守られた形での支援ができるというのが特徴です。
ここに対して、我々、現在Chance for Childrenさんって応募が過多で、経済的要件では満たしているんですけれども、全然この支援が行き届かない方が数百人単位とかでいらっしゃるということを知りまして、SMBCグループとして3年間にわたり3億円というところと、あとここがちょっと今回のキーだと思っているんですが、人も派遣して。
やはりNPOさんって、リソースだったり人的にもそうですけど、限られているところに、お金だけを大きく支援したとしても、結局そこの事業を企画したりマネージするために新たな人を雇用されたりとか、そこの負担をおかけするというところが我々の本意ではなかったため、この3年間の期間に亘って公募した社員を3年間派遣して、このプログラムを回していただくところもそうですし、プラスアルファで展開していくような事業のモデルだったり、さまざまなことをこのChance for Childrenさんで学ばせていただくということで、人もお送りしているというのがこのプログラムの特徴になります。」

鈴木氏
「ありがとうございます。今だいぶいろんな背景を説明していただきましたけれど、その中で、私たちのやりたいことっていうふうな言い方をされていらっしゃったと思います。言い換えると、さっきのお話ですと、どのような社会を目指すのかというところになるかと思います。どのあたりでこのChance for Childrenさんとはここだな、と。私たちのやりたいことこういうことでバッチリ合うな、というふうに思われた点でしょうか?」

大萱氏
「そうですね。先ほど申し上げたように、やっぱり貧困格差のご家庭へのアプローチって、さっきの宅食さんとかも一つの食支援というアプローチだと思いますし、食支援とかいろいろなことを考えた中で、やっぱり連鎖というところが我々が一番気になっているところで。
じゃあ日本って、そこを脱出するために何がすごく大きな要素かっていうと、やっぱり教育機会だと。インドみたいにカースト性があるような国だと、やっぱり教育だけでは乗り越えられないものとかもあると思うんですけど、日本って幸い、学力で進学する機会があると、やはり未来を切り開きやすいというところで、比較的早く、教育機会っていうのは決まったんですね。 その中で、やっぱりやっていらっしゃる活動を見たり。あとはそうですね。Chance for Childrenさんって、もともと被災地の避難所での支援の活動を始められたのが前身の団体さんの始まりだったと思うんですが、これちょっと個人的にはなんですけど、私、阪神大震災の年に神戸の学校に入学したっていうので、そこら辺とかもすごく、代表の方とお話ししていて個人的にああそうですよねみたいな話が盛り上がって、そこら辺もあったのかなと思います。
あと最後の、資金使途が限定されているっていうところが。やっぱり我々が支援したお金がその目的で使われるっていうところが安心というか、そこが大きかった気がします。」

頷く平岩氏と石野氏。

鈴木氏
「ありがとうございます。大萱さんの個人的なところでもすごくマッチしたというところだと思います。
そして、さっき少しお話していただきました、会社のマテリアリティというところもつながる、というところだったんですよ。そこについて、社内で説明したり、それから企業として、どうしてChance for Childrenにするのか、そういったところについての疑問とか議論とか、何かあったりしましたか?」

大萱氏
「そうですね。そういう意味ではやっぱり、金額規模でも期間でも、こんなことを多分今までやったことがなかったので、最初私の部署の部長に説明したときには、本当にやるんですか?みたいな感じの反応ではあったんですけど。さっき言った想いだったり、こういうふうに支援が受けられていないお子さんがいる、というところとか。
あとは、結果的にそれが社会的な大きな損失につながっているというところですよね。そういった形で、本来就業できたり進学できるお子さんがされないことで、例えば国で言うと経済規模のところだったりとか、税収だったり社会保険料っていうのが、余計に発生するとか。経済という観点で見ても、社会的にいいことをする以上の意味があるというところは強く申し上げて。
あと最後は、先ほど申し上げた、太田がすごく強い想いを持っておりまして、そういう意味ではトップのコミットメントがあると結構ブレイクスルーしやすいっていうのは、すごく中計(中期経営計画)においては感じているところです。」

鈴木氏
「ありがとうございます。大萱さんご自身の想いであったり、それから太田前社長の想いであったり、そういったところがすごく重なって動き出したんだなというのがよくわかりました。」

スライドが変わる。

スライド内容
パネルディスカッション②:どんな社会の変化をめざしていますか?

鈴木氏
「今後の展開はどのように考えていらっしゃるんでしょうか?」

大萱氏
「そうですね、これまだ初年度で、今年は実は去年の5月に中期経営計画のタイミングで始まったのでその時にChance for Childrenさんの当初の年度の募集というのは終わっていましたので。そこで、経済的にはもう該当要件を満たしているけれども漏れてしまった方々に、こういったSMBCグループクーポンに興味ありますか?という形で、その方々を当選させたというか、すくい上げたという感じなんですが。
そうなるとやっぱり我々、Chance for Childrenさんにいつも申し上げているのが、地盤があるところとか、我々の手の届くエリアのお子さんのところとかしか支援が行き届かないので、ゆくゆくは、例えば自治体さんとの連携をすることで、我々の例えば拠点がないような地域のお子さんに対しての支援というのも可能になりますし、あとChance for Childrenさんのやっていらっしゃる事業の想いとか、このモデルの良さっていうのもいろんな全国のところに広げていけると、結果的にそれがコレクティブ・インパクトにもなっていると思いますし、我々が一緒にやっている意味があるのかなと思っております。」

鈴木氏
「ありがとうございます。そういった形で、本当に全国のいろんな自治体と連携をしながらそれから他のNPO、あるいは企業さんとの連携もあるのかな、というふうに思いますけども。」

頷いている大萱氏。

鈴木氏
「企業さんの他の企業との仲間づくりなどについては、何かお考えになっていらっしゃる方針とかありますか?」

大萱氏アップ。

大萱氏
「そうですね。我々が支援している期間に対して、その金額で同じように人を送ってとかはなかなか難しいかなと思っているんですが。
例えば、今だと我々ってChance for Childrenさんが抱えていらっしゃる大学生のボランティアの方に対して、金融経済教育の支援といいますか、そういった方々がお子さんを見ていらして、例えば奨学金の話が出てきた時にどう話してあげていいかわからないと。
そういったところのプログラムを提供する中で、例えば企業さんが持っていらっしゃるプログラムで一緒に支援できるとか。あとそうですね。ゆくゆくは本当にお金を一緒に出していただける方とかそういう方もいらっしゃれば、企業としても一緒にできることが多くなるのではないかなと思っております。」

鈴木氏
「ありがとうございます。素晴らしいですね。それをどんなふうに探していこうかっていうのは、何か今やっていらっしゃることありますか?まだこれからのところですかね?」

大萱氏
「まだこれからですかね、初年度ですので」

鈴木
「ありがとうございます。そんな中で、同じ企業であられますソニーさんとして、石野さん、いかがでしょうか?」

石野氏
「はい、ありがとうございます。この事例を聞かせていただいて、本当に勉強になるな、というふうに思っています。
お話しされていた中で、前社長の想いと、それからマテリアリティというところからこの活動が導き出されて、ご自身の想いも、というところでしたけども。あの、これから我々も企業の仲間を探していきたいと思っているんですけれども

そこで聞いていて思うのは、我々の場合はまず教育に取り組もうというところが、冒頭の挨拶の中でもありましたけれども、創業者の想いというところからスタートしています、ということ。 その後、それをベースとして今、体験格差にフォーカスして感動体験を届けています、というお話をしていますけれども、そこは「テクノロジーとクリエイティビティの力で世界を感動で満たす」っていう、その感動っていうキーワードは、今の我々の、ソニーグループとしてのPurposeから来ているということで、やっぱり企業ごとによって、それぞれストーリーが存在するな、というふうに思っています。」

頷いている大萱氏。

石野氏
「その結果、やりたいこととかが、あるいは実際に実行するプログラムとかが、必ずしも同じことを皆さんがやるかっていうと、そういうことにはならないんだな、というふうに思うんですけども、一歩引いて、じゃあ何のためにそれをやるんですか、とか、何回も聞いていただいている、どんな社会を作りたいんですかっていう、そういう問いをいただくと、共通項っていうのは見つけられるのかな、というふうに思っていて。」

全員が頷きながら聞いている。

石野氏
「鈴木さんが最初におっしゃった共通のアジェンダみたいなところにまで立ち返って考えると
SMBCさんとも同じ方向を見ているんじゃないかな、みたいなことを思いながら聞いているところでした。」

鈴木氏
「ありがとうございます。そうですね。同じような目指すところを持ちながらでも、それぞれが違う形で取り組んでいくことによって、より大きな変化が起きていくのかな、というふうに思ったりもします。こういった中で、この企業さんのSMBCさんがこうして、今初年度ということですけれども、思い切って関わってきているということもあって、非常に大きな追い風だなというふうに思ったりしますけれども、NPO業界で長くやっていらっしゃる松見さん、いかがでしょうか、この企業との連携とかっていうところにつきまして、何か変化を感じたりはしていらっしゃいますか?」

松見氏
「はい、ありがとうございます。改めまして、渡辺からバトンを受けました松見です。
そうですね、本当に企業さんが持つ力ってすごく大きいと思っているんですね。
先ほど渡辺がご紹介させていただいた、文京区子ども宅食のプロジェクトにおいても、行政とあと7つのNPO等が入っています。その中で、やはりそれぞれ持ち味が全然違って、私たちが声をかけられたのも、子どもと保護者の視点で物事を見られるところが欲しいっていうところからだったんですね。その上で、じゃあ食品をお届けするんだったら営業力も必要になるよねと。だから、寄付をしてくださる企業さんとのつながりを持っているところも必要だよね、とか。
あとは先ほど少し渡辺のお話もありましたように、これやっててすごく強く感じるのは、調整役の力ってすごく大きいなって思うんですね。先にご紹介ありました、認定NPOフローレンスさんがその役を担ってくださってはいるんですけども、多分企業さんの中でも支社とか部門を調整するっていうことは、普段のお仕事の中にあると思うんですよ。
それを考えるとそういった力を、このコレクティブ・インパクトの中に生かしていくっていうことも、もちろんできますし、あとは、会議のシステムにしても、私たちはGoogleを使っているんですね。それで共有をしたりしているんですけどもでも、もしかしたら企業さんによっては、そういう共有システムのアプリをいいものを持っているよとか、それを使って課題解決をもっとスピーディーにできるようにしていけるよっていうのがアイデアとしてあるかもしれない。本当にあの企業さんが持っている力って、多分考えられている以上にたくさんリソースがあるんじゃないかなっていうのをNPO側の立場からは感じております。」

鈴木氏
「ありがとうございます。確かに、寄付だけじゃなく、それから会社が持っているものだけじゃなく、SMBCさんもやっていらっしゃるように、人が持っている力も活用していくという可能性があるというところはとても素晴らしいなと思います。」

鈴木氏
「ありがとうございます。確かに、寄付だけじゃなく、それから会社が持っているものだけじゃなく、SMBCさんもやって平岩さん、いかがですか?

「多くの企業と連携されていらっしゃいますが、何か変化とかを感じられていますか?」

平岩氏
「そうですね、変化はやっぱりすごく感じていまして。
ちょっと先ほど申し上げたようなですね、今まではやはりCSRでやっていたっていうところからですね、重要なSMBCさんが社内のマテリアリティの中にも挙げられたというのは象徴的だと思いますけれども。企業によっては最近、ステークホルダーに次世代っていうのを入れるんだ、という意思決定をされる企業さんがあったり。考えてみれば、必ず子どもたちっていうのは、企業にとってのステークホルダーだと思うんですよね。」

「それを明確に位置づけてくださるような企業が増えてきたので、だいぶ流れは変わってきたんですが、一方、我々が企業さんと組むときにどういうケースが多かったかというとですね、やっぱり担当者様とバンっと息が合うことが多かったです。やっぱりその方が当事者意識も持っていて、放課後の体験格差の問題とか、小一の壁で苦労されたとかですね、学童保育になかなかとかですね、そういう話をすごく理解をしてくれて、パッションのある方がいて、その方が突き動かしてくれるケースが多かったんですよね。
ただ苦労されるケースとしては、上の方の理解があまりうまく得られなかったというケース。逆に、社内の巻き込みがあまりうまくいかなくて、特定の部署がやるんでしょうみたいな感じで位置づけられちゃったケースっていうのが多くて。ちょっと少し前の時代までは苦労してきたんですけど、今だいぶトップの意識は変わってきているなというふうに思っておりますし、やっぱり今ですね、特に若い社員の方々がですね、そういうあたりをすごく気にされて。特に新卒の方とかで、就職をするときに、その企業がどういう社会的使命を果たしているのかって、ものすごく気にされる時代に入ってきていますので、そういう意味でも、時代の風は随分変わり始めたので、今日ここに来てくださったような皆さんがまさに、その一歩を動かしたり、もう1社とか1NPOでやる時代じゃなくなり始めているんだなという息吹を感じて、一緒にできたら嬉しいかなって…最後に言おうと思ったことを今全部言っちゃって、どうしようって感じになっていますけど。すみません、こんなことを思いました。」

平岩氏の言葉に笑顔になる松見氏、大萱氏。
【会場の笑い声】

鈴木氏
「平岩さん、ありがとうございます。でも本当に、今日こうしてお話を伺ってキッズドアさんのお話でも、いろんな取り組みをキッズドアさんとしてやっていらっしゃることもあるけれども、それだけじゃなくて、文京区さんと、そしてフローレンスさんとか企業と一緒になって、そして、どうやってこの地域にいる家庭をサポートできるだろうか誰も孤立しないような社会ができないだろうか、そんなことを考えてつくっていらっしゃる、というお話もありましたし、それから大萱さんからは、SMBCさんとしましては、すごく大きな資金でもありますし、それでも、お金を出すだけじゃないよと。私たちも一緒になってやりますよ、という形で取り組んで。これは、貧困あるいは経済格差によって機会が失われないようにすることをサポートしていこう。そしてそれをさらにどうやったら日本全体に広げていけるんだろうかということを説いていかれるということで、本当に、企業の皆さんと、それからNPOの皆さんが、それも一対一だけじゃなくて複数でつながりながらやっていくということ。そういった素晴らしい状況が見えたかな、というふうに思います。」

鈴木氏
「そして、石野さんにもお話していただきましたけども、やはり共通のアジェンダで、何を目指すのかというものを一緒に持ち どうやってそれがうまく進展しているのかという共通の指標を持って見ていきながら、そして、渡辺さんのお話でもありましたけども、それをお互い連絡し合いながらあるいは喧喧諤諤と議論しながら、どういう問題があるのか、それを一緒に解いていきながらやっていく。でも、そのやっていく中で、それぞれがやることが違うと。キッズドアさんの例ですと、食品を寄付する企業もあれば、実際に家までお届けするココネットさんがいたりとか、そういった、役割が違ったりできることが違う。 でも、同じところに向かって、みんなで違う形で貢献すると。 これが、相互補完的な取り組みというところかな、というふうに思います。 そして、それぞれをサポートする事務局であったり、皆さんのミーティングを調整するところ、そして、さっき松見さんからもありましたけども実は調整するというのも大変なスキルであるので、そういったところでも、企業の皆さんの力も生きるんではないかなということもあるかと思います。そういったことで、このコレクティブ・インパクトの5つのコツというものを、非常にうまく使っていらっしゃる事例について、今日、皆さんからお聞きすることができたんじゃないかなというふうに思っております。」

スライドが変わっている。

スライド内容
パネルディスカッションまとめ

鈴木氏
「皆さん、今日はありがとうございました。」

深くお辞儀をする登壇者たち。

▼質疑応答

スライド内容
質疑応答

司会
「皆様、どうもありがとうございました。ここから質疑応答の時間に入らせていただきます。
事前に多数の質問をいただきまして、どうもありがとうございました。その中から2つ、登壇者の皆様にお伺いしたいと思います。お時間に余裕ありますので、その後、会場の皆様からも質問を承りたいと思っておりますので、何かございましたら後ほどお願いいたします。」

スライドが変わる。

スライド内容
質疑応答:企業が社会貢献活動をしたり、NPOと協働するときにネックになることは?

司会
「一つ目です。企業が社会貢献活動をしたり、NPOと共同するときにネックになることは?
ということですが、企業の視点から、大萱様・石野様にお伺いしたいなと思います。大萱様、お願いいたします。」

大萱氏
「はい、あまりネックというのはあまり感じてはいないと思っていたんですけど、さっきの宅食のお話を聞いて、確かにコミュニケーションツールって意外にネックだなと思いまして。」

大萱氏
「我々、今日ご紹介した施策ではなくて、プロボノっていう活動を実はやっているんですけど。
そこでは、5団体に6ヶ月間社員を50名ぐらい派遣していまして、やっぱりグループ社員なので、私はちょっと銀行の所属なんですが、銀行もいれば、証券もいて、カードもいてってなると、同じグループ会社でも、そもそも連絡できるツールが違う、かつ、それが集まって、かつNPOさんが入ってくると、そういうインフラ面とかがやっぱり意外に、本質的なところではないんですけど、結構スムーズなコミュニケーションをするときに。あと、セキュリティとかコンプライアンスとか、やっぱり、我々企業サイドって結構厳しいので、そこがネックだなって。
すみません、予行演習では全然言ってなかったことなんですけど、そう思ったっていうのを、ちょっと思い出しました。
ちょっとお話に戻ると、ネックにはあんまり感じてはなくて、たださっき思っていたのは、我々もChance for Childrenさんにたどり着くまでにはここにいらっしゃる鈴木さんのアドバイスとかも含めて、過去にお付き合いがあったNPOさんっていうのはデータで全部取ってあって、それこそ数百とかあるんですけれども、新しいところとか、ここどうなんだろうっていうところを広げるところが、あんまりちょっとできてないかなと思っていまして。なんとなく、過去からお付き合いがあるところって(よくお互い理解できている)安心感がありますし、その内容も分かっているので、ついそこにアプローチしてしまうっていうのはあるなと思っています。すみません、回答になっているか、なっていないか…。

大丈夫、というふうに大きく頷いている鈴木氏と石野氏。

司会
「どうもありがとうございます。石野様、いかがですか?」

石野氏
「はい、えっと、今のツールの話と似たようなお話になってしまうかもしれないです。
というのと、あとは、別にNPOさんということだけには限らないですけど、やはり、複数の団体とか、企業とか、違う組織でコラボレーションするときによくあるのが、やっぱり使っている言葉が、同じような言葉を使っているのに違う意味を指している、みたいなことが発生したりとかしてですね、その辺でちょっと足踏みをしてしまったりとか。思ったより違ったような方向に行ってしまったり、みたいな。コミュニケーションの面でやっぱり難しいところは発生したりするかなとは思っています。
ただそれも、文化が違うのか、あるいは専門性が違ったりとか、やっている活動がそもそも違ったりという意味では、お互いが協力することでそういう多様な組織、多様な視点っていうのが、プロジェクトに反映されると思えばですね、それをしっかり乗り越えていくような気持ちも生まれるので、そこまでネックになるというようなことではないんですけれども。ちょっと、そういうことがたまにあるなということで紹介させてもらいました。」

司会
「どうもありがとうございます。逆に企業とお付き合いのある平岩さん、いかがでしょうか?」

平岩氏
「そうですね、やっぱりなかなか、先ほど申し上げた通り、社内の理解が一気に進むかって言われるとですね、その辺りが辛いところが多いかなと。あと、そもそも出会う場がなかなかなかったりというのがあったので、今日の場もそうですし、我々NPO側もいろいろと日頃の活動の中でノウハウをためていくとですね、企業さん、やっぱり求めているものはあるんですよね。最終的にやっぱりどういう成果が出たのか、昔はそれを経済的なインパクトで求められたりとかって、その時は、正直言うと頭を随分悩ませました。なかなか難しいような、それはどう計測するのか、とかあるんですが。
今は”社会的なインパクトはこのぐらいでした”というところを出せばいいっていうような合意も、社会的にはされつつあるような気がしますので、その辺を我々としては、普段の活動の中でしっかり磨き上げておいて、企業さんが上司を説得しやすいようにとかですね、社内を巻き込みやすいようにというデータなんかをお渡ししたり。 今日も、企業さんいらっしゃるんでですね。ぜひ、ちょっと我々まず声かけていただいてですね。なんだったら、もう社長のところに直接あんた行ってきなさいと言われれば、僕行ってきますので。そういうのも含めてですね、社内をしっかり説得していくというところができれば、いろんな素敵なNPOがいっぱいあるので、ぜひ組んでくださるような社会が実現していくんじゃないかなというふうに思って聞きました。」

司会
「はい、どうもありがとうございます。」

スライドが変わる。

スライド内容
質疑応答:どのように仲間をみつけ適切な役割分担をしていくべきか?

司会
「それでは2つ目の質問に移らせていただきます。
どのように仲間を見つけ、適切な役割分担をしていくべきか?こちらはまず松見様に、子ども宅食の事例で多数のステークホルダーの方々と進められていらっしゃいましたので、お話伺いたいなと思います。」

松見氏
「ありがとうございます。まず、仲間を見つける、というところなんですけども。
今回参加している文京区こども宅食のプロジェクトにおいては、まず文京区の成澤区長と、あと認定NPO法人フローレンスの駒崎代表がお話しした中から生まれたことなんですね。こういうことできたらいいなみたいなことを区長さんが漏らしたんですけども、こういう"こと"を実現するには、文京区さんとフローレンスさんだけではできなかったと。もっとインパクトを残すように事業を行っていきたいということで、必要なリソースを持っていそうな企業さんや団体さんにお声掛けがあった、というのがまず経緯でした。
私たちが担っている領域っていうのは、主に配送に関わるロジスティックスの部分と、あとは配送後のご家庭のケア、あとはご家庭の後追いですね。配送しに行ったココネットさんのドライバーさんがご家庭をウォッチしてくださるので、その結果をデータで取りまとめているんですね。履歴を取っているので、危険度の高いご家庭にすぐ介入できるように私たちの方で見守っていく。もし危険度が高まってきたならば、即、行政の方に、この場合は文京区さんになりますけど、文京区さんに連絡して会議を開いて、どう対応していくかということを決めていくっていうことを、かなり早いスピーディーなペースでやっています。
話を戻しますけども、仲間を見つけるというところは、今のところから、それぞれのリソースを持つところ、強みを持つところに声がかかったというところから始まって、適切な役割分担というのは、本当に皆さん強みを持っていらっしゃるので、その強みの整理っていうのも当然必要なんですね。実は、この文京区こども宅食はもう8年を迎えるんですけども、開始する前ですね、本当にスタートを切る前は一年半の準備期間を経て開始をすることに至りました。
その一年半の中では何をやったかというと、先ほど鈴木さんの紹介にもありましたように、共通のアジェンダ、これすごく大変なんですね。それぞれ本当に、7つの団体や企業や行政が入っていると、どこを目指していくのっていうところを、まずきっちり作らなければならない。そこで合意を得ました。
その次に、どういうプロセスで物事を進めていくのっていうのが必要ですよね。そうなってくるとそこで用いたのが、先ほども出ましたけどもロジックモデルだったんですね。8年前は、このロジックモデルが全然浸透していない世の中で、ロジックモデル、私たちも何ぞやというところから入りました。このロジックモデルを作るのも全プレイヤー、全団体の企業さんも、行政さんも入って、みんなで会議室に集まって、本当に何回もロジックモデルを、一緒に作ってきたんですね。それをやる中で、合意を得ていく。みんなの気持ちも一緒に共感を生み出していくっていう作業をし、やっと一年半かけてローンチっていうところに至りました。
ロジックモデルの役割は、コレクティブ・インパクトの理念の中にもありますけども、プレイヤーは変わっていく、と。要は初期にいたメンバーが、そのままずっと継続してやるのではなくて、やはりやっていくうちに、必要なリソースってまた新たに生まれていたりとか、あとは逆に、最初に役割として担っていたものが必要でなくなっていったりするんですね。
なので、プレイヤーは変わりつつ、さらに進化を遂げていくっていうのが、このモデルの素晴らしいところだなというふうに思っています。
役割分担は、今はもう本当にかなりスリム化されてですね。あとはこのモデルを、どう今後よりインパクトのあるものにしていくかと、あと渡辺が先ほどお伝えしたように、ヘッドコストをどう抑えていくかとか、そういう段階に現在は入っている状況になります。」

司会
「どうもありがとうございます。企業の視点から、大萱様にもお話伺いたいんですがいかがでしょうか?」

大萱氏
「あ、はい。結構被るんですけど、仲間を見つけるって言ったとき、社外の方とあと社内も結構大事なんじゃないかっていうのを、今すごく思っていまして。
過去にやった案件とか、これからやろうと思っている案件をイメージしながら今考えていたんですけれども、我々、貧困格差だったり社会的価値構造というのを掲げたんですけれども、やっぱりサステナルビリティの部署にいる者と、それ以外の部署にいる人の温度感とかって、正直、まだ追いついてきてないところがあって。やっぱり施策をやるときにサステナビリティだけで完結するっていうのはあまりなくて。
例えば、今回の社員の出向派遣については人事部門と調整したりとか、あとは例えば施設を使うようなものであれば管理部とネゴシエートするとか、社内でブレイクスルーしないと外に対しても提案ってできないと思うので、さっきの平岩さんがおっしゃっていた上の説得もなんですけど、自分のカウンターの横になる人たちに対して、いかにこれがいい…多分皆さん総論賛成なことが多いんですけど、やっぱり事務所の所管業務となると、譲れないところがあるので。そこをどうやって、既存ではやったことないけどこういう形だったらできるよねみたいなことで、まず社内の仲間づくりそれができると、外の役割分担とか、仲間づくりのところになって。そこはどっちかというと、おのずとやりたいことと自分たちでできること、NPOさんじゃないとできないこと自治体じゃないとできないことっていうのがある程度見えれば、役割分担とか仲間っていうのは見つかるのかなと。そこの調整はまた大変だと思うんですけど、企業の立場っていうところで、ちょっとプラスアルファで申し上げて。社内の仲間づくりも結構重要ですし、結構難しいところだなと思っています。」

司会
「どうもありがとうございます。とても勉強になりました。今のお話を聞かれて、鈴木様、いかがでしょうか?」

鈴木氏
「やはりこの、コレクティブ・インパクトというところでお話をしてきておりますけども、コレクティブって、先ほど少し申し上げましたが、集合体だと思うんですよね。
集合体って何の集合体かというと、結局は人の集合体になるなというふうに思いますので、社内の人であっても、社外の人であってもNPOの人であっても、違うNPOであったり、行政であったりでも、結局、一人一人が何を目指すのか、そして、その目指そうと思っているものが共通のものなのか、というのを見出してやれるということが、ものすごく大事なんだなと。それ私もやります!と言って、やる。そんな取り組みになっていくことが、結局は大事なんだなというふうに、大萱さんのお話を聞きながら思いました。」

司会
「どうもありがとうございます。
それでは会場の皆様より、質問をお受けしたいと思います。質問のある方、挙手をお願いできますでしょうか?」

2名の手が順に挙がる。

司会
「ありがとうございます、一番初めに手を挙げてくださって、はい、お願いします。」

質問者
「ありがとうございます。あの、これから社会課題をいろいろ取り組むのに、コレクティブ・インパクトっていうターミノロジー、すごく素敵な響きがありまして。僕なんかは、ぜひこれからコレクティブ・インパクトの概念でいこう、とか言って動き出しちゃう方なんですが。企業といろいろ取り組むときに、それは何のことだ、と。今までのパートナーシップとか、コラボレーションと、どこが違うんですかっていうことを一言でエレベーターの中ですぐに説明できるような、キラーデフィニッションというか、いい方法を教えていただけないでしょうか?」

司会
「鈴木様」

鈴木氏
「はい。ここの比較は、今おっしゃられた通りですね。
コラボレーションとパートナーシップとコレクティブ・インパクトってどう違うの、という話になりますけども。
コレクティブ・インパクトは、5つの"コツ"であるんですね。どうやって多くの人たちが、自分ごととして私が社会の一員として変わるのか、というようなことを、一緒に想いを持って動き出すためのコツだというところだと思います。
ですから、パートナーシップとかを否定しているわけでも全然なくて、そういった取り組みも、さっき渡辺さんもおっしゃっていましたが、そういったのもどんどんやっていきたいということですが、それもありますけども、みんなで同じ想いを持って"私たちが"変わるためのコツだと思います。」

質問者
「なるほど、ありがとうございます。
なんとなく、パートナーシップとかコラボレーションは、僕が何かやることと、その結果が出てくることに時差があったり、地域的差があったりする、遠い感じがするけど、コレクティブ・インパクトというと、僕が今何かしたことがすぐに何か効果がそこの場では出て、それ自体が全体の中で大きな影響に徐々につながっていく、みたいな、この臨場感、参加意識が感じられる言葉だと思いました。」

司会
「どうもありがとうございます。鈴木さん、大丈夫ですか?」

鈴木氏
「参加者意識ってとても大事だと思います。私たち一人一人が社会を作っている中で、私たち一人一人で社会を変えていく、というところになってくるかなというふうに思います。」

司会
「どうもありがとうございました。続きまして、後ろに、はい、ありがとうございます。」

二人目の質問者の手が挙がり、スタッフがマイクを手渡す。

質問者
「お話ありがとうございました。
私、千葉県千葉市にありますNPO法人企業教育研究会、通称"エース"と呼んでいる、千葉大学教育学部をベースに作ったNPOで事務局長しています、竹内と申します。
お話を聞いていて、私たちのNPOの課題とかも頭に思い浮かべながら、お話を聞いていたんですけれども、社会的インパクトの評価についてお伺いをしたくて。やっぱりNPOの活動を運営していく面で資金面ってとても重要なところで、きちんとちゃんといいことをやろうと思ったときに、やはり資金を集めてこないといけないと。
私たちのNPOではいろんな企業の方と、社会とつながる事業、というテーマで企業さんからお金と、あと人のリソースを頂戴して、学校現場にその企業だからこそできる楽しい授業っていうのを作っています。ただ企業の方に我々の思いとかをぜひ賛同してやってほしいというときに、じゃあどういうインパクトが与えられるんですか?っていう話によくなりまして。
私の質問としては、企業の皆様から、まずどういった社会的インパクトっていうのをどういうふうに評価していただけるのか、例えば受益者なのかストーリーなのかっていうところが気になるのと、あと、NPOのお二方には
こういった手法でやっていこうとか、こういうインパクトを出していこうっていうことを多分交渉をすると思うんですけれども、どういった交渉というかお願いというか、コツみたいなところがあればぜひお伺いしたいなと思いました。よろしくお願いします。」

司会
「ありがとうございます。それでは、石野様、お願いします。」

石野氏
「ご質問ありがとうございます。
今日ご紹介した感動体験プログラムの中でも、社会的インパクトの評価というのをやっていますけれども、その際には、まず、今日もちょっと言葉出ましたけど、ロジックモデルをやっぱりまず最初に作っているんですね。
それは、そのプログラムを通じてどういう結果を得たいか、というのをまず最初に設定する、と。我々の場合は、この感動体験というのを通して、子どもたちの非認知能力を上げていくんだ、ということで、それは創造性だったりとかやり抜く力だったりとかっていうような形で、なかなか数値化しづらいところではあるんですけれども、そこを目指して向上させていく、と。 そのために、そのロジックモデルにのっとってワークショップですとか長期プログラムのやり方とか、そういうものをデザインしていったので、それがその通り狙った結果が出ていますかっていうものをインパクトとして測定しています。それが出ていることを確認して、プログラムの内容、なんですかね、パートナーシップであるとかその辺の方向性みたいなことを修正をかけていくとか。できていると確認できているんだったら、それをじゃあさらに広げていくかっていう話ができますので、そういう形で、結果の可視化、インパクトの可視化みたいなところを考えている、というのがご紹介になるかなと思います。」

司会
「今のお話は、何で(何をもとに)インパクトを測っていらっしゃいますか?」

石野氏
「今のところは、ご紹介したのは、先ほど言った創造性であるとか、子どもたちの好奇心がどういうふうに伸びているかっていう、もちろんちょっと好奇心を伸びていますかっていうのは、ちょっと、少し変換しないと出ないということではありますけれども。
それがそもそもプログラムの目的のところですので、そこを測るということをやっています。それは、アンケートとかを使って、子どもたちのアンケート、大人たちのアンケートとかいうことを使って、そのアンケート結果から導き出しているということになります。」

司会
「どうもありがとうございます。大萱様、いかがでしょうか?」

大萱氏
「はい、結構似ているんですけど、我々もNPOさんに対して求めるというよりは、自社がやっている社会貢献活動で大きな規模のものについては、同じようにロジックモデルと、あとインパクト評価っていうのは実施しています。定量的に見せれるものとかがあれば、一番やっぱり私たちはありがたいんですけれども、必ずしもそうでないもので、アンケートから拾うようなものもありまして。
例えば、金融経済教育とかをやって、アンケートをやった後だと、座学がいいのは男の子か女の子かとか。あと、自分が入ってやるタイプの授業が好きなのは女の子のほうが多いね、とか。なかなか我々が気づかなかったところが見えてくるとかありますし。
一方で、やっぱりそのインパクト評価をやるってそれなりにコストもお金もかかる話なので、それをNPOさんみたいにリソースが限られているところにどこまで企業側の目線で求めるのか、というのは常にジレンマを抱えながら。一方で我々、会社としてステークホルダーに対してこういった資金の使い道をしている以上、説明しないといけないというところもあるので、それで先ほど申し上げた比較的大きなプロジェクトについてはバランスを見て、これくらいのものだったらそこまではしなくてもいい、これはちょっとやっぱりさすがに説明を求められるよねっていうところで、ちょっと分けてやっているかなっていう感じです。」

司会
「どうもありがとうございます。続きましてNPO側としまして、松見様、いかがでしょうか?」

松見氏
「ありがとうございます。
そうですね、ご質問の内容の交渉のコツとか、手法のコツみたいのはあんまり実はよくわからないんですけども。
ただ一つ言えるのは、私たちの団体は、もしも仮に自分たちが提案を受ける側だったら、どんな材料が欲しいのかなっていうのは考えています。その上で、私たちが行なっているのは、先ほどの文京区子ども宅食でもロジックモデルを使っているという話がありましたけど、実は弊会でも、弊会の基幹事業である学習支援事業におけるロジックモデルはもう8年行っています。年に2回、定量的な調査を行いまして、調査内容は、ロジックモデルに紐づいた質問項目っていうのをかなり細かく分類して作っていて、その立てたロジックモデルに対してどのくらいの成果があるのかっていうのを、中間と後期で成果指標を図っています。それをもとに各学習会の担当者、たくさんあるんですけども、担当者毎が自分たちの分析をすると。その分析した結果を、実際により良いものにしていくために生かしていくっていうことを行っています。
そうした蓄積していったデータ、ずっとロジックモデルは同じでないのでもうバージョン4ぐらい、今期はだからバージョン5ぐらいになりましたけど、バージョン5ぐらいになったものになってくると、かなり精度が上がるんですね。それまで積み上げてきた、そういった小さな積み上げのデータっていうものが、実は結構欲しいものなんではないかなと。
なぜかというと、私がNPO業界に、まあもともと民間企業で20年働いていたので、NPO業界に入った時に驚いたのは、定量的データの少なさっていうのにすごく驚いたわけですよ。事業を始めるのに市場調査しないんだ、みたいな。それはNPOじゃなくて行政の事業もそうなんでしょうけども、あんまりないんですね。企業にとっては当たり前の市場調査して、ちゃんとエビデンス取って、じゃあプロジェクトを立ち上げていこうか、みたいなプロセスがなかったので、それは絶対求められる相手側には必要なものだろうな、ということで。
そういった手法を用いたご提案、もちろん、定量的なものだけでなく定性的なものも絶対必要なんですけどもでも、その二つがないと、やはり先ほど平岩さんもおっしゃられていましたけど、ステージの上の方にご説明するときには、判断してもらいにくいんじゃないかな、というふうに感じています。以上になります。」

司会
「ありがとうございます。平岩さん、いかがですか?」

平岩氏
「すみません、ついに順番飛ばされたと思って、ないのかなと思ったら来ました。」

【司会・登壇者の笑い】

平岩氏
「皆さんが言ってくれた通りなんですが、交渉のコツとかはですね、うちもあんまりちょっとよくわからなくて。気合と根性と愛です、ぐらいしか言えないんですけれども。」

【司会の笑い声】

平岩氏
「やっぱり、定量・定性両方あると思うんですよね。
定量の代表格は、やっぱり子どもの変化になると思っていまして。おそらく企業さんと組んだ時に、多分ちょっと似たようなところもあると思うんですけれども、結構、数・量を求められてしまう部分と、本当は質深くやりたい私たち、みたいなところですね、少しあるので。
今ソニーさんとも、まさにですね、今日ちょっとご紹介あった通り、一回だけいろんなところに行きます、というのと、長期で同じところに行く、というのを、今ちょっと両方組み合わせる形でやっていますので、そういう提案なんかが、企業さんにとってはいいのかなと。
やっぱりストーリーも大事で、本当に今日ちょっと具体例としてあまりお話ができないんですけれども、1回だけ行ったんだけれどもすごい変化を起こした子どもっていうのもですね、本当にあって。団体みんなでその話を聞いて、感動したりしているんですけど。そういうのも含めてですね、定量・定性で企業の皆さんにお話をしていくっていう感じなのかな、というふうに思いました。」

司会
「どうもありがとうございます。あと一問ほど受けします。
「ありがとうございます。すぐに挙げてくださった、手前にいらっしゃる方」

質問者
「ありがとうございました。こども食堂支援機構という社団法人を代表している秋山と申します。個人としてはですね、ジャーナリストとしてフォーブスだとか東洋経済とかで企業のCSRを長年追ってきているんですが。
その流れでですね、結構いろんな企業さんのCSRを見ていると、会社の利益が減ったりだとか、あと社長や株主が変わったら、突然素晴らしいCSRだとかやっていたのに急に打ち切りになるっていう事例っていうのを、結構今まで見てきました。そこでちょっと大萱さんに伺いたいんですが…まさに、すごくパーパスにあふれる太田社長が突然お亡くなりになってしまったということで、今後、そういった会社の変化だとか、今の取り組みっていうのがどういった影響を受ける可能性があるのかだとか、あるいはそういった変化を急に頓挫しないようなために、何か仕組みだとか打ち切りの予防策みたいなものが何かあったりすれば教えていただければと思います。」

大萱氏
「はい、我々あの、株式会社ですので、決して個人の社長一人の一存で施策が決まるわけではないので。
この中期経営計画につきましても、しかるべき会議とかを含めて通っている案件ですので、これが、例えば個人の社長が一人亡くなったとかそういったことで急に変わるとか、そういったことは基本ないと思っています。
特に教育格差の支援というのは、中長期的にやらないと結果が出ない分野だというのも、この取り組みの当初から申し上げているところですので、今回の3年間というのも結構大きな、我々としてはコミットだったのもその表れかなと思っています。
ですので、ちょっと今すぐ何かすぐ打ち切るとかそういった話というのは、逆にあまり想定していないんですけれども、そこはおそらく、この中経というのは一定期間で見直しとかっていうのは入ってきますけれども、これがやっぱりちゃんと着実に、先ほど申し上げた、例えば今までは我々とCFCさんだけの取り組みだったものがちゃんと広がっているとか、そういった成果を見せることが、引き続き事業を拡大していくなり、継続していくなりのための責任なのかなと、私自身は感じております。
そういう意味では、我々もあんまり予算っていうのは景気に左右されることなく、CSRっていうのは基本的に一定額やっていまして、すごく景気が良くなるから逆にすごい増額だとか、そういうのも逆にないので、やっぱり株式会社っていうのはそういった意味で、ステークホルダーに対する説明責任というのも負っていますので、あまり大きくそういったことに左右される分野ではないのかな、というふうに思っております。」

質問者
「ありがとうございます。」

司会
「どうもありがとうございました。」

▼まとめ

スライド内容
まとめ:モデレータ・登壇者よりメッセージ

司会
「では、お時間になりましたので、こちらで最後のまとめに入らせていただきたいと思っております。
最後に、皆様より一言、本日会場にお越しくださった皆様にメッセージをいただきたいと思います。」

「松見様からお願いできますでしょうか?」

松見氏
「はい、ありがとうございました。本日はありがとうございました。
本当にあの、日本の中には、私たちは子どもの支援をやっていますけども、子どものことだけじゃなくて本当に課題は多様だなって思っているんですね。その多様なものをどう変えていけるのか、とかどう解決…解決するかできるかどうかはわからないですけども、でも何かできることはないかって考えたときに、やはり自分たちが持っている力を信じるっていうことはすごく大事なのかな、と。
例えば私はNPOの職員ですけども、NPOが持つ力ってすごく無限大だなっていうふうに感じていますし。例えば、もともと先ほどもお伝えしたように一企業人だったので、企業人だったときには、実は社内のことしか見えなかった、社外のことってあんまり見えなくて。NPOの業界に飛び込んでみたら、実はこれまで企業人として培ったリソースは自分の中にすごく生きていて、社会にもっともっと還元できるものってたくさんあったんだなっていう発見があったんですね。
よって、今日お集まりの皆さんが持たれているそれぞれのもの、所属している企業さんのものもあるでしょうし、皆さん個人の持たれているその力っていうのも、実はもっともっと無限大なのかもしれないって感じています。
NPOとしての立場から申し上げると、NPOは本当に、今日ご参加いただいているNPOもそうなんでしょうけども、どこのNPOさんも本当に、いろんな力が欲しいと思っているんですね。そのいろんな力が、もし皆さんの持たれているお力とマッチして、さらに、先ほども出てきた共通のアジェンダだったりとか、解決したいその課題や問題が一致するならば、ぜひ一緒に、コレクティブ・インパクトかどうかわからないですけれども、ぜひ一緒に何かを成し遂げていきたいなっていう想いでいっぱいです。
本当に今日、これだけの皆さんにいろんなお話を聞いていただけたこと感謝いたします。どうもありがとうございました。」

オーディエンスへ何度か会釈をしながらマイクを置く松見氏。

司会
「ありがとうございました」

他の登壇者たちも大きく拍手を送る。
【会場の大きな拍手】

司会「ありがとうございます。では平岩さん、よろしくお願いします。」

平岩氏
「ありがとうございました。今日はもう、送りバント要員として来たんですけど、つい打席に立つとですね、フルスイングしたくなってですね、いろいろ出しまくって、あげく、もう喋ることがなくなっております。

ただですね、最後一言だけ申し上げますとですね。
冒頭出ましたように、日本の子どもたちの幸福度っていうのは非常に低い、というデータが数多く出ております。かつてをたどると、日本の子どもたちってものすごく幸せだったという見方をした外国人の方の本なんかあるんですよね。明治時代あたりの話なんですけれども。
そうなると、日本ってすごく高度経済成長をしてきたんだけれども、どこか子どもの幸せを置いて経済成長に邁進してきたんじゃないかなと、そんなふうに今日思いながら、データを見ました。 残念な、自殺なんていうデータも出ていましたけれども、G7の中で10代の死因の1位が日本は自殺なんですけど、G7の中では日本だけなんですよね。他の国はそんなことがないと思うとですね、やっぱり非常に胸が詰まるような状況があるということかなというふうに思いました。
今日聞いていてですね、本当に、私もここで勉強させていただいていたような感じ。この、共通のアジェンダっていう大事なキーワードを今日いただいたなと思いますのと、個人的には、最後の方のご質問者の方のですね、エレベーターの中での殺し文句は何だと言われてですね、ドキッと。僕がこのグダグダで話している間にとっくに屋上行ってダメだろうな、と思いながらですね。聞いていて、そうだよなぁと思いながら、いろいろ学ばせていただきました。
NPOの強みはですね、いろんな人たちと組めるというのが強みです。
どうしても企業同士ですと、日頃のライバル関係とかですね、そういうのがあったり。やっぱりビジネスとしてどうなんだいみたいな会話になるわけですけど、NPOはまさに、いろんな社会を結節できるようなですね、強みを持っていますので。その強みを活かして普段はいわゆるライバルとして競争しているところが、共につくる方の共創に変わるような。子どものことだけは一緒にやろうよって、ライバル企業が手を組むみたいな世の中がですね、実現したら、本当に素晴らしいし、今日がもしかしたら、その一歩になるのかもなとワクワクしながらですね、締めさせていただきたいと思います。本日は、本当にありがとうございました。」

他の登壇者が大きく拍手を送る。
【会場の大きな拍手】

司会 「平岩さん、どうもありがとうございます。では大萱様、お願いいたします。」

大萱氏
「本日はありがとうございました。これだけ多くの方にご出席いただいたということで、やっぱり、このテーマとかコレクティブ・インパクトに対しての関心の高さっていうのを改めて感じておりますとともに、私自身も、今の業務を見ているとやはり、こと社会貢献分野については他の企業さんとかと結構連携する機会が増えています、イベントに呼んでいただくとかもそうですし、我々が企画したイベントに他社さんを一緒にどうですかっていうふうにお招きしたり、あとNPOさんをご招待したりとかっていう機会が本当にすごく増えているなと実感しています。
今日、ちょっとすごいいっぱい来ていただいているんですけど、私、ツイッター(X)でそういった仲間とかも含めてつながったりとか、会社の名前でやっておりますので、何かご一緒できることがある場合は、気軽にダイレクトメッセージなどいただけるとありがたいです。ありがとうございました。」

他の登壇者が大きく拍手を送る。
【会場の大きな拍手】

司会
「大萱様、どうもありがとうございました。それでは石野様、お願いいたします。」

石野氏
「リハーサルの時に、最後のコメントをどっちからやりますかっていってあっちからにしちゃったんですけども、ほぼ言うことがなくなっちゃったなって。」

【会場の笑い】

石野氏
「皆さんのこと言うことを聞いてどうにかしようかなと思ったら、逆に何も言えなくなってしまいましたっていうのがあるんですが。
ちょっと被るんですけれども、今日やっぱり、コレクティブ・インパクトっていうキーワードであるとか、それから教育の格差というところの、皆さん本当に興味というか、そこに取り組みたいと思っている方々が、こちら集まっているんじゃないかなと思います。
先行している事例などから、いろいろなコレクティブ・インパクトのコツなんかも私もすごく勉強になりましたし、ぜひですね、今日集まっていただいた皆さんとも何かできるんじゃないかな、というふうに思っていますので。ぜひこの後もですね、議論とかが続けられればというふうに思っています。はい、ありがとうございました。」

会場全体へ会釈する石野氏。

司会
「どうもありがとうございます。」

【会場の大きな拍手】

司会
「それでは最後、鈴木様、お願いいたします。」

鈴木氏
「このコレクティブ・インパクトということについて議論をして、それについてすごく具体的な事例をたくさんお話を伺うことができて、とても良かったなというふうに思いますし、何よりもこうして多くの方々が集まって話に耳を傾けてくださって、本当にありがたいなというふうに思っております。
このコレクティブ・インパクトは、先ほどありましたけども、手法というか、どちらかというとコツで。
何のコツかというと、私たちがつくる私たちの社会をどうやって変えていくか、ということについてのコツだな、というふうに思っております。
一番最初にこのコレクティブ・インパクトの話を聞いたときは、誰かにどういうふうにやらせるかというスキルかな、というふうに思っておりましたけれども、よーくよく考えていくと、これは自分が入っているこの社会を、自分がどういうふうに変わっていくといいのかというふうに思っていて、それをやっていくためのコツなんだな、他の人たちと一緒になっていくためのコツなんだな、というふうに思っております。

ぜひ、ここにいらっしゃる皆様方、一人一人と一緒になって、私たちが住む社会を変えていって、より住みやすいように、より多くの人と一緒に住みやすいような社会にしていけたらいいなというふうに思っております。
そんな、このような話を皆さんと一緒にする機会をくださったアフタースクールの皆さん、それからソニーの皆さん、一緒に登壇してくださった、大萱さん、松見さん、そして渡辺さんにも大変感謝しております。

今日はありがとうございました。」
【会場の大きな拍手】

司会
「皆様、どうもありがとうございました。
それぞれの立場から、それぞれの役割を発揮していくことが本当に必要なんだな、というふうに感じました。今日をきっかけに、皆様とも一緒に、今後対話など続けていけると大変ありがたく思っております。では、ご登壇いただきました皆様に、今一度、大きな拍手をお願いいたします。」

立ち上がり、オーディエンスへ深く一礼する登壇者たち。

【会場の大きな拍手】

司会
「ご登壇の皆様、お席にお戻りください。」

スライドが消え、オーディエンス側の席へ戻っていく登壇者。