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【オランダ視察④】スタディハウス(中学高等学校)について

研修

代表理事の平岩です。

オランダ視察のご報告も第4弾となりました。

今回取り上げさせていただくのは
「スタディハウス(中学校・高校)」についてです。

スタディハウスとは、
中等教育の教育システムのことです。

1999年にオランダで導入された教育システムで、

「学ぶことを学ぶ」

という目標を達成するために作られたシステムであります。

このスタディハウスに積極的に取り組む
中学高校一貫校を見学させていただきました。

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「ホフスタット・リセウム」という学校で、
生徒数は900人の中高一貫校です。

スタディハウスやICT教育など、
先進的な教育をいち早く取り入れる学校として
知られています。

校内の様子をご紹介します。

こちらは図書館です。

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非常に美しい空間でした。

図書館はメディアセンターのようなイメージで、
本もあればPCもあり、
様々な情報に触れられる場であったと思います。

ある教室ではこんな感じ。
電子黒板を囲んで、みなで議論しています。

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PCで調べている生徒もいました。

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ここでは、
シェルという企業と協力して生徒たちが作った自動車のパネルがありました。
毎年車を作っているそうで、
もちろん実物の車は本当に走ります。
このような企業との連携授業も多いそうです。

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この学校はICT教育も進んでいます。
1人1台のPCと使って授業をするクラス、
iPadをフル活用するクラスもあります。

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iPadを使うクラスでは、
教科書は使わないそうです。
「5年以内に全ての教科書はiPadになるだろう」
と先生は仰っていました。

理科室のようなところには、
このような掲示がありました。

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アルコールやコカインなどがいかに体に有毒かを
示してあります。

このように理科は
実生活と結び付けて考えたり調べたりするもの
多いようです。

ある授業でこのような看板が出ていました。

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「ミニ・カンパニーズ」と書いてあります。

こちらは子どもたちの言わば起業の授業です。

この学校は、
「国際化教育推進校」として、
ドイツ、スペイン、イギリス、イタリア、シンガポール、などの学校と
交換授業やプロジェクトを進めているそうです。

ここで子どもたちは各国の連携校の
生徒と多国籍企業を立ち上げるそうです。
各国の子どもたちと1つの会社を運営します。
日ごろのやり取りはスカイプでします。

自分の父母に初めの株式を売り、
実際の経営をやってみるそうです。

「日本の学校もぜひ参加してほしいけど、手が上がらない」
と先生は残念がっていらっしゃいました。

ここで改めてスタディハウスの趣旨を定義すると
以下のものになると思います。
(リヒテルズ直子さんの著書を参照)

①高等教育で必要とされる技能を身につけること
 ・情報を調べる
 ・調べた情報を取捨選択する
 ・自分の頭でまとめる
 ・発表する
 ・議論する

②子どもが自立的に学ぶこと

③教科の科目を超えた総合的な学習を行うこと

そしてこの改革が行われた背景には、
以下のような課題があったとされています。

・中等教育を出た子たちが知識はあるが、その知識の使い方を知らない
・自立的に情報を集め、自分の頭で処理する能力に欠ける
・急速なICTの発達に即した教育を整備する必要がある

そのような背景で生まれて来た
スタディハウスは
週に40時間×40週間のカリキュラムを原則とし、
日々日進月歩で改革が進んでいるようです。

スタディハウスに関する、
オランダの公式文書には以下のように書いてあるそうです。

「生徒たちは社会の将来を選ぶ人になるだけでなく、
 社会の将来を決める決める人になるのだから、
 学校はこの生徒たちが『学ぶことを学ぶ』場であるべきだ」

この
『学ぶことを学ぶ』
というコンセプトが随所に実現されているわけです。

このコンセプトは今回拝見した
先進的な施設では、
保育園~小学校~中学校~高校
と一貫したものでした。

中高生になって、より社会と結び付く実践的な教育を求めて、
スタディハウスが取り入れられているように感じました。

おまけに少し。

こちらは職員室です。

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日本と違って、明るくてすぐにお茶が出て来る感じの
リラックスしたスペースでした。

先生の勤務時間をお聞きすると、

・55歳~ 週4日:全部で12コマくらい
・~55歳 週5日:全部で15コマくらい

勤務時間は
8:30~14:30、家でも1~2h働くこともある

と仰っていました。

日本よりは優しい環境ですね。

こちらは掲示板。

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生徒への各種お知らせはこちらで出るそうです。
デジタル化されていますね。

最後に先生に
「放課後は何をしていますか?」
と質問しました。

高校生はアルバイトが多いそうです。
宿題はほとんどありません。

しかし、オランダの高校生はかなり勉強しています。

それは「卒業資格」を得るためです。
この卒業資格があれば、
一生涯大学に通うことが出来る権利となります。

卒業資格を得るために、
「全国共通試験」「校内試験」をパスする必要があります。

この試験の判断の要素は以下のようなものです。

・筆記試験
・課題論文
・レポート
・ディベート
・プレゼンテーション
・卒業研究

そして基準は

・短時間で正確な答えを出すこと

ではなく、

・課題への取り組み方
・物事の判断の仕方
・情報処理の仕方

が判断の基準になっております。

「日本の中高生も頑張らないと!」
と強く実感しました。

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報告者:平岩 国泰

【オランダの視察報告】
(第1弾)イエナプラン教育の小学校
http://npoafterschool.cocolog-nifty.com/blog/2013/02/post-7bdc.html

(第2弾)教育センター
http://npoafterschool.cocolog-nifty.com/blog/2013/02/post-48ea.html

(第3弾)保育園
http://npoafterschool.cocolog-nifty.com/blog/2013/03/post-4f5b.html

(第4弾)スタディハウス(中学高等学校)
http://npoafterschool.cocolog-nifty.com/blog/2013/03/post-3976.html

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