特定非営利活動法人 放課後NPOアフタースクール

お知らせ・ブログ

活動日誌ブログの一覧

【オランダ視察】まとめ

2013年3月8日 研修

代表理事の平岩です。

4回にわたって、
オランダの視察のレポートを書かせていただきました。

内容は
保育園~小学校~中学高校(スタディハウス)~教育センター
についてです。

今回はまとめとして、それを俯瞰してみたいと思っています。

オランダの教育を考える上で最も重要なのは、
以下の4つの考えだと私は感じました。

①学ぶ個々の自由が保障されていること

②個をいかす教育をすること

③社会で役立つ人間を育てること

④保護者・学校・社会が一体となって子育てをすること

1つずつ解説させていただきます。

①学ぶ個々の自由が保障されていること

この大前提となるのは、
「オランダ教育の3つの自由」です。

・学校選択の自由(学区はない、家庭が自由に学校を選択)

・学校設立の自由(200人集めれば誰でも学校を設立出来る)

・教育方法の自由
(教材や教育方法は学校が決める)

この3つの自由が背景となり、
オランダでは様々な
「オルタナティブ(先進的な)教育が花開いた」
と言われています。

第1回の報告でご紹介した
「イエナプラン」もその1つです。

イエナプランは、
ドイツのイエナ大学の
ペーター・ペーターセン教授が
大学の実験教育として始めたものだそうです。
これがオランダに伝わり花開きました。

見学させていただくと、5つの特徴がありました。

①自学自習が中心(教室が静か)
Img_5584_r

②循環型学習(対話→学習→遊び→催し)

Img_5677_r

③異年齢学習
Img_5558_r

④サークル対話
Img_5728_r


⑤ワールドオリエンテーション

Img_5702_r

このような特徴ある教育も
とにかく200人集まると開校できるわけです。

そして開校出来ることになると、
行政が校舎・施設を用意してくれます。
公立・私立問わず、
生徒数に応じた補助金を受け取れるようになります。

そうしてきちんとした教育成果をあげ、
生徒・保護者の支持がある限り、生き続けていられるわけです。

保護者は、小学校を選ぶ時は、
よくよく考えるそうです。
通常、通える範囲の小学校が、
3~4つくらいがあるのが当たり前だそうで、
行政から送られてくるガイドブックや
オープンデーでの見学を経て、
決定していくそうです。

オルタナティブ教育の小学校は
全体からすると
10~15%の構成です。
85~90%はクラシックスタイルと言われる、
割と日本に近いイメージの教育を行う小学校なのですが、
このような少数派がしっかりと生きることで、
全体にもよい影響を与えるのだと思います。

例えば、イエナプランで積極的に取り組む
「ワールドオリエンテーション」は
小学校の基本的な科目になっていたりします。

この「学ぶ自由の保障」はオランダの教育を考える上で
最も重要な前提条件だと感じました。

②個をいかす教育をすること

オランダは、「多様性を認め合う社会」と言われます。

「皆それぞれが違うからこそいいのだ」という考えです。

日本でも昨今そのような話が語られるようになっています。
また逆に異質なものを受け入れられないことにより、
いじめなどの深刻な問題も起きていると言われます。

第2回の報告で「教育センター」について書きました。

Img_5523_r

教育センターは、学校や教員をサポートするために
1970年頃が設置が進んだと言われます。

そしてその頃は
オランダが教育改革を進めている時代でもあります。

その改革のテーマは
「画一から個別へ」
というものです。

全員画一の教育システムから
「一人ひとりを大切にする教育システム」
への変容をはかっていく中で、
このようなサポートのシステムが生まれました。

改革が進む中では、
教員の高度な対応スキルが求められたり、
また
「一人ひとりの面倒を見ると、全体の学力が落ちる」
という批判を受けたりしながら、
進化していったと聞きました。

オランダは元々多様性を受け入れる風土だと思いますが、
それでもなお40~50年近くの歴史をかけて、
このテーマを追いかけてきたようです。

イエナプランのポートフォリオがそれを象徴していました。

Img_5642_r 

これはもちろん他人と比べる成績表ではなく、
・自分だけの
・いいところ中心の
・成長記録

と言えるものだと思います。

現地で
「”子どもが自分自身でいられること”が安心の基本である」
というお言葉を聞きました。

毎朝、学校に来る子どもたちを
一人ひとり握手で迎える先生もいるそうです。

イエナプランの校長先生は
「子ども一人ひとりが最大限の発達が出来ているか?」
に常に注目している、と仰っていました。

一定のゴールはなく、
「各自が最大のチャレンジが出来ているか?」
を考えるのだ、とのコメントも印象的でした。

これは私たち「アフタースクール」のテーマそのものでもあります。

Img_7271_r

③社会で役立つ人間を育てること

今まで①②はいわば教育の前提条件でした。
そしてその上に成り立つ教育目標がこの③のことなのだと思います。

「具体的な教育目標は何ですか?」
と私は各学校で質問をしました。

保育園
「子どもの自立心を育てること」

小学校
1.自分が何者か、何に強くて何が弱いかを分かっていること
 2.問題が起きた時にイニシアチブをとってみんなで関わって解決すること

中学高等学校
「子どもが自立的に学ぶこと」

という答えが返ってきました。

「学ぶことを学ぶ」
というキーワードもありました。

「子どもたちが将来つく仕事は現在ない職業も多いだろう。
 だから私たちは子どもたちが”学ぶことを学ぶ”環境を用意するのだ」
との言葉もありました。

Img_5609_r

18歳になると、家を出て、
1人前の大人として旅立つ彼らが
その時にしっかりと前を向いて歩いて行けるように育てていく。

初等教育で教科に偏らず全人格的な教育を施し、
人間としての土台を作った上で、
より実社会と密接に関連した学びを提供する。

このあたりが非常にシステマチックに
結びついているように感じました。

④保護者・学校・社会が一体となって子育てをすること

4点目にこの特徴をあげます。

そして、これこそが、
今回私がテーマとしていた
「オランダの子どもたちの高い自己肯定感の秘訣」
の答えの1つでもあると思っています。

イエナプランの小学校では
「学校は、子どもと教員と保護者の共同体」
という言葉があります。

三者面談の招待状の事例もご紹介しました。

Img_5546_r 

三者面談の招待状に、
「三者面談で何を話し合いたいか?」
子ども、親、先生、それぞれが記入し、
話し合いを行う仕組みです。

このようにいつも子どもの成長を自分も周りも確認します。

子どもも自然に自分のことを
多くの大人が考えていてくれることが分かると思います。

「自分の成長を一緒に喜んでくれる大人がそばにいることを
 確信できる時に子どもの自己肯定感は育まれる」

とはリヒテルズ直子さんのお言葉。

そのとおりだな、と思います。

・自分で自分の成長を感じること
・自分の成長を喜んでくれる人がいること

これを常に感じていることで、
子どもの「自己肯定感」は育まれているように思います。

子どもだけでも学校だけでも親だけでも、
「自己肯定感」は育まれない。

ですが、その三者が力を合わせると、
1+1+1は3以上の大きなものになります。

この点は、私にとって今回特に大きな学びでした。

【まとめ】

最後に今回の視察で
私たちの「アフタースクール」にいかせる点をまとめておきます。
以下の5点だと思います。

①一人ひとりの個性を伸ばす
②よいところ、成長している点に注目する
③成長を自分で確認出来る仕組みを取り入れる
④成長する・学ぶ楽しさを伝える
⑤子どもたちの成長を親と共有する

①一人ひとりの個性を伸ばす
⇒これはアフタースクールの目的そのものであります。
 成績、偏差値だけでない
 子どもたち一人ひとりのよいところを発見し伸ばしていくこと
 が私たちの目標です。

②よいところ、成長している点に注目する
⇒他人と比べるわけでもなく、
 あるいは苦手なこと出来ないことばかりを注意するわけでもなく、
 「いいところ探し」をするのが放課後の時間であててょしいと思います。

③成長を自分で確認出来る仕組みを取り入れる
⇒子どもの成長はともすると、
 大人やテストが評価すると思われがちですが、
 それだけではないと感じました。
 「自分で自分を評価する」
 「そういえば、前に出来なかったことが出来るようになっているな」

 という実感を大切にしたいと思います。
 イエナプランのポートフォリオの仕組みはぜひ導入したいな、と思います。

④成長する・学ぶ楽しさを伝える
⇒私たちの対象とする小学生で育てるべき能力は
 やはりこれに尽きると思いました。
 「成長するのって面白い」
 「頑張って出来るようになったらもっと面白い」

 これを子どもたちに大いに伝えていきたいと思います。
 「アフタースクールで育った子は自分から頑張る楽しさを知っている」
 と言われるようになりたいな、と思います。

⑤子どもたちの成長を親と共有する
⇒この点が非常に重要です。
 子どもたちが認めてもらいたい一番の相手は「親」です。
 だから私たちは子どもたちの成長を様々な形で親たちに伝える義務があります。
 日々の会話、保護者会、開放された見学の機会、発表会、
 また「親が楽しんで参加する機会」を作るのも大切だと思います。

 アフタースクールでアンケートをとったら、
 「アフタースクールに行くようになって親子の会話が増えた」
 という意見を結構多くいただきました。
 こういうことをもっと増やしていきたいと思います。

ユニセフの子どもの幸福度調査はじめ、
各種調査で明らかになる
日本の子どもたちの「自己肯定感」はまだまだです。

でも、オランダの教育も一朝一夕に出来たものではなく、
長年の努力と工夫の結果であります。

私たちは「アフタースクール」で
「小学生の放課後」をフィールドに子どもたち保護者を支えていきたいと思います。

「幸せな日本の子どもたちを目指して!!」

_r

Img_7339_r

報告者:平岩 国泰
視察日:2013年2月4日~9日
都市:ハーグ市
訪問施設:保育園、小学校2校、中学高等学校、教育センター
コーディネーター:リヒテルズ直子さん

【オランダの視察報告】
(第1弾)イエナプラン教育の小学校
http://npoafterschool.cocolog-nifty.com/blog/2013/02/post-7bdc.html
(第2弾)教育センター
http://npoafterschool.cocolog-nifty.com/blog/2013/02/post-48ea.html
(第3弾)保育園
http://npoafterschool.cocolog-nifty.com/blog/2013/03/post-4f5b.html
(第4弾)スタディハウス(中学高等学校)
http://npoafterschool.cocolog-nifty.com/blog/2013/03/post-3976.html
(まとめ)
http://npoafterschool.cocolog-nifty.com/blog/2013/03/post-d9d2.html

最新の記事

カテゴリ

月次アーカイブ